王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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披露宴会場で……

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 多分顔を見ただけでは、誰なのかわからなかっただろう。

 妙に通る鼻にかかった声が、キューべルルに似ていなかったら。

「カリアナ、お客様との会話を遮るものではない。無作法だ」

「ごめんなさい。けれど、順序を守っていたら、お声掛けも叶いませんでしょう? ねぇ、お兄様、ご紹介くださいな」

 カリアナはコリーヌとは真逆で、派手な印象のドレスを着ていた。

(……これはまた、随分と着飾ってるのね)

 アシュレイは呆れ半分に、義妹を眺めた。

 容姿は申し分ないが、化粧が濃すぎるし、香水の匂いが強すぎて鼻につく。

 2人いたはずのうち、末の義妹だ。もう1人は既に降嫁したと聞いているし、それらしい人物を今日は見ていない。

 カリアナがチラリ、とコリーヌに視線を向ける。

 コリーヌは見るからに萎縮して、シュナイゼルは溜息をついた。

 シュナイゼルが応じなければ、コリーヌに圧力をかけて間を持たせるつもりだ。

 まどろっこしいが、カリアナはこのような手段を踏まねばアラウァリアの国王夫妻と会話ができない。

 どちらにせよ無礼に変わりないのだから、単なる建前だ。

「愚妹が無礼を働き、誠に申し訳ありません。私の力不足です」

「いや、こちらの落ち度でもある。干渉の不可侵を約束したのは王妃殿下だけだったからな。とんだ茶番だが、そちらのレディーをご紹介いただこうか」

 ここで揉めても時間の無駄だと、アルダシールはカリアナに向き直った。

「恐れ入ります。こちらは我が妹のカリアナ。お恥ずかしながら、セレンティア王国の第三王女です」

「まあ、お兄様ったら、そのように仰らないで。わたくし、どうしてもアラウァリア国王陛下にお目にかかりたかったのですもの」

 カリアナは大仰な仕草で、アルダシールに擦り寄って見せた。

 アルダシールは敢えて無反応を装うが、アシュレイの目には不快そうに眉を顰めているようにも映る。

「お初にお目にかかります、アラウァリア国王陛下。わたくしはセレンティア王国第三王女の、カリアナと申します」

「ああ、よろしく」

「お姉様も、お久しゅうございます。最後にお会いしたのはいつだったでしょうか? わたくしのことなどお忘れになっているのではと心配していましたの。それがこうして再会できるなんて、嬉しいですわ」

「久しぶりですね、カリアナ。息災のようで何よりだわ、見ないうちに大きくなって。成長は嬉しいものだけれど、中身が伴なっていなければ意味がありませんよ。きちんとした淑女の自覚があるなら、礼儀くらいは弁えなさい」

 アシュレイはカリアナの挨拶に、笑顔で応えた。

 辛辣な助言にコリーヌがサッと青褪める。

 これでも前世と合わせて54年分の人生経験がある。

 修羅場も経験して、経験値もずいぶん上がった。
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