最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第14章 そして神になった

32【スタンピード1】

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<<転移者シノブ視点>>

やったね!どうしても来たかった異世界にやっと来れたよ。

しっかし、ついてたよなあ。

まさかの転校生が、転移からの帰還者だったとはね。



一昨日わたしのクラスに転校してきた和也君。

カッコ良かったし、席も隣になっちゃったんだから、もう彼氏にするしかないでしょ。

早速声を掛けたわ。

そしたらさー、向こうもゴリゴリなわけ!

初日から同伴で帰宅よ。

さすがに家に入れる訳にはいかないからさー、近所の公園で少し寄り道したの。

地元の高校だから駅前を通らないのがかなり残念なんだけど、この公園だって結構イケてるんだから。

わたしって、こう見えて身持ちが固いからさ~、未だ男の子とお付き合いしたことないんだ。

みんなには内緒だよ。

だから、勢いで誘ってちょっと困ってるの。

こんな時って男の子が、気を遣ってくれるって少女漫画に書いてあったのに和也君ってば、わたしに話させてばかりでニコニコしてるだけなんだよね。

本当困ったわ。

最近の歌手の話しとか、オンラインゲームの話しとかするんだけどイマイチノリが悪いのよ。

でもね、嫌がってるんじゃないんだよね。

だってね、凄く興味を持って、「それでどうなるの?」って、食い付きが良いんだから。

ただたまにピントがずれてるのよ。

好きなゲームを聞いたら答えてくれたんだけど、お父さんの昔話に出てくるような古いやつだし、オンラインゲームは電話代を気にしてるし。

ね、おかしいよね。

まるでお父さんと話しをしてる気分になっちゃった。

冗談半分でそう言ったらさー、和也君真顔になっちゃった。

「しのぶさん、あのさあ異世界物のラノベって好き?」

「えっ、え~と、みんなには言わないでね。

だーいすき!」

「そーか、じゃあさ、異世界ってあると思う?」

「あると思うわ。だってね、無くっちゃあんな小説書けないと思うし、わたし達の知らないことがあった方が面白いもん。」

「じゃあさ、俺の話しも真剣に聞いてくれるかな。

実は俺はね、異世界に転移してて、昨日帰ってきたばかりなんだ。」

和也君の突然のカミングアウト。

冗談よね。きっと冗談よ。

「驚いた?驚くよね。

俺向こうに30年くらいいたから、本当の年齢は40過ぎてるんだ。

向こうでの仕事が、終わったから戻って来たんだけど、行った時の年齢に戻ったんだよね。

だから、俺の話しって古いだろ。

これからこっちでね、高校生からやり直せるように、女神様が計らって下さったんだ。」

あんまりに真剣に話すから、突っ込むのも忘れて唖然としちゃった。

「やっぱり信じられないよね。
ウソウソ忘れて。」

忘れてって言う顔があんまりにも寂しそうだったから、もしかしたらって思っちゃった。

「じゃあさ、異世界でのお話しいっばい聞かせて!」

微笑みながら言うわたしに、和也君、嬉しそうにいろいろと話してくれたの。





チャポッ

「しっかし和也君の話し面白かったなあ。わたしも行きたいなー なんてね。」

お風呂に浸かりながら昼間の和也君の話しを思い返していた。

とっても作り話に聞こえないくらいに詳細で1時間近くのめり込んで聞いちゃった。

おかげでもうこんな時間。

お風呂を出て頭にバスタオルを巻いたらリビングへ。

珍しくお父さんが帰ってきている。

「お父さんお帰りー。」

「ただいま、しのぶ。」

「なにしてんの?」

「ああこれか、お婆ちゃん家から高校の時の卒業アルバムを取ってきたんだ。
しのぶも見るかい。」

お父さんの横に座って古びたアルバムをのぞき込む。

よくある卒業アルバム。やんちゃな子がいたり、髪型が昭和だったり。
へー、あんな長いスカート履いていたんだー。

あれっ?

見たことのある顔が映ってる。
お父さんじゃないよ。

和也君?

集合写真の上の方、四角い枠の中にいる。

わたしが凝視しているとお父さんが話しかけてきた。

「ああ、その子はね、たしか高2の夏に行方不明になっちゃったんだよ。えーとたしか、椎名、そう椎名和也だっけ。

夏休みに川に行ったんだけど、そこで小さな子供が溺れてたから助けに行って行方不明になっちゃったんだったかな。」

その後の話しはほとんど覚えていない。



.......あまり眠れなかった。

翌日、学校に向かう途中、交差点の真ん中あたりに和也君が歩いていた。

「おーい、和也くーーーん。」

追いつこうと青信号を確認して交差点の中へ。

わたしの声に気付いて和也君が慌ててる。

「だめだ、しのぶちゃん来ちゃだめだーー!!」

どうして?そんなに力いっぱい拒否しなくても!
わたし達の仲じゃない。

和也君に追いついたと思った時、見えたのは光る魔方陣みたいなのと、突っ込んでくるノーブレーキのトラック。

和也君に手を掴まれてそのまま意識を失った。







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