目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶

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プロポーズは突然に

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ざわ…ざわ…

ステージ上で赤くなったり青くなったりしているトーマス様とサリー様に声を掛けたのは、エレノア様じゃなかった。


「終わりましたか?」


大声じゃないのにスッと通る綺麗な声。

みんなが一斉に開けた道の先にいたのは、卒業生の一人でもある第二王女アリア様。

いつもはふんわり微笑んでいる美人さんなんだけど、今は物凄く冷たい目をしている。


「あ、アリア様…」

「トーマス・カラーポ、サリー・シーリガル。あなた達は何をしているのですか?今日という日はわたくし達にとって門出の日だというのに」


学校内では学生として平等に接することができても、卒業したら貴族と平民の壁に阻まれる人達も多い。

どんなに仲良くなっても、二度と会えないという人達も珍しくない。

だから卒業式は特別なんだ。

大切な瞬間をプレゼントしたかったから私達も送る会を頑張ったのに。

ぶち壊されて怒っていたのは私達だけじゃない、むしろ主役であるアリア様達の方が怒っていた。


「婚約者がいる身でありながら他の女性と親しくなり、その女性の言葉だけを鵜呑みにして調査もせずに婚約者を糾弾。晴れの舞台を台無しにしてまで何をし始めたかと思えば、何も考えていない様子。呆れて言葉を失っておりましたわ」


アリア様の周囲にブリザードが見える…そんな気がした。

しかもアリア様の隣にいるのって、第一王子のレオン様じゃん!

去年の卒業生で超イケメン、お世継ぎなのに偉そうにしない気さくな性格。

卒業式の保護者席にいらしたから、そのままお祝いのために来てくれてたみたい。

目立つ人なのに気づかなかった…気づいてたらもっと見たかったのになあ。


「レオン殿下まで…」

「レオン様ぁ、お会いしたかったですわ!」


サリー様が猫撫で声でレオン様の名前を呼んで駆け寄ろうとした。

ちょ、待てよ。

トーマス様に近づいたのはエレノア様への嫌がらせだったっぽいけど、さっきの今でレオン様にまで!?

羨まし…いや、けしからん!

でもレオン様にはしっかり護衛がついているからサリー様はアッサリ止められた。

今にも剣を抜きそうな護衛さん達が頼もしくてかっこいい!


「無礼者!許可無く近寄るな!」

「ひっ…!」


さすがのサリー様も命は惜しいみたいで後ずさる。


「カラーポ伯爵家とシーリガル子爵家か…調べる必要がありそうだな。この件は私が預かろう、両名は直ちに帰宅し待機するように」

「そ、そんな…殿下…」

「不服か」

「い、いえ!」


トーマス様はサリー様を引っ張って会場から出て行った。


「見張りをつけるからな、妙な真似をしても無駄だぞ」


二人の背中に向かって追い討ちをかけるレオン様。

王子モードのレオン様もカッコいい!

すっかりミーハーモードになってる私に、エレノア様が声を掛けてきた。


「ティーリャちゃん、巻き込んでしまってごめんなさい。でも、ありがとう…嬉しかったわ」


私はエレノア様の手を握って心からの言葉を贈る。


「エレノア様、私達はエレノア様を信じていますし尊敬しています。卒業しても味方ですよ、どうか覚えていてくださいね」

「ティーリャちゃん…」

「ずっとずっと応援してます!」


二年生一同、エレノア様親衛隊なのだ!

身分が違うからもう会えないかも知れないけど、私達にとってエレノア様が先輩でいてくれた時間はかけがえのない思い出だ。


「エレノアは良い後輩に恵まれたのだな」


レオン様が笑顔で近づいてきた。

ぐはっ!間近で見る破壊力!


「みんな良い子達でしょう、お兄様。わたくしにとっても自慢の後輩達なのよ」


アリア様までそんな事を言ってくれて、感激しちゃう。

美男美女が至近距離にいて目が足りない。

チラッと同級生達を見ると、みんな目が回りそうになっていた。


「レオン様、アリア様。そしてみなさんも…わたくしのせいで騒ぎになってしまい申し訳ございませんでした」

「貴女のせいではないわ、あの二人がおかしかったのよ。わたくしこそ、もっと早く止めてあげればよかったわね、ごめんなさい」

「いいえアリア様、同じ学年だというのにトーマス様ときちんと話もしなかったわたくしの責任ですわ」


そんな事ない、エレノア様に悪いところなんてあるわけない。

私はたまらずエレノア様を抱きしめた。


「謝らないでくださいエレノア様。私達こそ、サリーさんが昼休みにどこへ行っているのか気を配るべきでした…居ないなって気づいてたのに気にしてなかったんです」


二年になってから私達に絡まなくなったサリー様。

平和になったね~って呑気な事言ってる間に、まさかトーマス様を略奪しに行っていたとは。

同級生なんだからもう少し気にしていればよかったのかもしれない。

私達がペコペコ謝りあっていると、


「ふっ…面白いな」


レオン様が笑った。

笑顔も声もカッコイイ!素敵すぎるんだよー!

