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第14話封印が解ける音
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白い光が、庭一面に吹き荒れるように広がっていく。
私の体の奥から湧き出るそれは、熱いのに痛くない、不思議な力だった。
政宗さんが驚いたように振り返り、私を見つめる。
『椿様……これは……』
「わ、私……どうしたの……?」
自分でもわからない。
ただ、胸の奥に長い間閉じ込められていた何かが、外へ出たがっている。
すると、上空から姉の声が響いた。
『やっぱり……!
椿、その力……封印が完全に解けかけているわ』
姉の顔は驚愕と、焦りと、欲の混じった表情だった。
『あれほど深く封じたのに、九尾と関わったせいで――目覚めたというの?』
「封印……? 本当に私……封じられてたの?」
姉は苦笑するように視線を落とした。
『椿。あなたの力は“異常だった”のよ。
八代家の中でも突出して強く、扱いきれないほどの霊質――だから父と母は恐れたの』
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がズキッと痛む。
悪いのは私じゃなくて――
私を「出来損ない」と言った人たちの方じゃないのか。
私は声を震わせながら尋ねた。
「なら……どうして出来損ないなんて……言ったの……?」
姉は一瞬、悲しそうな表情をした。
けれどすぐに冷たく微笑む。
『力を隠すためよ。
本当の価値を知られては困る相手が多かったから。
だから無能と言い続けたの。
あなた自身にも、周囲にも、悟られないように』
「私を守るため……じゃなくて?」
『八代家を守るためよ』
その言葉に、何かがプツリと切れた。
政宗さんが前に出て、静かな声で告げる。
『その結果、椿様の心を傷つけた。
封印するだけでは飽き足らず、価値のない人間だと刷り込んだ。
――人の形をして、よくそんな真似ができますね』
姉の表情がピシッと固まる。
『九尾……あなたに言われる筋合いはないわ』
『ありますよ。
私は椿様を救ってもらった存在ですから』
政宗さんは一歩、私の横に立つ。
そのまま、姉を真っ直ぐに見上げ、冷たく言い放った。
『椿様が何者かは、八代家ではなく――
椿様自身が決めることです』
姉の表情が強張り、怒りの色を見せる。
『……やっぱり、あなたとは話が合わないわね。
いいわ、力づくで連れ帰る』
姉の合図とともに、式神の群れが一斉に動き出す。
空を覆う黒い影が、こちらへと殺到する――その瞬間。
風が逆巻いた。
私の足元から、白い光の渦が勢いよく立ちのぼる。
自分の体から放たれる光に、私自身が目を見開いた。
「……え……?」
式神たちが、光に触れた瞬間、弾かれるように霧散する。
姉は驚愕で目を見開く。
『ば、バカな……!
椿……まだ完全に封印は解けていないはず……!』
政宗さんが静かに言う。
『椿様は、思っている以上に強い。
――封印を超えてしまったのかもしれません』
胸の奥が熱くなる。
体の中に、白い炎が灯っているみたいだった。
怖くない。
むしろ、力が湧いてくる。
私は震える声で問いかけた。
「政宗さん……私……どうしたらいいの……?」
『大丈夫です。椿様はただ、心を向けるだけでいいのです。
守りたいと思うものに、力は応えます』
「守りたい……」
私の脳裏には、政宗さんの笑顔が浮かんだ。
優しい手。
あたたかい声。
――守りたい。
――政宗さんを。
その瞬間、体を包む白い光が一気に膨れ上がり、夜空を照らす。
姉が後ずさる。
『っ……椿! やめなさい!
その力はあなたが扱えるものじゃない!』
私はゆっくりと顔を上げた。
「違うよ、お姉さま。
これは……私の力だよ」
声は震えていなかった。
胸の奥の光が、しっかりと私を支えてくれていた。
政宗さんがそっと微笑む。
『椿様、綺麗ですよ』
その一言で、力がさらに大きく流れ出す。
白い光が広がり、姉の式神たちを押し返していく。
空が揺れ、風が泣き、庭全体が白く染まる。
姉は歯噛みしながら叫んだ。
『まだよ……椿はまだ完全じゃない!
取り返すわ――必ず!』
その声を残して、姉の式神たちは霧のように消え去った。
風が止まり、光が少しずつ収まる。
私はその場に崩れ落ちそうになったが、政宗さんが抱き寄せてくれた。
「政宗、さん……私……」
『よく頑張りました。
とても、誇らしいですよ』
その声に胸がいっぱいになって、涙が溢れる。
私は政宗さんの胸に顔をうずめながら、小さく呟いた。
「……私……強くなれるかな……」
『はい。
そして椿様は、もう一人ではありません』
優しい手が、私の髪を撫でる。
封印は解けはじめた。
次は――
本当の覚醒が待っている。
私の体の奥から湧き出るそれは、熱いのに痛くない、不思議な力だった。
政宗さんが驚いたように振り返り、私を見つめる。
『椿様……これは……』
「わ、私……どうしたの……?」
自分でもわからない。
ただ、胸の奥に長い間閉じ込められていた何かが、外へ出たがっている。
すると、上空から姉の声が響いた。
『やっぱり……!
