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第14章 そして神になった
31【スカウト3】
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<<信長視点>>
「なるほど、そうであれば是が非でも我が家督を継ぐ必要があるわけだな。」
「ええ、もちろんそのおつもりでたわけものを演じておられるのですよね。」
こいつ、俺の演技を見破っておるのか。どうやらこいつの言っていることは間違いなさそうだな。
魑魅魍魎の類でもなさそうだし、ここはひとつ乗ってやるか。
「信長さん、魑魅魍魎と一緒にしないで下さいよ。まあ信じられないのも無理はありませんから、その乗っかるっていうので良いですよ。
わたしは情報をお伝えしますから、信長さんは上手くやって天下を統一して下さいね。」
うっ、心を読まれるとは。まあ良い。考えと行く先も同じだ。
その上異国の情報も入ってくるのであれば是非もあるまい。
「そうですよ。ギブアンドテイクで行きましょう。」
「ぎぶあ?」
「ああギブアンドテイクです。異国の言葉で『持ちつ持たれつ』ってとこですかね。ポルトガル語だとダーリへセッビーですかね。
そうそう、さっそく情報です。
ここからずっと南西に行った日本の果てに種子島というところがあります。
ご存じですか?
そこにですね、8年ほど前にポルトガル人が漂着して鉄砲というものを伝えていきました。ご存じですよね。」
「ああ、堺の商人から聞いておる。」
「ではザビエルのことは?」
「ああ数年前にポルトガルから新しい宗教を広めに来た僧侶だな。」
「よくご存じですね。そう、そのポルトガルが曲者なのです。
あの国は確かに文化も技術もこの日本より進んでいますが、異国の民を奴隷にしてしまう恐ろしい文化も持っているのです。
特にあのキリスト教という宗教。キリスト教自体は問題ないのですが、ポルトガルやその周辺国はあのキリスト教を利用して他の国の民を篭絡し、奴隷にまで貶めるのです。」
そんな危険な国が日本に入ってきているのだな。なんとしても早急に手を打たないと、今の義輝公であればまず大丈夫だと思うが、その後を継ぐものでは、まんまと騙されるに違いない。
何とか義輝公が将軍の間に天下を取らねばな。
「承知した。今後も我の支援を頼んだぞ。タケイナー殿」
それから2年。
妻である帰蝶の親父殿斉藤道山からの後ろ盾を得た俺は、本格的に行動を起こす。
まずは尾張下四郡の守護代で主筋の織田信友を追放。
そしてお家騒動の原因となった弟信行の勢力を削ぎ、その後死に追いやる。
そして家督を継いで8年後、ついには尾張上四郡の守護代、織田信賢を追放して尾張を統一したのだ。
もちろんその裏にはタケイナー殿の支援があったのは言うまでもない。
その翌年、上洛して征夷大将軍の地位を奪おうとする今川義元を桶狭間で破り、松平元康と和睦し、彼との同盟により後顧の憂いを取り払った俺は美濃を攻め滅ぼす。
その後武田信玄が攻めてくる危機があったが、信玄の死去により危機を回避。
あのまま攻められていたらと思うと冷や汗が止まらなかったが、タケイナー殿が上手くやってくれたようだ。
その後対立関係にあった足利義昭を追放して浅井、朝倉を攻め滅ぼした。
この間、自領の尾張では楽市楽座や兵農分離など民への施策も忘れない。
タケイナー殿との約束であるからな。
皆に奇天烈な政策だと言われようが、たびたび夢に出てくるタケイナー殿の満足そうな顔を見ていれば、間違っていないと確信できた。
そしてついに宿敵武田を滅ぼしたのが家督相続後31年の時を経た49歳の時であった。
いよいよ天下布武となった俺は京へと向かう。
5年前、秀吉に中国地方の毛利征伐を命じたのだが、いよいよ決着がつきそうだということで、全国に号令を出すためだ。
ポルトガルとの交渉も上手く往なしながら新しい文化を取り込んできた。
日本国も統一の目途が立ち、平和な世の中になろうとしている。
タケイナー殿から身辺に気を付けるようにと注意されていたのだが、俺は50歳を前に少々焦っていたのかもしれなかった。
本能寺に滞在中に光秀に襲われ、死んでしまうことになった。
それが仮にタケイナー殿の計略であったとしても、是非もなかろう。
<<タケイナー視点>>
いやあ、信長さん、よく頑張ってくれました。
何とか戦乱も収まり、ポルトガルの侵略もされなくて済みましたし、うまく文化を取り入れて日本独自文化へと昇華させていってくれましたね。
惜しむらくは明智光秀の謀略を見抜けなかったことですが、彼には後継者たる羽柴秀吉君がいます。
彼なら信長さんよりも苛烈では無い分、上手くやってくれますよね。
ということで信長さんお疲れ様でした。
わたしも運営課からせっつかれていたこともあり、最後は少し強引な気もしましたが、無事に信長さんを異世界に転生させることが出来ました。
恐らく大丈夫だと思うのですが、もしかしたら信長さんには最後の最後でわたしが仕掛けたことを見抜かれていたかもしれませんね。
スカウト編 完
---------------------------
歴史物になってしまいました。
人事課の地球での仕事ぶりを紹介したかっただけなのですが。
面白かったと思われましたら、感想お願いします。
お読み頂き有難うございました。
「なるほど、そうであれば是が非でも我が家督を継ぐ必要があるわけだな。」
「ええ、もちろんそのおつもりでたわけものを演じておられるのですよね。」
こいつ、俺の演技を見破っておるのか。どうやらこいつの言っていることは間違いなさそうだな。
魑魅魍魎の類でもなさそうだし、ここはひとつ乗ってやるか。
「信長さん、魑魅魍魎と一緒にしないで下さいよ。まあ信じられないのも無理はありませんから、その乗っかるっていうので良いですよ。
わたしは情報をお伝えしますから、信長さんは上手くやって天下を統一して下さいね。」
うっ、心を読まれるとは。まあ良い。考えと行く先も同じだ。
その上異国の情報も入ってくるのであれば是非もあるまい。
「そうですよ。ギブアンドテイクで行きましょう。」
「ぎぶあ?」
「ああギブアンドテイクです。異国の言葉で『持ちつ持たれつ』ってとこですかね。ポルトガル語だとダーリへセッビーですかね。
そうそう、さっそく情報です。
ここからずっと南西に行った日本の果てに種子島というところがあります。
ご存じですか?
