88 / 105
貴重なものをみすみす渡すわけ、ありませんよ
リーゼロッテの決断 1
しおりを挟む
王城から帰領してしばらく、ロイスナーでの日々は平穏そのものだった。冬を前に特別気にかけるべきこともなく、ベルンハルトとの生活も心地好い調子で流れる。
だが、それらが全て表面上のことだと感じていたのは、リーゼロッテやベルンハルトだけではないはずだ。
共に王城へと向かったアルベルトはもちろん、勘の良いヘルムートもこんな時期に王城へ行ったことや、リーゼロッテの時折見せる暗い顔に不穏な空気を感じているだろう。
二人で抱え込むのではなく、誰かに相談できたらと、何度となく打ち明けてしまいそうになる。
それでも、王族が秘匿にしていること。話せるはずもない。
気になってはいるだろうに、主人のやることだからと、執事らしく何も聞かずに実直に付き従ってくれている姿に、思わず涙しそうになる。
魔獣が結界を越えてこれば、誰よりも先に犠牲になるはずのロイスナーの領民。
自分の命が脅かされるかもしれない出来事について、事前に知る手だてが目の前にあるというのに。
いつもと変わらぬ笑顔を浮かべている態度は、やはりその能力の高さを証明して見せた。
「奥様。本日は少し甘味を強めたお茶をお淹れしましょう。少しでもその憂いの表情が和らぐと良いのですが」
リーゼロッテの目の前で繰り広げられるお茶を淹れるための所作。少し骨ばったヘルムートの手先は、いつでも優雅に動いていくが、その動きを目で追いながら、リーゼロッテが何度目かもわからないため息を漏らした。
「ヘルムートさん。ありがとうございます」
「私ではその原因を取り除くことはできませんから。少しでも紛らわすことができれば良いのです」
「ふふ。そのお気遣いが、嬉しいわ」
日差しの照りつけは和らぎつつも、まだまだじんわりと汗をかくような陽気が続く季節。
ヘルムートが淹れてくれたお茶は、確かに甘味を強く感じるものではあったが、心地よい温度に冷やされた液体が喉を潤し、鼻に抜ける柑橘類の臭いただよう空気が爽やかさをいっそう強くした。
「これは、初めて味わったみたい」
「ロイスナーでこの時期に採れる果物を絞ってあります。抽出したものは香水に使われることもあって、良い香りなんですよ」
「香水……」
リーゼロッテの頭の中に思い出されたのは、ベルンハルトから漂ってきた、お酒と混じったこの香り。
「はい。毛布に次ぐ特産品と言っても良いぐらいです」
「そうだったのね。いつだったか、ベルンハルト様がお使いになっていた気がするわ」
「そうかもしれませんね。気に入っていらっしゃるようです」
ヘルムートとの時間は周りから隔離されたようにいつだって穏やかで、それは紛れもなくヘルムートのおかげ。
そんな時間を作り出してくれる相手に、やはり黙ったままではいられない。
「ねぇ、ヘルムートさんは何も気にならないの?」
「気に? なりますよ。ベルンハルト様の素顔を見たことを、いつお話になられるのか」
「えぇ? そ、そのことではなくって」
「それでは、私と友達になりたいと仰ったのは、いつ撤回していただけるか、でしょうか」
「それは、撤回しません!」
ヘルムートが気がついていないはずがないのだ。それでも、のらりくらりと重要なことを避けているのは、知らないふりをしていたい理由があるからだろうか。
「奥様。執事は後ろに付いていくものです。前を歩くものでも、隣に立つものでもありません。お二人がどうされようとも、それに付き従うものですよ」
突然、普段の軽い態度を一変させ、リーゼロッテを相手に襟を正す。
その佇まいは一介の庭師ではなく、老練の執事の風格を漂わせた。
「そういうものですか」
「もちろん、頼りにしていただいているのはありがたく思います。諌めるべきことも諌めます。ただ、私が重大な決断の一端を担ってはいけない。どのような決断を下されようとも、全ては主人のお心のままに」
「皆様も、それでいいのかしら」
「奥様の仰る皆というのは、城の者でしょうか? それとも、領民たちでしょうか? どちらにせよ、ロイスナーはベルンハルト様がいらっしゃらなくなれば滅びの道を辿るしかありません。飢えることも、魔獣に攻められることもなくいられるのは、全てベルンハルト様のお力ですから」
ロイスナーには魔力も剣技も敵う者はいない、それはつまりベルンハルトがいなくなることと、ロイスナーの滅亡が同義だということ。
国の結界が維持できず、黒龍が現れてしまえば、そうすれば国自体が滅びる。
それよりも前に魔獣が結界を越え、ベルンハルトが討伐に失敗すれば、即座にロイスナーが滅びるだろう。
直面する問題は、やはり国の結界のための魔力石だ。
「ベルンハルト様は、ロイスナーにとって必要な方ですね」
「その方を支えて下さる、奥様もですよ。ただ、ベルンハルト様にはあまりその自覚がないようです。ですから、これからもベルンハルト様のことをよろしくお願いします。奥様ならばベルンハルト様のことを変えられるかもしれませんから」
