最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

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46話目 推しの破壊力は桁違い

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リオル様はまだ目覚める気配はない。
リナ魔法で強化されていたとはいえ、無茶をしすぎてしまわれたのかもしれない。

それぐらい……怒ってくれたんだ。俺がマサカズに殺されると思って……必死に守ろうとしてくれたんだな。『この上ない幸せ』がどんどん上書きされていく。

「そういや魔石を使い果たしたって言ってたな。俺達が貯めてきたもん分けてやるよ」

「良いのか?お前達が狩る魔物の魔石となれば一財産だろ?」

机の上に積み上げられた魔石はどれも拳以上の大きな塊ばかり。

「まあな。でも持っていたところで俺等は魔石から魔力を吸い出したりは出来ないからな。魔導具に使うにしてもこんなデカいのは逆に不向きだ」

「じゃあありがたく貰っておこうかな。俺の中で最高レベルだった装備も燃やされた事だし」

今はマサカズから吸い取った魔力で十分なので全ての魔石をマジックボックスへと詰め込んだ。

「鑑定しても人間の姿なのにな。魔石から魔力を吸えるもんなんだな」 

「あの時は生き延びる為に必死だったからなぁ……あとは、吸い方を感覚的に知ってたってのもあるのかもしれないけど……」

人族は魔石に魔力を込めることは出来ても魔石から魔力を吸収する事は出来ない。もちろん他者から魔力を奪う事もだ。
それが出来てしまうのが魔神族……他者の魔力を吸い付くしてしまえるから恐れられるのもあるかもしれないが……元々『愛』という感情を知らない種族だからな。魔王となって殺戮を繰り返す事にも心は痛まない。

俺は……リオル様と出会ってしまって、リオル様への『愛』に目覚めてしまったからな。

「ごめんね、ルー君。リオルに与えてしまった誤解をこれっぽっちの魔石で無かったことにしようとするなんてね……怒って良いのよ?」

「リオル様に誤解された?何を?」

気を失う瞬間までルディとして話してくれたし、俺がルーウェンだと気づかれた風には見えなかった。

「相変わらずルー君はルー君ね。人族に生まれ変わっても前世の意識が強いとそういう方向に考えが向かないのかしら?魔神族は『無』から産まれると言ってたから……そういう行為にも無関心なのね」

「そういう行為?ああ……生殖行為か。それとリオル様の誤解と何の関係が……」

バツの悪そうな顔で頭を掻きむしるマサカズ。
ニコニコと楽しそうなリナ。

「なるほど……人間は生殖目的ではなくとも性欲で交尾をすると言ってたアレか」

「……お前の言い方は逆に生々しいな」

リナが何を言いたかったのか理解が出来て、なるほどと手を叩いた俺にマサカズは溜め息を吐いた。

「誤解はこれからゆっくり解いていくとして……これからのリオルも宜しくね、ルー君」

「もちろん」

リオル様が目覚めた気配がして、俺もマサカズもリナも応接室の入り口に目を向けた。いつも落ち着いているリオル様が走ってこちらへ向かって来て……扉を荒々しく開け放った。

「ルディッ!!」

部屋に飛び込んで来たリオル様は真っ直ぐに俺に向かってきて俺を……抱き締めてくれた。何で!?何で何で?

「ルディ……大丈夫か?父さん……父が無理矢理あんな事をするなんて、謝罪して許される事ではないけれど……すまなかった」

「な……何でリオル様が謝るんですかっ!!ほら、私は元気ですし、怪我だってもうないですから!!」

慌ててリオル様の身体を押し返す。推しに抱きしめられるとか恐れ多いです。
それでもリオル様は心配そうに俺を見てくる……俺の方が頑丈なのもう分かってる筈なのに、心配してくれるんだ。リナに教わった天使とはリオル様か?

「リオル、アレは誤解だぞ。戦いの最中に装備が燃え尽きただけで……お前が思うような事は何もないからな!!リナ、お前からも説明しろよ」

「二人の戦いは王都に被害が出ないように結界を張ってたから……ちょっと私には詳細がわからないわ」

リナが結界を張っていたのか。マサカズのあの魔法を誰にも見られてないなら、王都も騒ぎにはなっていないだろう。実際に放たれていたらリナの結界といえど、この地は人の住めない灼熱の大地になっていただろうが。

「勇者様の言うとおりです。ちょっと拳で語り合っただけですよ。惨敗しちゃいましたけどね」

「君が……殺されなくて良かった。父が魔神族を探して噂を耳にする度に旅立っていたのは知っていた。君が魔神級の力を持っていて……こうなるんじゃないかと想像出来たのに、防げなくて悪かった」

マサカズが魔神を探して旅をしてた?何のために?魔神が存在していない事は……魔神と勇者の関係を知っているマサカズならわかっていただろうに……。

「リオル、余計な事を話すな」

「余計な事ではないでしょう。こうしてルディを傷付けでおいて……ルディは規格外に強いですが……父さんの探している魔神等ではありません!!ちゃんと愛を知っているし、無駄な殺戮も好まない。それに……あの人に似てとても温かいんだ。ルディが魔神なんかである訳がない!!」

うっ……それは魔神族は愛を知らず殺戮を繰り返す嫌われ者だと言われているようなもの……元魔神族の俺には胸に痛い。リオル様の前で魔石から食事をしなくて本当に良かった。

「あらぁ……ルディ君を随分気に入っているのねぇ」

「そうですね……それなのに……また父さんに……」

ギリギリと歯を噛み締める。悔しそうなお顔……マサカズに対する態度は相変わらず。俺とリナにはいつでも笑顔だったが、マサカズに対してだけいつも反抗的だったんだよな。リナは父と息子というのはライバルであり、そういうもんだと笑っていたけど。思えば昔からマサカズとどちらが好きかよく聞かれていたな。
俺が推し変したと思われているのかも……。

「待て待て待て……俺を悪者にするんじゃねぇよ。俺は一度だってそんな目で見たことはねぇぞ」

「あの……俺はリオル様一筋なのは変わってませんからね?リオル様が誤解されている様な事は何もありません。リオル様と勇者様とでは比べようもないほどリオル様は輝かしい存在です」

「ルディ……本当か?無理して父を庇っているんじゃないのか?」

「私には勇者様を庇う理由はありませんね」

人間同士の交尾は『生殖』『愛』『憎悪』『快楽』『征服欲』等と聞いてきたがそのどれも、俺とマサカズの間にはない。そんな事が起こりようがない。

「俺をバカにしてるか?ル……ディくん」

ルーウェンと呼ぼうとしたのだろう、言葉に出来ず固まってしまったのは誓約の魔法が効いているんだな。

「随分ルディを気に入ったご様子で……しかしルディは俺の大切なギルドメンバーです。たとえ父さんでも渡せません」

ずきゅうぅぅぅぅぅんっ!!

マサカズに殴りとばされた時よりも激しいダメージを負って身体から力が抜けた。
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