王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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新しい国

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「こんな粗末なお食事で申し訳ないとさえ思っていたのに、私たちのことまで心配してくれるなんて……アシュレイ様は、お優しい方ですね。そんな人がお妃様なら、国民は皆、王国に忠誠を捧げるでしょう。この国はもっと栄えますよ!」

「もう、だから大袈裟だって。……でも、それなら良かった。遠慮なく頂きます」

 アシュレイはパンを千切ると、スープに浸して口に運んだ。

「ごゆっくりどうぞ。あ、お水がありませんね。お持ちします」

 マリアナは水差しを取りに、ベッドの傍を離れた。

 そのタイミングで、コンコンと扉を叩く音がして、外から声がした。

「アシュレイ、俺だ。入るぞ」

 どなた? も、どうぞ。も答える暇もなく、扉が開け放たれた。

 アシュレイはパンを口一杯に頬張ったままだ。

「殿下!」

 マリアナは水差しを取り落としそうになっている。

 アシュレイは口の中のパンをもぐもぐと咀嚼して、飲み込んだ。

 許可を得ずに部屋に乱入したのは、言わずと知れたアルダシールだ。

 そんな真似が許される人間はアルダシールしかいない。

 アルダシールはアシュレイたちの動揺など気に留めず、つかつかと部屋を横切り、一直線にベッドへ歩み寄った。

 礼を欠いた振る舞いだが、相手がアルダシールなので、マリアナは咎めて良いものか迷っている。

「アルダ! どうしたの、急に?! 会議はもういいの? っていうか、歩いて平気なの? 重症でしょ!?」

 心配する気持ちはあっても、思いがけない来訪に、心が浮き立つ。

 サイドテーブルにトレーを戻して、アシュレイはベッドから立ち上がった。

 その瞬間だけは、足の怪我を失念していた。

 立ち上がったは良いが、右足首の痛みに身体がよろめいた。

「おっと」

 アルダシールはすかさず手を伸ばして、倒れそうになったアシュレイを支えた。

「あ……ありがとう」

「いや……」

 2人は至近距離で見つめ合う。

 アルダシールの頬に赤みが差す。それと同時にアシュレイも顔が熱くなった。

 きっと、アシュレイの頬も赤に染まっているのだろう。

 お互い、目を逸らせなかった。

 アシュレイはアルダシールの瞳の中に、自分の姿を見る。

 その瞳に映った自分を見て、胸の中から衝動が湧き上がるのを感じた。

 会いたくて、離れたくなくて追いかけて来た。

 でも、いざこうして至近距離で見つめ合えば、何から話せば良いか、言葉が出ない。

「……無理をさせに来たんじゃない。座っていてくれ。少しだけ、話がしたい」

「それは、私も……」

 アルダシールはアシュレイの身体をベッドにゆっくりと座らせて、自分もその横に腰を下ろした。

「マリアナ、悪いが外してくれ」

「はい。殿下のご命令とあれば」

 マリアナが下がろうとすると、扉の外に控えていた1人が、入り口から素早く駆け寄った。

「失礼します、……殿下、殿下もお掛けください」

 俊敏な動きで、先ほどまでジェニスが座っていた椅子を、アルダシールに勧める。
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