椿、その力……封印が完全に解けかけているわ』
姉の顔は驚愕と、焦りと、欲の混じった表情だった。
『あれほど深く封じたのに、九尾と関わったせいで――目覚めたというの?』
「封印……? 本当に私……封じられてたの?」
姉は苦笑するように視線を落とした。
『椿。あなたの力は“異常だった”のよ。
八代家の中でも突出して強く、扱いきれないほどの霊質――だから父と母は恐れたの』
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がズキッと痛む。
悪いのは私じゃなくて――
私を「出来損ない」と言った人たちの方じゃないのか。
私は声を震わせながら尋ねた。
「なら……どうして出来損ないなんて……言ったの……?」
姉は一瞬、悲しそうな表情をした。
けれどすぐに冷たく微笑む。
『力を隠すためよ。
本当の価値を知られては困る相手が多かったから。
だから無能と言い続けたの。
あなた自身にも、周囲にも、悟られないように』
「私を守るため……じゃなくて?」
『八代家を守るためよ』
その言葉に、何かがプツリと切れた。
政宗さんが前に出て、静かな声で告げる。
『その結果、椿様の心を傷つけた。
封印するだけでは飽き足らず、価値のない人間だと刷り込んだ。
――人の形をして、よくそんな真似ができますね』
姉の表情がピシッと固まる。
『九尾……あなたに言われる筋合いはないわ』
『ありますよ。
私は椿様を救ってもらった存在ですから』
政宗さんは一歩、私の横に立つ。
そのまま、姉を真っ直ぐに見上げ、冷たく言い放った。
『椿様が何者かは、八代家ではなく――
椿様自身が決めることです』
姉の表情が強張り、怒りの色を見せる。
『……やっぱり、あなたとは話が合わないわね。
いいわ、力づくで連れ帰る』
姉の合図とともに、式神の群れが一斉に動き出す。
空を覆う黒い影が、こちらへと殺到する――その瞬間。
風が逆巻いた。
私の足元から、白い光の渦が勢いよく立ちのぼる。
自分の体から放たれる光に、私自身が目を見開いた。
「……え……?」
式神たちが、光に触れた瞬間、弾かれるように霧散する。
姉は驚愕で目を見開く。
『ば、バカな……!
椿……まだ完全に封印は解けていないはず……!』
政宗さんが静かに言う。
『椿様は、思っている以上に強い。
――封印を超えてしまったのかもしれません』
胸の奥が熱くなる。
体の中に、白い炎が灯っているみたいだった。
怖くない。
むしろ、力が湧いてくる。
私は震える声で問いかけた。
「政宗さん……私……どうしたらいいの……?」
『大丈夫です。椿様はただ、心を向けるだけでいいのです。
守りたいと思うものに、力は応えます』
「守りたい……」
私の脳裏には、政宗さんの笑顔が浮かんだ。
優しい手。
あたたかい声。
――守りたい。
――政宗さんを。
その瞬間、体を包む白い光が一気に膨れ上がり、夜空を照らす。
姉が後ずさる。
『っ……椿! やめなさい!
その力はあなたが扱えるものじゃない!』
私はゆっくりと顔を上げた。
「違うよ、お姉さま。
これは……私の力だよ」
声は震えていなかった。
胸の奥の光が、しっかりと私を支えてくれていた。
政宗さんがそっと微笑む。
『椿様、綺麗ですよ』
その一言で、力がさらに大きく流れ出す。
白い光が広がり、姉の式神たちを押し返していく。
空が揺れ、風が泣き、庭全体が白く染まる。
姉は歯噛みしながら叫んだ。
『まだよ……椿はまだ完全じゃない!
取り返すわ――必ず!』
その声を残して、姉の式神たちは霧のように消え去った。
風が止まり、光が少しずつ収まる。
私はその場に崩れ落ちそうになったが、政宗さんが抱き寄せてくれた。
「政宗、さん……私……」
『よく頑張りました。
とても、誇らしいですよ』
その声に胸がいっぱいになって、涙が溢れる。
私は政宗さんの胸に顔をうずめながら、小さく呟いた。
「……私……強くなれるかな……」
『はい。
そして椿様は、もう一人ではありません』
優しい手が、私の髪を撫でる。
封印は解けはじめた。
次は――
本当の覚醒が待っている。
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