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第1話 用済みとなる日
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私は青き聖女と呼ばれ、その結婚相手は王子様だと前から決まっていた。
だけど、私の気分が晴れることはない。
なぜなら、私はアレックス殿下の望む相手ではないのだから。
聖女を国につなぎ止めるだけの結婚。
それだけの愛のない結婚。
王国にとって、聖女が不要になる時。
私はいったいどうなるのか。
でも、これだけははっきりと言える。
私はアレックス殿下を愛している、と。
「ソフィア! 下がれ!」
そう言ってくださったアレックス殿下を庇い、私は【不死者退散】の呪文を唱える。
聖女魔法の効果は絶大で、死霊に多大な損傷を与えることに成功。
しかし死霊は最後の力をふり絞り、毒の霧を生み出した。
私は咄嗟に息を止める。
だが間に合わず肺に僅かに入り込んだ毒が身体を冒していく。
ゴホッと咳をすると、鉄の味がする液体が喉からあふれ出た。
同時に私は目の前が暗くなり、意識が遠ざかっていく。
死とは、こんなに寒いものなのか。
でも、これでやっと。
もう聖女としての私の役目は終わっている。
その上で、私自身が殿下の役に立てたのであれば。
「殿下、大好きでした」
最後に殿下の盾となることができて、本当に、よかった——。
私には生まれつき身体に刺青のような、青い聖女を示す痣が刻まれていた。
痣を見て、平民の両親はいたく喜んだという。
私は王城に招かれ、両親と離れて過ごした。
同い年の第二王子アレックス殿下は、とても聡明で、顔立ちも整っていた。
剣の扱いはもちろん、頭脳明晰で皆の憧れの的だ。
アレックス殿下は、我こそはという貴族の少女たちにいつも囲まれている。
私は、アレックス殿下を遠くから眺めるだけだ。
時折目が合うと、彼は私を見据えてにっこりとしてくれる。
その視線をまっすぐに受け取れず、私は顔を赤く染め俯くだけ。
殿下の眼差しを想像するだけで、頬が熱を持った。
私はあくまで、アレックス殿下とは友人として接していた。
殿下に迫る貴族令嬢達に、城勤めの私が嫉妬されないように。
そして私が十五歳になったとき——。
「ソフィア、私と結婚して下さい」
第二王子アレックス殿下は私の前で跪き、そう言ってくださったのだ。
婚約は聖女である私を王国に繫ぎ止めるだけの政略に過ぎない。
あのキラキラした令嬢の方々と比べるべくもない。
私は劣等感を抱きながら城勤めを続けた。
毎日、聖女の力で結界を張り続けるという日々。
そんなある日、彼が見知らぬ令嬢と親しげに話をしているところを見かけた。
私は殿下の笑顔に激しく動揺する。
結婚は政略的なもので、殿下は私を愛してなどいない。
そう思っていたはずなのに。
以降、黒い強烈な嫉妬の感情を抱き、殿下を強く意識するようになってしまった。
私は間違いなく、アレックス殿下のことが好き。
でも、きっと。
殿下はあの令嬢のことが好きなのだろう。
身分も十分に高く、美貌はもちろん性格も温かく優しげな貴族の令嬢。
殿下の気持ちは、あの公爵令嬢の元にあるんだ……。
それ以降、私はできるだけ、感情を隠すようにして暮らすようになった。
「まだ結婚前であるし、聖女の力は男女の関係を持つと失われてしまう。そのため、寝室を分けたいと思う。だが、いずれ……体制が整って聖女としての働きが不要になった時は一緒に——」
殿下は、言葉を付け足して私の気持ちを引き留めようとしてくれた。
そんなこと言わなくても、私はずっとあなたのそばにいるのに。
——私が用済みとなるその日まで。
だけど、私の気分が晴れることはない。
なぜなら、私はアレックス殿下の望む相手ではないのだから。
聖女を国につなぎ止めるだけの結婚。
それだけの愛のない結婚。
王国にとって、聖女が不要になる時。
私はいったいどうなるのか。
でも、これだけははっきりと言える。
私はアレックス殿下を愛している、と。
「ソフィア! 下がれ!」
そう言ってくださったアレックス殿下を庇い、私は【不死者退散】の呪文を唱える。
聖女魔法の効果は絶大で、死霊に多大な損傷を与えることに成功。
しかし死霊は最後の力をふり絞り、毒の霧を生み出した。
私は咄嗟に息を止める。
だが間に合わず肺に僅かに入り込んだ毒が身体を冒していく。
ゴホッと咳をすると、鉄の味がする液体が喉からあふれ出た。
同時に私は目の前が暗くなり、意識が遠ざかっていく。
死とは、こんなに寒いものなのか。
でも、これでやっと。
もう聖女としての私の役目は終わっている。
その上で、私自身が殿下の役に立てたのであれば。
「殿下、大好きでした」
最後に殿下の盾となることができて、本当に、よかった——。
私には生まれつき身体に刺青のような、青い聖女を示す痣が刻まれていた。
痣を見て、平民の両親はいたく喜んだという。
私は王城に招かれ、両親と離れて過ごした。
同い年の第二王子アレックス殿下は、とても聡明で、顔立ちも整っていた。
剣の扱いはもちろん、頭脳明晰で皆の憧れの的だ。
アレックス殿下は、我こそはという貴族の少女たちにいつも囲まれている。
私は、アレックス殿下を遠くから眺めるだけだ。
時折目が合うと、彼は私を見据えてにっこりとしてくれる。
その視線をまっすぐに受け取れず、私は顔を赤く染め俯くだけ。
殿下の眼差しを想像するだけで、頬が熱を持った。
私はあくまで、アレックス殿下とは友人として接していた。
殿下に迫る貴族令嬢達に、城勤めの私が嫉妬されないように。
そして私が十五歳になったとき——。
「ソフィア、私と結婚して下さい」
第二王子アレックス殿下は私の前で跪き、そう言ってくださったのだ。
婚約は聖女である私を王国に繫ぎ止めるだけの政略に過ぎない。
あのキラキラした令嬢の方々と比べるべくもない。
私は劣等感を抱きながら城勤めを続けた。
毎日、聖女の力で結界を張り続けるという日々。
そんなある日、彼が見知らぬ令嬢と親しげに話をしているところを見かけた。
私は殿下の笑顔に激しく動揺する。
結婚は政略的なもので、殿下は私を愛してなどいない。
そう思っていたはずなのに。
以降、黒い強烈な嫉妬の感情を抱き、殿下を強く意識するようになってしまった。
私は間違いなく、アレックス殿下のことが好き。
でも、きっと。
殿下はあの令嬢のことが好きなのだろう。
身分も十分に高く、美貌はもちろん性格も温かく優しげな貴族の令嬢。
殿下の気持ちは、あの公爵令嬢の元にあるんだ……。
それ以降、私はできるだけ、感情を隠すようにして暮らすようになった。
「まだ結婚前であるし、聖女の力は男女の関係を持つと失われてしまう。そのため、寝室を分けたいと思う。だが、いずれ……体制が整って聖女としての働きが不要になった時は一緒に——」
殿下は、言葉を付け足して私の気持ちを引き留めようとしてくれた。
そんなこと言わなくても、私はずっとあなたのそばにいるのに。
——私が用済みとなるその日まで。
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