将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら

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陰謀

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 リリアは酒癖の悪い父と2人暮らしで、母は2年前、愛想を尽かして出て行った。

 イレーネは元は子爵家の令嬢だったが、手を出した新興の事業が失敗して、爵位を手放す事態にまで陥った。

「それで、住むところもなくなって、家族は知らない間にバラバラになって……一人で途方に暮れてたら、知らない男性に声を掛けられて、無理矢理、ギャレットに連れて来られました。後は、リリアと同じです」

「マダムクレアは、努力次第では貴族と縁を結べるかもしれないから、頑張りなさいと、励ましてくれました。あれは……嘘だったんですね」

 リリアは落胆の色を隠さなかった。

「まだ調査中だから、明言はできない。だが、雲をつかむような話だし、不正の上に成り立つ違法な取引だ。認めることはできないから、俺たちが動いた。可哀そうだが……」

「どうして助けてもらって残念がるの? 商品になる前に館を出られたんだから、もっと喜ぶべきよ」

「だって……普通に考えたら、貴族になんてなりたくてもなれるものじゃないでしょ? イレーネは元が貴族だから……」

「リリアは平民だからわからないのよ。貴族と言ったって、階級があるの。末端なんて、惨めなものよ。あちこちから、陰口だって叩かれるんだから。いいことばかりじゃないわ。私だって、結局リリアと同じ境遇にいるんだし」

「そうね。2人とも色々経験してきたのよね。しばらくは頭が混乱するかもしれないけど、落ち着いたら”これから” のことを考えましょうよ。変えられない過去を嘆くよりは、建設的だと思うわ」

 オリヴィエは、ふんわりと2人の間に割って入る。

 ルーカスの説明で、オリヴィエは理解した。

 まだ、聖女関連の話はできない。

 しかし、例えばその、集めた少女たちの中に聖女がいたとしても、選ばれるのはたった一人だ。

 その子以外は、ずっと、娼婦の道から逃れられない。

 しかも実質のチャンスは、選定式の一度きりだ。それを知らせずに、希望だけ持たせるなんて。

(そんな非道を思いついたのは誰? フェルナンド子爵!? 許せない――)

 オリヴィエもイレーネと同意見だ。

 今までの夢は潰えたかもしれないが、救いの手が届いて、本当に良かった。

「私はリリアの前向きな姿勢は素晴らしいと思うの。まだとても若いんだから、新しい目標を見つけましょう」

 オリヴィエはきゅっと、リリアの手を握った。

「新しい、目標かぁ」

 リリアが呟く。続けて、イレーネも励まそうと、目を向けた。

「オリヴィエ様は、どうして騎士になったのですか?」 

 すると、オリヴィエが見るより早く、イレーネはオリヴィエを見つめていた。
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