ヘルムートの言葉は、リーゼロッテの心に深く染み込んだ。
誰からも必要とされず、役立たずだったはずの自分が、これほどまでに大切に思われている人の側にいることを望んでもらえる。
それがどれだけリーゼロッテの心を救うか、ヘルムートはきっと気づいていない。
「ご覧ください、奥様。あの若草色の尾はレティシア様です」
ヘルムートの言葉に、思わず涙を流しそうになったリーゼロッテの顔から目を背けるための口実のように、ヘルムートが空を指差した。
まだ夏の残る青空に一筋の若草色の線。それが一直線に執務室へと向かっていく。
「吉報でも、凶報でも、お二人のお心のままにご決断下さい」
ヘルムートはそう言うと、リーゼロッテに深く頭を下げた。
目尻に残った一雫の涙。
それを人差し指で拭えば、リーゼロッテはいつものように微笑みを作り上げる。
「ヘルムートさん。ありがとうございます」
リーゼロッテもヘルムートに負けず劣らず深く頭を下げた。ヘルムートがそれを見れば慌てふためくのも知っている。
それでも、せずにはいられない。
だが、それらが全て表面上のことだと感じていたのは、リーゼロッテやベルンハルトだけではないはずだ。
共に王城へと向かったアルベルトはもちろん、勘の良いヘルムートもこんな時期に王城へ行ったことや、リーゼロッテの時折見せる暗い顔に不穏な空気を感じているだろう。
二人で抱え込むのではなく、誰かに相談できたらと、何度となく打ち明けてしまいそうになる。
それでも、王族が秘匿にしていること。話せるはずもない。
気になってはいるだろうに、主人のやることだからと、執事らしく何も聞かずに実直に付き従ってくれている姿に、思わず涙しそうになる。
魔獣が結界を越えてこれば、誰よりも先に犠牲になるはずのロイスナーの領民。
自分の命が脅かされるかもしれない出来事について、事前に知る手だてが目の前にあるというのに。
いつもと変わらぬ笑顔を浮かべている態度は、やはりその能力の高さを証明して見せた。
「奥様。本日は少し甘味を強めたお茶をお淹れしましょう。少しでもその憂いの表情が和らぐと良いのですが」
リーゼロッテの目の前で繰り広げられるお茶を淹れるための所作。少し骨ばったヘルムートの手先は、いつでも優雅に動いていくが、その動きを目で追いながら、リーゼロッテが何度目かもわからないため息を漏らした。
「ヘルムートさん。ありがとうございます」
「私ではその原因を取り除くことはできませんから。少しでも紛らわすことができれば良いのです」
「ふふ。そのお気遣いが、嬉しいわ」
日差しの照りつけは和らぎつつも、まだまだじんわりと汗をかくような陽気が続く季節。
ヘルムートが淹れてくれたお茶は、確かに甘味を強く感じるものではあったが、心地よい温度に冷やされた液体が喉を潤し、鼻に抜ける柑橘類の臭いただよう空気が爽やかさをいっそう強くした。
「これは、初めて味わったみたい」
「ロイスナーでこの時期に採れる果物を絞ってあります。抽出したものは香水に使われることもあって、良い香りなんですよ」
「香水……」
リーゼロッテの頭の中に思い出されたのは、ベルンハルトから漂ってきた、お酒と混じったこの香り。
「はい。毛布に次ぐ特産品と言っても良いぐらいです」
「そうだったのね。いつだったか、ベルンハルト様がお使いになっていた気がするわ」
「そうかもしれませんね。気に入っていらっしゃるようです」
ヘルムートとの時間は周りから隔離されたようにいつだって穏やかで、それは紛れもなくヘルムートのおかげ。
そんな時間を作り出してくれる相手に、やはり黙ったままではいられない。
「ねぇ、ヘルムートさんは何も気にならないの?」
「気に? なりますよ。ベルンハルト様の素顔を見たことを、いつお話になられるのか」
「えぇ? そ、そのことではなくって」
「それでは、私と友達になりたいと仰ったのは、いつ撤回していただけるか、でしょうか」
「それは、撤回しません!」
ヘルムートが気がついていないはずがないのだ。それでも、のらりくらりと重要なことを避けているのは、知らないふりをしていたい理由があるからだろうか。
「奥様。執事は後ろに付いていくものです。前を歩くものでも、隣に立つものでもありません。お二人がどうされようとも、それに付き従うものですよ」
突然、普段の軽い態度を一変させ、リーゼロッテを相手に襟を正す。
その佇まいは一介の庭師ではなく、老練の執事の風格を漂わせた。
「そういうものですか」
「もちろん、頼りにしていただいているのはありがたく思います。諌めるべきことも諌めます。ただ、私が重大な決断の一端を担ってはいけない。どのような決断を下されようとも、全ては主人のお心のままに」
「皆様も、それでいいのかしら」