ここで目がハートになったりしたらサリー様と同類だと思われる、そう思って気を引き締めてたら。


「ティーリャ嬢と言ったか。其方、特定の相手は居るのか」

「へっ?」

「恋人、婚約者、想い人。そういった者はいるのか?」

「い、居ません…」


なんでそんな事聞くの?

訳がわからない、そんな私に、レオン様は。


「ふむ。ならば君に婚約を申し込もう」


サラッと爆弾発言してくれた。


「…へ?え?」


なんて?聞き間違い?幻聴??


「是非とも我が妃になって欲しい」

「え、無理ですよ平民ですよ庶民ですよ??」

「前例はある、問題ない。うるさい奴がいても黙らせるからな」


頼もしいなー、さっすがレオン様カッコイイー。

…じゃなくて!


「で、でも…そんな…」


レオン様に憧れてはいたけど、お世継ぎであるレオン様の妃ということは未来の王妃って事で。

そんな大役務まらないよ!


「嫌か?」

「嫌な訳ないです嬉しいです!」


そんなしょんぼりした顔されたら断れないし!


「では、受けてくれるか」

「喜んで!」


こうして私とレオン様の婚約が成立してしまった。

おかしいな、エレノア様の助けになりたいと思っただけだったのに。

私よりもエレノア様のほうがレオン様にお似合いなのになあ。


ーーーあの騒ぎの後、仕切り直して卒業生達はお別れ会をした。

そして私は、陛下達にご挨拶するために城へ呼ばれている。



「あ、あの…殿下」

「レオン、と呼んでくれ」

「れ、レオン様…どうして私なんですか?」

「学校内とはいえ、貴族であるトーマスに立ち向かう勇気。エレノアを信じる優しさ、真実を見失わない力。それらの正義感は妃に相応しい」


そんなんで良いの?そんなの、たまたま最初に声をあげたのが私だったってだけなのに。

でもレオン様はとっても優しい笑顔を向けてくれる。


「気に入ってしまったのだから仕方ないだろう?逃しはしないぞ」


超イケメン王子にそんなこと言われる人生になるとは。

嬉しいけど恥ずかしい!


「照れた顔も可愛いな」

「かっ、からかわないでください…!」

「素直な気持ちだぞ?」

「恥ずかしい…です」

「嫌か?」

「…嬉しい」


なら良かった、って笑うレオン様。

素敵すぎて実感湧かないまま国王陛下と王妃様へのご挨拶をして、王子が選んだなら良いよーって凄く軽いノリで許可貰えて、うちの両親も呼び出されて。

バタバタしてる間にトントン拍子に話が進んでく。


「では改めて。これからよろしく、ティーリャ」

「は、はい…よろしくお願い致します、レオン様」


レオン様にはよく分からないツボがあるみたいで、デートするといつも可愛い可愛いって甘やかしてくれた。

その後も私の意見を面白がったり真剣に聞いてくれたりして良い関係になっていく日々は凄く幸せで。

最初は庶民が王太子妃候補なんて!って反対されたり嫌がらせされたり、自分もいけるって思ったらしい御令嬢達に邪魔されたりもあったけど。

王子の私への溺愛ぶりが凄すぎて、一年過ぎた頃にはほとんど誰も何も言わなくなっていた。


「愛しているよ、可愛いティーリャ」


恥ずかしくてくすぐったいけど、幸せです!


ーーーあ、トーマス様達がどうなったかって?

親から大目玉食らって、さらにはガッツリ慰謝料も請求されて。

トーマス様は鉱山へ派遣され、サリー様は食堂の雑用係になって必死に働いているらしいよ。
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感想 6

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みんなの感想(6件)

おねね
2025.11.09 おねね

サリーとトーマスの家名が面白すぎる
サリーは娼館行きで良かったのでは?
あれ?罰にならないからか。

解除
たまごやき
2025.07.04 たまごやき

家名でむせましたw

解除
たまごやき
2025.07.04 たまごやき

家名でむせましたw

解除

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