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ひとりの王子
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門の外では雪が降り続けているにも関わらず王都への街道が開通した。コルクスが去り、ひとりシシリアキングスの王都に取り残されたベルナルはユグンの街に向かう。コルクスがユグンにいるだろうと思っていた。
結局は王都でアリアナを見つける事が出来なかった。ユグンに向かう前にコバック家にも行ったが連絡はないとしか報告されなかった。自国の王子に対して扱いも雑になっていたが可愛い姪を殺された王家に対しては思う所があるのは当然だろう。
「俺は助けた側なんだか…」
ため息を吐くもまた閉鎖されないうちにユグンの街に向かう事にした。街道には王都に向かうもの、ユグンに向かうものがいて道中すれ違った。
「それにしても魔法陣を使ったのかキレイに雪が消えているが…そんなに予算があるのかね、この国は金持ちだな」
ベルナルは昼に一緒になった旅人に何気なく言った。
「知らないのか、なんでもスノーショベルって言う魔法円らしいぞ。普通の魔法円より少々高いらしいがうちのおやじは農家なんだが毎年の雪かきが辛かったらしいがこの魔法円のおかげで今年は楽が出来たって言ってたぞ」
「雪かきの呪文は複雑になるから魔法陣しか出来なかったと聞いたが、それはすごいな」
「ああ、どこかに天才はいるんだな」
「本当にな」
固い干し肉をかじりながら感心していた。
ユグンの街には馬で飛ばせば1日で着く距離だ。ベルナルはユグンに急いだ。雪は消えても吹雪なのは変わりないし、寒いのも変わらない。
ベルナルはユグンに着くと温かいスープパスタの店に入った。コルクスが好きそうなメニューだと思ったのだ。スープパスタは五臓六腑に染み渡るほど美味しく温かった。
「おやじ、ちょっと訪ねたいのだが」
「なんだ?」
「最近ピンク色の髪をした女性を見なかったか?」
「ピンク?そんな珍しい髪色なら1回見たら忘れないよ。見なかったね」
「そうか、ありがとう。お代を置いておく」
「まいど」
今まで幾度となく聞いた質問だったが、まるでアリアナの目撃情報がない。そんな事があるだろうか?やはり死んでいるのか。しかし地図も渡した。ばあちゃんの家には着いているはずだ。俺はなにか見落としをしているのか…あの麻袋に入っていたものはなんだったか、
ベルナルは麻袋に入っていたものを思い出して見た。
コインが入った布袋
白い布に包まれた4つの魔石
黒のショール
地図の羊皮紙
黒のショール…そうか、黒のショールを巻いて髪を隠し、ローブかコートのフードで顔を隠しているのか。まずった。もっと前に気が付けばよかった。ショールを巻いている女性は結構いる。オシャレなのか、防寒のためなのか、種族の衣装なのか様々だが考えが及ばなかった。ピンク色の髪で探しているのだ。見つからないはずだ。
ベルナルは顔を手で覆い、自分の不甲斐なさに頭を抱えた。
「おやじ、ビール。それとトマトのスープパスタね」
「あいよ。お客さん食べたら出て行ってくれないか」
店のおやじから言われたベルナルは顔を上げた。
「ああ、すまん。考え事を…して…コル…か」
「よう、やっぱりベルか。街道が開通したからここら辺で張っていたら見つかるかなって思ったんだ。おやじ、こいつにビール」
「あいよ」
「まあ、飲めよ」
「ああ、ありがとう」
二人は再会に乾杯をする。
「ここはユグンに着いたときに初めて入った店だったんだ。スープがうまくてさぁ。パスタもうめえし、全メニュー制覇したぜ」
「そうかよ…」
「悪かったよ。置いて行って、それより何に頭を抱えてたんだ?その調子じゃあまだアリアナ嬢は見つかってないようだな」
「見つかってない。見つかる訳なかった」
「あん?」
「麻袋に入っていたものを思い出した」
「おお、それで?」
「黒のショールが1枚入っていた事を今思い出した」
「黒のショール?それがなんだよ」
「黒のショールを頭に巻いていればピンクの髪色なんか隠せるだろう?それに考え及ばなかった」
「ああ、なるほどな。確かに髪色は隠せるな。でも隠せるだけで見つからないもんかな?」
「え?」
「若い女性がひとりで移動しているんだぞ。絶対にどこかで目撃されているはずだ。でも見つからない。だとしたら…俺はまだ森にいると思う」
「シシリーの森に?でも森の集落にも探しにいったろ?」
「かばっていたとしたら家探しでもしないと見つからないだろうな」
「家探しか…」
「アリアナ嬢はもう貴族に戻りたくないと思っていいと思うぜ」
「そうか…」
地位や宝石に弱い女だとばかり思っていたが、考えてみれば王妃に執着しているのは王家の方なのだ。
「おまえはおばあ様の意向にあってアリアナ嬢を探していると思うけどもう解放してやれよ。聞いたぞ。王子育成のプロジェクトをお前指導で行うって」
「…そんな事言ってない…」
「陛下はその気だ。もうそれでいいだろう」