「奥様の仰る皆というのは、城の者でしょうか? それとも、領民たちでしょうか? どちらにせよ、ロイスナーはベルンハルト様がいらっしゃらなくなれば滅びの道を辿るしかありません。飢えることも、魔獣に攻められることもなくいられるのは、全てベルンハルト様のお力ですから」
ロイスナーには魔力も剣技も敵う者はいない、それはつまりベルンハルトがいなくなることと、ロイスナーの滅亡が同義だということ。
国の結界が維持できず、黒龍が現れてしまえば、そうすれば国自体が滅びる。
それよりも前に魔獣が結界を越え、ベルンハルトが討伐に失敗すれば、即座にロイスナーが滅びるだろう。
直面する問題は、やはり国の結界のための魔力石だ。
「ベルンハルト様は、ロイスナーにとって必要な方ですね」
「その方を支えて下さる、奥様もですよ。ただ、ベルンハルト様にはあまりその自覚がないようです。ですから、これからもベルンハルト様のことをよろしくお願いします。奥様ならばベルンハルト様のことを変えられるかもしれませんから」
ヘルムートの言葉は、リーゼロッテの心に深く染み込んだ。
誰からも必要とされず、役立たずだったはずの自分が、これほどまでに大切に思われている人の側にいることを望んでもらえる。
それがどれだけリーゼロッテの心を救うか、ヘルムートはきっと気づいていない。
「ご覧ください、奥様。あの若草色の尾はレティシア様です」
ヘルムートの言葉に、思わず涙を流しそうになったリーゼロッテの顔から目を背けるための口実のように、ヘルムートが空を指差した。
まだ夏の残る青空に一筋の若草色の線。それが一直線に執務室へと向かっていく。
「吉報でも、凶報でも、お二人のお心のままにご決断下さい」
ヘルムートはそう言うと、リーゼロッテに深く頭を下げた。
目尻に残った一雫の涙。
それを人差し指で拭えば、リーゼロッテはいつものように微笑みを作り上げる。
「ヘルムートさん。ありがとうございます」
リーゼロッテもヘルムートに負けず劣らず深く頭を下げた。ヘルムートがそれを見れば慌てふためくのも知っている。
それでも、せずにはいられない。
34
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?
向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。
というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。
私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。
だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。
戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ギルド受付嬢は今日も見送る~平凡な私がのんびりと暮らす街にやってきた、少し不思議な魔術師との日常~
弥生紗和
ファンタジー
【完結】私はギルド受付嬢のエルナ。魔物を倒す「討伐者」に依頼を紹介し、彼らを見送る毎日だ。最近ギルドにやってきたアレイスさんという魔術師は、綺麗な顔をした素敵な男性でとても優しい。平凡で代わり映えのしない毎日が、彼のおかげでとても楽しい。でもアレイスさんには何か秘密がありそうだ。
一方のアレイスは、真っすぐで優しいエルナに次第に重い感情を抱き始める――
恋愛はゆっくりと進展しつつ、アレイスの激重愛がチラチラと。大きな事件やバトルは起こりません。こんな街で暮らしたい、と思えるような素敵な街「ミルデン」の日常と、小さな事件を描きます。
大人女性向けの異世界スローライフをお楽しみください。
西洋風異世界ですが、実際のヨーロッパとは異なります。魔法が当たり前にある世界です。食べ物とかファッションとか、かなり自由に書いてます。あくまで「こんな世界があったらいいな」ということで、ご容赦ください。
※サブタイトルで「魔術師アレイス~」となっているエピソードは、アレイス側から見たお話となります。
この作品は小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい
花音月雫
ファンタジー
お幼頃に大聖女に憧れたアイラ。でも大聖女どころか聖女にもなれずその後の人生も全て上手くいかず気がつくと婚約者の王太子と幼馴染に断罪されていた!天使と交渉し時が戻ったアイラは家族と自分が幸せになる為地味に生きていこうと決心するが......。何故か周りがアイラをほっといてくれない⁉︎そして次から次へと事件に巻き込まれて......。地味に目立たなく生きて行きたいのにどんどん遠ざかる⁉︎執着系溺愛ストーリー。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる