パソニフィ・コンフュージョン

沼蛙 ぽッチ & デブニ

文字の大きさ
32 / 68

第26話 本日のハプニング大賞

しおりを挟む
帰る時間になり、博物館前まで歩く帰り道。バラバラだった子どもたちは、それぞれの保護者の元にまとまっていた。
(一部を除いては………)

私が特別じゃないと知った後も、ハルくんは私の腕にくっついていた。

「さっき生け花なお姉さん、スケッチするの邪魔されたから…今度また絵のモデルになってくれる?」
「絵のモデル……何するやつ?」
「ちょっと服を脱ぐだけの簡単なお仕事だよ?」
「ヌードモデルを描くのは、君にはまだ早いです!!」
前衛芸術家なハルくんは、凄い形相で爪をギリッと噛んでアキヨシを見た。
(この子怖いよぉー!うちの子、変な子ばかりに好かれるんだから!)
特に林さんの事が思い出されていた。

ミトさんは、相変わらず子どもたちに取り囲まれていて、片腕づつにユキちゃんと小柚子くんがくっついていていた。
「皆危ねーから、寄ってくんじゃねーよ。」

「そーですよ、小柚子ちゃん!その…み、ミトさんに迷惑なのでこちらへ…(そのネコは危険です!)」
「やーだぁー!」
と、差し出した手を避けられた拍子に、オコメさんの体が傾いてしまった。

「おっと、君って本当よく転けるよね。心配だから、腕に掴まっていいよ。」
「すみません…何か…」
と、予想してなかったムニッとした感触が腕に当たったアキヨシは、思わずシュッと姿勢が良くなった。

そんなオコメさんと館長先生の良い雰囲気を感じとった奥様たちが、サツキに声援を送った。
「サツキちゃん、頑張って!」
「あの子にとられちゃうわよ!」
「しっかり先生の気持ちを射止めるのよ!」
アキヨシに保護者への対応を任されていたサツキは、その間にすっかりママ友が出来ていた。
「どっど、どーすれば?」
こうよ!っとポンッと背中を押された結果………オコメさんの肩にぶつかった。
「な、何ですか!?」

驚いたオコメさんの顔を見ると、不思議とサツキに愛読している少女漫画の主人公のライバルキャラが降りてきた。

「ふん、だらしのない体ね!」
サツキはオコメさんの胸をパシッと叩いた。
「きゃっ!なっ何を……!?」
プルンッと揺れたそれに、一同釘づけになった。

(あっ…私つい…何でそんなこと…)
サツキは、少女漫画の再現してしまったことを後悔した。
「サツキちゃん何だか面白いわ!」
「素直になれないのね……」
ママ友だちはそんな日常のエンターテイメントを楽しんでいた。

しかし、ヒールというキャラは意外な役割をももたらした。

「豚姉をいじめるな!いじめて良いのはわしだけなんじゃ!」
小柚子くんはオコメさんを庇う様に立ち塞がった。
「まぁ!お姉さんのこと大好きなのねぇ!」

「こ、小柚子ちゃん……」
オコメさんは、感動してその豊満な胸にぎゅっと引き寄せた。
小柚子くんの顔は少し赤くなっていた。

小柚子くんは、オコメさんの事が好きなのに素直になれなかった。
そんな、姉弟の仲直りシーンになるかと思いきや………

「ふん、私はミトお姉様が居るから良いもんねー!」
ミトさんに引っ付いているユキちゃんが、姉に対してデレデレしている小柚子くんを白い目で見ていた。

「もっ勿論、ユキちゃんが正妻だからね!豚姉ぇは……いじめて楽しむ用の愛妾だから!!」
感動のシーンは、おませな小柚子くんの本音が駄々漏れになってしまって台無しになってしまったのだった。

(どんな王様だよ!!だけど認めざる得ない……オコメちゃんって、ついいじめたくなる様な可愛さだよね……)
咎めるとブーメランの様に自分に帰って来てしまうのだった。
だってアキヨシは、ドジっ娘メイドとご主人様というシチュエーションを週一で楽しんでいるのだから…。

なぁなぁ…とミトさんが私に声をかけてきた。
「サツキはアキヨシの事気に入ってるみたいだからさ、もし一緒になったら、うちら姉妹になれるな!」
「ミトさんと……姉妹……?」
「だから……私はサツキを応援しようと思うんだけど……お前は嫌?」
「………アキヨシ、いつも独身気にしてるから……有り寄り?」
「お前は、何でも有りって言うから本気か分からんのよな……」
ミトさんは、そう言って少し寂しそうな笑顔を見せた。

そして館内前に着き、家族達の名簿を確認して、全員揃っていたので解散ということになった。

「僕ぜったい諦めないからね…またお姉さんの絵を描きに来るから!」
「うん…描けたやつ見たい…」
ハルくんもお父さんと一緒に帰っていった。

「其では、ご主人さ……アキヨシさん。また家事をしに来ますね。レトルトちゃんを頼みましたよ!」
「ミトお姉さん…バイバイ…」
「おう!小柚子またな!」

そうして、夏休みの子どもたちの自然体験は幕を閉じた。

「何か祭りの後の静けさなのか……なんだか違和感ある終わり方だなあ……」
「なぁアキヨシ、サツキ知らん?コイツに漫画の続き貸すんだけど、サツキが持ってるんよ。」
「………!!そうか!サツキさんがいない!!」

それは最後の挨拶でも、きっと子どもたちを盛り上げてくれただろう、彼女がいない違和感だった─

「ミートちゃん…アキヨシ先生…。」
はぐれてしまったサツキは、取り敢えず目の前の大木の下に腰を下ろした。
そして背中に違和感を感じて、少し震えている指先を触れさせた。
………その手には、血がついていた。
ポツリポツリと雨も降り始めてきた。
(最悪……。)と、サツキは目を閉じた………。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...