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第4話 もっとも大切な人
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途切れたはずの意識。
その遠くから、私の名を呼ぶ声が聞こえた。
「……ソフィア、ソフィア!!」
アレックス殿下の声。
さっきより悲壮感が増し、少しかすれた声に変わっている。
目を開けると、ぼんやり殿下の顔が見えた。
ぽつぽつと、私の顔に降りかかる水滴を感じる。
それは温かく、私を濡らしていく。
「おお……!」
周囲に誰かいるのだろうか?
複数人の声が聞こえる。
「ソフィアさん、ソフィアさん!」
白き令嬢ジェーン様の声も聞こえてくる。
そういえば、さっきから聞こえてくる声は全部見知った人たちの声だ。
なぜみんなが? ここは天国じゃないの?
「よかった……本当に……ソフィア」
だんだん視界がはっきりしてくる。
アレックス殿下は、口元を真っ赤に染めておられる。
お召し物も、赤く汚れている。
「で……殿下……?」
殿下の顔の横に、令嬢ジェーン様の姿が見えた。
「喋らないで。殿下が毒の血を吸い出して下さったのです。それに貴女の体内に残った毒素は薬で中和したわ。もう安心して……大丈夫よ」
ジェーン様もせっかくの化粧が濡れ、どろどろになってきている。
「よかった……本当に良かった」
再び殿下の声。
アレックス殿下の腕の力を感じ、私の顔は彼の胸に触れた。
それはとても温かく、たくましい。
彼の体温を感じることで、私は死の淵から戻ったことを実感したのだった。
翌日、ほぼ回復した私の元へアレックス殿下が訪れてくださった。
私たちが襲われた事実を伝えるために。
魔物の主は、洞窟や森を封じられ怒り狂ったのだという。
恨みを晴らそうと自らが滅ぶ前に、退路も確保せず城に侵入してきたのだ。
そして、討伐を指示したアレックス殿下の最も大切な人間を殺すつもりだったらしい。
「最も大切な人……それなら、その魔物は失敗をしましたね」
「そうだな。聖女が相手で勝てるはずがない」
「いえ、そうじゃなくて……殿下にとってもっとも大切な人とは、白き令嬢……ジェーン様のことでしょう?」
「はぁ? ……あのな?」
アレックス殿下が、滅多に怒らない殿下が、今怒っている。
すごく怒っている。
そんなに怒らせるようなことを私は言ったのだろうか?
「俺が一番大切なのは、ソフィア、君だ」
「えっ?」
「そこに全ての誤解があったのだな……すまない。何度でも言うが、俺がこの世で一番大切だと思っているのは……ソフィア、君だ」
あまりの事に声が出ない。
アレックス殿下が何を言っているのか。
頭が、理解を拒絶する。
しかし、心はその言葉を聞いて喜んでいた。
「ずっと、ソフィアしか見ていなかったのだぞ。俺も鈍感であったし、忙しく言葉が足りなかったと思うが……君も……いや、そういう、奥ゆかしいところがよかったのかな」
「えっ……?」
「初めて会ったときは、正直よく分からなかった。だが、遠くから俺を見つめる君の視線がちょっとずつ気になっていった。我を我をと私を追い立て、君を蹴落とそうとする令嬢達にうんざりしていたのかもしれない」
そんなに前から、私のことを思っていてくださったとは。
そうすると、気になるのは白き令嬢——。
その遠くから、私の名を呼ぶ声が聞こえた。
「……ソフィア、ソフィア!!」
アレックス殿下の声。
さっきより悲壮感が増し、少しかすれた声に変わっている。
目を開けると、ぼんやり殿下の顔が見えた。
ぽつぽつと、私の顔に降りかかる水滴を感じる。
それは温かく、私を濡らしていく。
「おお……!」
周囲に誰かいるのだろうか?
複数人の声が聞こえる。
「ソフィアさん、ソフィアさん!」
白き令嬢ジェーン様の声も聞こえてくる。
そういえば、さっきから聞こえてくる声は全部見知った人たちの声だ。
なぜみんなが? ここは天国じゃないの?
「よかった……本当に……ソフィア」
だんだん視界がはっきりしてくる。
アレックス殿下は、口元を真っ赤に染めておられる。
お召し物も、赤く汚れている。
「で……殿下……?」
殿下の顔の横に、令嬢ジェーン様の姿が見えた。
「喋らないで。殿下が毒の血を吸い出して下さったのです。それに貴女の体内に残った毒素は薬で中和したわ。もう安心して……大丈夫よ」
ジェーン様もせっかくの化粧が濡れ、どろどろになってきている。
「よかった……本当に良かった」
再び殿下の声。
アレックス殿下の腕の力を感じ、私の顔は彼の胸に触れた。
それはとても温かく、たくましい。
彼の体温を感じることで、私は死の淵から戻ったことを実感したのだった。
翌日、ほぼ回復した私の元へアレックス殿下が訪れてくださった。
私たちが襲われた事実を伝えるために。
魔物の主は、洞窟や森を封じられ怒り狂ったのだという。
恨みを晴らそうと自らが滅ぶ前に、退路も確保せず城に侵入してきたのだ。
そして、討伐を指示したアレックス殿下の最も大切な人間を殺すつもりだったらしい。
「最も大切な人……それなら、その魔物は失敗をしましたね」
「そうだな。聖女が相手で勝てるはずがない」
「いえ、そうじゃなくて……殿下にとってもっとも大切な人とは、白き令嬢……ジェーン様のことでしょう?」
「はぁ? ……あのな?」
アレックス殿下が、滅多に怒らない殿下が、今怒っている。
すごく怒っている。
そんなに怒らせるようなことを私は言ったのだろうか?
「俺が一番大切なのは、ソフィア、君だ」
「えっ?」
「そこに全ての誤解があったのだな……すまない。何度でも言うが、俺がこの世で一番大切だと思っているのは……ソフィア、君だ」
あまりの事に声が出ない。
アレックス殿下が何を言っているのか。
頭が、理解を拒絶する。
しかし、心はその言葉を聞いて喜んでいた。
「ずっと、ソフィアしか見ていなかったのだぞ。俺も鈍感であったし、忙しく言葉が足りなかったと思うが……君も……いや、そういう、奥ゆかしいところがよかったのかな」
「えっ……?」
「初めて会ったときは、正直よく分からなかった。だが、遠くから俺を見つめる君の視線がちょっとずつ気になっていった。我を我をと私を追い立て、君を蹴落とそうとする令嬢達にうんざりしていたのかもしれない」
そんなに前から、私のことを思っていてくださったとは。
そうすると、気になるのは白き令嬢——。
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