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第6話:初デートは妹同伴
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放課後、いつもなら真っ直ぐに城へ戻らなければならないリュカリウスが校門に立っていた。
生徒たちの視線を浴びる中、リーリャは緊張の面持ちでリュカリウスの元へ。
「やあ!リーリャ」
「今日は直ぐ帰らなくて良いんですか?」
「寄り道する許可を得たよ、何処か行かないか?」
何処かへと言われても、遊びの経験が殆どないリーリャには何も思い浮かばない。
そこへ、アーリャが駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん!」
「アーリャ!?」
「殿下、姉と何処かへ行かれるんですか?ご一緒したいな~なんて…駄目ですか?」
キラキラした目でリュカリウスを見上げるアーリャ。
応援してくれるのではなかったのか?と戸惑うリーリャに、アーリャは軽くウインクをする。
(初デートの邪魔してごめんね~)
(な、なんでいるのよ?)
(だーって、あたしだって売り込んでおきたいもん!王子は無理でも、玉の輿相手は他にもいるはず!)
コソコソ話し合う姉妹を温かい目で見つめていたリュカリウスは、ニコニコと微笑みながらアーリャの同行を許した。
「いいよ、アーリャだったかな?君にも話したい事があるし」
「ありがとうございます!お勧めのお店があるんです、静かな個室付きなのでそこにしませんか?」
街中の店はほぼ来店済みだというアーリャの案内で、三人は落ち着いた雰囲気のレストランに入る。
「アーリャってば色んなお店を知ってるのね」
「当然よ!だって村には無いお店ばっかりで楽しいもん」
田舎から出てきた二人にとって、王都は夢のような街。
リーリャは派手なものを好まないためあまり興味がなかったが、アーリャにとっては憧れの街であり宝の山のようだった。
「お姉ちゃんも色々見てまわれば良いのに~、卒業まで全然遊ばないつもりなの?」
「寮の部屋の方が落ち着くんだもの…」
「リーリャのそういうところも魅力的だな」
サラリと言うリュカリウスに、リーリャは慌てる。
「で、殿下!」
「何か問題でも?」
「大有りですよ、妹の前で…恥ずかしいです」
「お二人は付き合ってるんですかー?」
二人の様子から確信していたけれど、あえてリュカリウスに問いかけるアーリャ。
「うん。今日から正式にお付き合いすることになったよ」
「わあ!おめでとうございます!よかったねお姉ちゃん、ちゃんと言えたのね」
「う、うん…ありがとうアーリャ」
「アーリャはリーリャの気持ちを知っていたの?」
「昨日話を聞いて、好きなら素直に言った方がいいって言ったんです」
「そうか、じゃあ今日話してくれたのは君のおかげだったんだね。ありがとう」
本心からの笑みを向けられ、アーリャは軽く赤面する。
「あーあ、お姉ちゃんが羨ましい!あたし、玉の輿狙ってるんです。素敵な人居ませんか?」
直球過ぎる要求にリュカリウスは目を丸くし、リーリャは慌てた。
「ちょ、ちょっとアーリャ!何言ってるのよ!」
「だって、お姉ちゃんが王子のお妃様になったら、あたしにもチャンスあるでしょ?でも後から寄ってくる変なやつなんて嫌だもん、王子お勧めの人とか居ないかなーって」
それを聞き、リュカリウスは思わず噴き出す。
「ふふっ…面白い子だね」
「すみません、変な事を言って…」
「そうだなあ、君は気が強そうだし面白そうだから、エレンと気が合うかも知れないな」
そう言って部屋の入り口に立っていた護衛へと視線を送るリュカリウス。
突然話を振られた彼、エレンの肩が跳ねた。
「は!?俺!?」
「そろそろ彼女が欲しいって言ってたじゃないか」
「いや、それはそうですけど…」
「俺の護衛してると意外と出会いが少ない!って嘆いてただろう?」
出会い自体はあるのだが、女達は皆リュカリウス目当て。
そして護衛という立場が邪魔をして、声を掛けることもできず。
恋がしたいお年頃のエレンは二十歳になったばかりで、アーリャの可愛らしさに正直一目惚れだった。
生徒たちの視線を浴びる中、リーリャは緊張の面持ちでリュカリウスの元へ。
「やあ!リーリャ」
「今日は直ぐ帰らなくて良いんですか?」
「寄り道する許可を得たよ、何処か行かないか?」
何処かへと言われても、遊びの経験が殆どないリーリャには何も思い浮かばない。
そこへ、アーリャが駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん!」
「アーリャ!?」
「殿下、姉と何処かへ行かれるんですか?ご一緒したいな~なんて…駄目ですか?」
キラキラした目でリュカリウスを見上げるアーリャ。
応援してくれるのではなかったのか?と戸惑うリーリャに、アーリャは軽くウインクをする。
(初デートの邪魔してごめんね~)
(な、なんでいるのよ?)