そこにですね、8年ほど前にポルトガル人が漂着して鉄砲というものを伝えていきました。ご存じですよね。」
「ああ、堺の商人から聞いておる。」
「ではザビエルのことは?」
「ああ数年前にポルトガルから新しい宗教を広めに来た僧侶だな。」
「よくご存じですね。そう、そのポルトガルが曲者なのです。
あの国は確かに文化も技術もこの日本より進んでいますが、異国の民を奴隷にしてしまう恐ろしい文化も持っているのです。
特にあのキリスト教という宗教。キリスト教自体は問題ないのですが、ポルトガルやその周辺国はあのキリスト教を利用して他の国の民を篭絡し、奴隷にまで貶めるのです。」
そんな危険な国が日本に入ってきているのだな。なんとしても早急に手を打たないと、今の義輝公であればまず大丈夫だと思うが、その後を継ぐものでは、まんまと騙されるに違いない。
何とか義輝公が将軍の間に天下を取らねばな。
「承知した。今後も我の支援を頼んだぞ。タケイナー殿」
それから2年。
妻である帰蝶の親父殿斉藤道山からの後ろ盾を得た俺は、本格的に行動を起こす。
まずは尾張下四郡の守護代で主筋の織田信友を追放。
そしてお家騒動の原因となった弟信行の勢力を削ぎ、その後死に追いやる。
そして家督を継いで8年後、ついには尾張上四郡の守護代、織田信賢を追放して尾張を統一したのだ。
もちろんその裏にはタケイナー殿の支援があったのは言うまでもない。
その翌年、上洛して征夷大将軍の地位を奪おうとする今川義元を桶狭間で破り、松平元康と和睦し、彼との同盟により後顧の憂いを取り払った俺は美濃を攻め滅ぼす。
その後武田信玄が攻めてくる危機があったが、信玄の死去により危機を回避。
あのまま攻められていたらと思うと冷や汗が止まらなかったが、タケイナー殿が上手くやってくれたようだ。
その後対立関係にあった足利義昭を追放して浅井、朝倉を攻め滅ぼした。
この間、自領の尾張では楽市楽座や兵農分離など民への施策も忘れない。
タケイナー殿との約束であるからな。
皆に奇天烈な政策だと言われようが、たびたび夢に出てくるタケイナー殿の満足そうな顔を見ていれば、間違っていないと確信できた。
そしてついに宿敵武田を滅ぼしたのが家督相続後31年の時を経た49歳の時であった。
いよいよ天下布武となった俺は京へと向かう。
5年前、秀吉に中国地方の毛利征伐を命じたのだが、いよいよ決着がつきそうだということで、全国に号令を出すためだ。
ポルトガルとの交渉も上手く往なしながら新しい文化を取り込んできた。
日本国も統一の目途が立ち、平和な世の中になろうとしている。
タケイナー殿から身辺に気を付けるようにと注意されていたのだが、俺は50歳を前に少々焦っていたのかもしれなかった。
本能寺に滞在中に光秀に襲われ、死んでしまうことになった。
それが仮にタケイナー殿の計略であったとしても、是非もなかろう。
<<タケイナー視点>>
いやあ、信長さん、よく頑張ってくれました。
何とか戦乱も収まり、ポルトガルの侵略もされなくて済みましたし、うまく文化を取り入れて日本独自文化へと昇華させていってくれましたね。
惜しむらくは明智光秀の謀略を見抜けなかったことですが、彼には後継者たる羽柴秀吉君がいます。
彼なら信長さんよりも苛烈では無い分、上手くやってくれますよね。
ということで信長さんお疲れ様でした。
わたしも運営課からせっつかれていたこともあり、最後は少し強引な気もしましたが、無事に信長さんを異世界に転生させることが出来ました。
恐らく大丈夫だと思うのですが、もしかしたら信長さんには最後の最後でわたしが仕掛けたことを見抜かれていたかもしれませんね。
スカウト編 完
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歴史物になってしまいました。
人事課の地球での仕事ぶりを紹介したかっただけなのですが。
面白かったと思われましたら、感想お願いします。
お読み頂き有難うございました。
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