「…春になったら撤退するとは伝えている。陛下も納得している」
「ああ、帰ろうぜ。故郷にさ」
「そうだな…」
ベルナルはビールを飲み切った
結局は王都でアリアナを見つける事が出来なかった。ユグンに向かう前にコバック家にも行ったが連絡はないとしか報告されなかった。自国の王子に対して扱いも雑になっていたが可愛い姪を殺された王家に対しては思う所があるのは当然だろう。
「俺は助けた側なんだか…」
ため息を吐くもまた閉鎖されないうちにユグンの街に向かう事にした。街道には王都に向かうもの、ユグンに向かうものがいて道中すれ違った。
「それにしても魔法陣を使ったのかキレイに雪が消えているが…そんなに予算があるのかね、この国は金持ちだな」
ベルナルは昼に一緒になった旅人に何気なく言った。
「知らないのか、なんでもスノーショベルって言う魔法円らしいぞ。普通の魔法円より少々高いらしいがうちのおやじは農家なんだが毎年の雪かきが辛かったらしいがこの魔法円のおかげで今年は楽が出来たって言ってたぞ」
「雪かきの呪文は複雑になるから魔法陣しか出来なかったと聞いたが、それはすごいな」
「ああ、どこかに天才はいるんだな」
「本当にな」
固い干し肉をかじりながら感心していた。
ユグンの街には馬で飛ばせば1日で着く距離だ。ベルナルはユグンに急いだ。雪は消えても吹雪なのは変わりないし、寒いのも変わらない。
ベルナルはユグンに着くと温かいスープパスタの店に入った。コルクスが好きそうなメニューだと思ったのだ。スープパスタは五臓六腑に染み渡るほど美味しく温かった。
「おやじ、ちょっと訪ねたいのだが」
「なんだ?」
「最近ピンク色の髪をした女性を見なかったか?」
「ピンク?そんな珍しい髪色なら1回見たら忘れないよ。見なかったね」
「そうか、ありがとう。お代を置いておく」
「まいど」
今まで幾度となく聞いた質問だったが、まるでアリアナの目撃情報がない。そんな事があるだろうか?やはり死んでいるのか。しかし地図も渡した。ばあちゃんの家には着いているはずだ。俺はなにか見落としをしているのか…あの麻袋に入っていたものはなんだったか、
ベルナルは麻袋に入っていたものを思い出して見た。
コインが入った布袋
白い布に包まれた4つの魔石
黒のショール
地図の羊皮紙
黒のショール…そうか、黒のショールを巻いて髪を隠し、ローブかコートのフードで顔を隠しているのか。まずった。もっと前に気が付けばよかった。ショールを巻いている女性は結構いる。オシャレなのか、防寒のためなのか、種族の衣装なのか様々だが考えが及ばなかった。ピンク色の髪で探しているのだ。見つからないはずだ。
ベルナルは顔を手で覆い、自分の不甲斐なさに頭を抱えた。
「おやじ、ビール。それとトマトのスープパスタね」
「あいよ。お客さん食べたら出て行ってくれないか」
店のおやじから言われたベルナルは顔を上げた。
「ああ、すまん。考え事を…して…コル…か」
「よう、やっぱりベルか。街道が開通したからここら辺で張っていたら見つかるかなって思ったんだ。おやじ、こいつにビール」
「あいよ」
「まあ、飲めよ」
「ああ、ありがとう」
二人は再会に乾杯をする。
「ここはユグンに着いたときに初めて入った店だったんだ。スープがうまくてさぁ。パスタもうめえし、全メニュー制覇したぜ」
「そうかよ…」
「悪かったよ。置いて行って、それより何に頭を抱えてたんだ?その調子じゃあまだアリアナ嬢は見つかってないようだな」
「見つかってない。見つかる訳なかった」
「あん?」
「麻袋に入っていたものを思い出した」
「おお、それで?」
「黒のショールが1枚入っていた事を今思い出した」
「黒のショール?それがなんだよ」
「黒のショールを頭に巻いていればピンクの髪色なんか隠せるだろう?それに考え及ばなかった」
「ああ、なるほどな。確かに髪色は隠せるな。でも隠せるだけで見つからないもんかな?」
「え?」
「若い女性がひとりで移動しているんだぞ。絶対にどこかで目撃されているはずだ。でも見つからない。だとしたら…俺はまだ森にいると思う」
「シシリーの森に?でも森の集落にも探しにいったろ?」
「かばっていたとしたら家探しでもしないと見つからないだろうな」
「家探しか…」
「アリアナ嬢はもう貴族に戻りたくないと思っていいと思うぜ」
「そうか…」
地位や宝石に弱い女だとばかり思っていたが、考えてみれば王妃に執着しているのは王家の方なのだ。
「おまえはおばあ様の意向にあってアリアナ嬢を探していると思うけどもう解放してやれよ。聞いたぞ。王子育成のプロジェクトをお前指導で行うって」
「…そんな事言ってない…」
「陛下はその気だ。もうそれでいいだろう」
「…春になったら撤退するとは伝えている。陛下も納得している」
「ああ、帰ろうぜ。故郷にさ」
「そうだな…」
ベルナルはビールを飲み切った
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