将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら

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娼館の制圧

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「お客様、大変申し訳ございません。本日はあいにく、全員出払っておりまして……」

「そうなのか? 私は今日、マダムグレアにこの館の話を聞いて、居ても立っても居られずに駆けつけたんだ」

 ルーカスは、訳知り顔で受付に肘をついた。

「全員に指名がついているとは、随分と盛況なんだな。最近じゃ、新人を何人も雇い入れたんだって?」

「はい……そ、そのようなことは……」

 受付の男はルーカスの堂々たる振舞いに気圧されながらも、どうにか抵抗を試みる。

「失礼」

 そこへ、一人の男が割って入った。

 一見優し気な風貌を携える男性は、ルーカスよりも年齢は少し上だろうか。

「こちらの管理をしております、ポールと申します」

 管理人を名乗る男性はルーカスの視界を遮るように、受付を庇う様に間に立つ。

 ルーカスを厄介者か上客か、値踏みする目で観察する。

「私はここの支配人の甥にあたる者でございます。あなたのような立派な方がいらっしゃると知っておりましたら……」

「管理人が来たなら話が早い。ポールと言ったな。俺は今日オズワルド伯爵家の舞踏会に出席したんだ。そこでマダムグレアから、ここの話を伺ってね。遠方から来ているから、どうしても今晩、接客を受けたいんだ」

 ルーカスは「マダムグレア」との関係を再度匂わせた。懐に手を差し入れて、革袋を取り出す。

 受付机に無造作に置くと、じゃらり、と重みのある音が鳴る。

「入ったんだろう? 王族の相手をさせても不足ないくらいの上玉が」

 ルーカスは、はったりでかまをかける。

 目の前の革袋の質量を見て、ポールの表情が如実に変わった。

「支配人がお客様に申し上げたので?」

「ああ。流石はこれだけの娼館を取り仕切るだけの女性だ。俺の好みを一目で見抜いてな。俺は手慣れたプロよりも、素人くさい娘のほうがいい。そういう娘は、初心な仕草や反応がそそるからな」

 ポールは客の露骨な告白に、にやりと含み笑いをした。

「それに、そんな娘はそう出回らない。いくら金を積んでも惜しくない」

「ならば、ぜひともご案内させてください」

 ポールは受付の男の肩を叩き、小声で囁く。

 受付の男は頷き返すと、ルーカスの革袋を携えて、奥の部屋へと消えた。

 10分ほどか、待たされた後、ポールが再び姿を現わした。

「では、お部屋へご案内します。どうぞ」

 部屋に向かう廊下は、娼館と言うよりは洋館の趣だった。

 ルーカスは注意深くポールを観察する。隙なく振舞うが、どこか不自然な男だ。

 外から確認した、部屋の数は20ほど。

 2階建ての洋館だ。
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