虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと

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34.幕間

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どうして俺はここまで汚れなくてはいけないのだろう。
最初から全てを持っていたのに。
何もかも持っていたはずなのに。
なんで、
なんで、
なんで。

俺の何がいけなかった?
俺に何が足りなかった?
どうすれば良かった?
わからない、
分からないーー

どうせ失敗する。
今までも、これからも。
同じように。
そういう風にできている。
それで、少し今よりも悪くなる。
それの繰り返し。

底はあるのか、
這い上がれる時はあるのか。
わからない、いや、
わかっているが、動かずには、いられない。

弟に全てを吸われている感覚。
だけれど、奴は殺せない。
見えない何かが守っている、
天使か悪魔か、神か死神か。
何かしらの見えない存在が邪魔をしている。

現状維持すら保てない。
次の敗北で今度は何を失うのだろう。

ーーなら、せいぜい派手に負けてやろう。
誰も彼もを巻き込んで、全てを台無しにしてやろう。
それが俺に出来ること。
俺にもできるちっぽけな犯行。

勝ち方は選べないが、負け方くらいは選べるはずだ。
勝ちに拘らなければ、嫌がらせに徹すれば、それくらいは。

ちまちま負けるからいけない。
全てを賭けてしまえばいい。
次の勝負など、負けた後のことなど考えないくらい全力を出せばいい。
そうすれば、少なくとも、これで戦うのは最後になる。
もう、何も奪われなくて済む。

けど、もし。
何かの間違いで。
運良く成功したら。
その時、俺はどうするだろう。
久方ぶりの成功をうまく手中に収めることが出来るだろうか。
喜び、驚きのせいで取りこぼすことはないだろうか。

考えても仕方がない。
いつの間にかこべりついた、負け犬根性。
生きている限りは、こいつと共にいるしかない。

頭を大きく振り、振り払う。
俺は大丈夫だ。
俺は強い、そして賢い。
自分で自分を鼓舞する。
誰も褒めてくれないなら、俺自身でやるしかない。
自給自足。

「アンドレアル様」

辛気臭い従者が俺を呼ぶ。

「お客様がお見えです」

そうか、と短く答える。
タイミングが悪い女もいるものだ。
人が暗い気持ちの時にやってくるとはーーまあいいか。
逆に人に会っている時の方が気が紛れる。

立ち上がり、外向けの顔を作る。
自信満々、軽佻浮薄。
偽りの自分を。
ずかずかと歩き、客人の待つ場所へと進む。
扉を乱暴に開け放ち、言う。

「わざわざ出向いてもらってすまないね。手間を取らせた」

麗しき客人に告げる。
自分を偽りながら。
尊大に構えながら。

「さて、愛しの我が弟を貶める覚悟は、できたかい?」

意地悪そうに告げるのだ。
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