(だーって、あたしだって売り込んでおきたいもん!王子は無理でも、玉の輿相手は他にもいるはず!)
コソコソ話し合う姉妹を温かい目で見つめていたリュカリウスは、ニコニコと微笑みながらアーリャの同行を許した。
「いいよ、アーリャだったかな?君にも話したい事があるし」
「ありがとうございます!お勧めのお店があるんです、静かな個室付きなのでそこにしませんか?」
街中の店はほぼ来店済みだというアーリャの案内で、三人は落ち着いた雰囲気のレストランに入る。
「アーリャってば色んなお店を知ってるのね」
「当然よ!だって村には無いお店ばっかりで楽しいもん」
田舎から出てきた二人にとって、王都は夢のような街。
リーリャは派手なものを好まないためあまり興味がなかったが、アーリャにとっては憧れの街であり宝の山のようだった。
「お姉ちゃんも色々見てまわれば良いのに~、卒業まで全然遊ばないつもりなの?」
「寮の部屋の方が落ち着くんだもの…」
「リーリャのそういうところも魅力的だな」
サラリと言うリュカリウスに、リーリャは慌てる。
「で、殿下!」
「何か問題でも?」
「大有りですよ、妹の前で…恥ずかしいです」
「お二人は付き合ってるんですかー?」
二人の様子から確信していたけれど、あえてリュカリウスに問いかけるアーリャ。
「うん。今日から正式にお付き合いすることになったよ」
「わあ!おめでとうございます!よかったねお姉ちゃん、ちゃんと言えたのね」
「う、うん…ありがとうアーリャ」
「アーリャはリーリャの気持ちを知っていたの?」
「昨日話を聞いて、好きなら素直に言った方がいいって言ったんです」
「そうか、じゃあ今日話してくれたのは君のおかげだったんだね。ありがとう」
本心からの笑みを向けられ、アーリャは軽く赤面する。
「あーあ、お姉ちゃんが羨ましい!あたし、玉の輿狙ってるんです。素敵な人居ませんか?」
直球過ぎる要求にリュカリウスは目を丸くし、リーリャは慌てた。
「ちょ、ちょっとアーリャ!何言ってるのよ!」
「だって、お姉ちゃんが王子のお妃様になったら、あたしにもチャンスあるでしょ?でも後から寄ってくる変なやつなんて嫌だもん、王子お勧めの人とか居ないかなーって」
それを聞き、リュカリウスは思わず噴き出す。
「ふふっ…面白い子だね」
「すみません、変な事を言って…」
「そうだなあ、君は気が強そうだし面白そうだから、エレンと気が合うかも知れないな」
そう言って部屋の入り口に立っていた護衛へと視線を送るリュカリウス。
突然話を振られた彼、エレンの肩が跳ねた。
「は!?俺!?」
「そろそろ彼女が欲しいって言ってたじゃないか」
「いや、それはそうですけど…」
「俺の護衛してると意外と出会いが少ない!って嘆いてただろう?」
出会い自体はあるのだが、女達は皆リュカリウス目当て。
そして護衛という立場が邪魔をして、声を掛けることもできず。
恋がしたいお年頃のエレンは二十歳になったばかりで、アーリャの可愛らしさに正直一目惚れだった。
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