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シンのはなし ー壊れる
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次の日の午後、シンが業務ギルドを訪ねるとニナが真剣なまなざしで待っていた。
「シン先生、お待ちしていました。こちらに」
いつもの明るく元気な親しみやすいニナはどこにも居なかった。
「午前中に生徒様や親御様達がいらっしゃって、罪人に大事な娘を任せられないと言われ返金を求められました。業務ギルドとしても罪を隠して講師をしていた事を大変遺憾に思います」
ニナはシンに業務上の説明をした。
「ニナ、昨日も言ったけど、もう許されているの。罪と言うけどあの女は当然の報いなのよ?」
「モグリベルの王室のスキャンダルは新聞で読んだことがあります。とてもショッキングな出来事としてまだ記憶に新しいです。私自身よその国の王室の事なんて興味なかったのですが…コバック男爵ってご存じですか?」
「いいえ」
「ユグンに茶葉園を広めた方です。ユグンの民に仕事を与えてくれ、それを気にユグンは活気が出ました。それまでは王都と繋がる街としての位置でしかなかったユグンを有名にしてくれたんです。コバック男爵は大変この街に貢献をされて人気もある男爵です」
「ニナ、それがなんなの?関係があること?」
「シン先生が復讐をされたアリアナ様の叔父様に当たる人物です」
「…」
「アリアナ様は幼い頃ユグンの茶葉園にも来られた事があるとか。そのアリアナ様が王家の花嫁になる事が発表された時にはコバック男爵も喜ばれて、その日大衆にお酒を振舞われたりと、お祭り騒ぎでした。しかし…以降はお分かりですよね?」
「でも、私だって突然、婚約破棄をされたのよ?あの女の策略で!」
「あのスキャンダルの発表では、当時、婚約者のシンフォニー嬢がアリアナ様の天真爛漫な様子に嫉妬をして、策略で落とし入れられた事にしたと説明されました。当時のモグリベルの王太子様はアリアナ様に大変心酔されていたと、しかしそれを魅了という得体のしれない術で王太子様を誘惑されたとして、王様がいらっしゃらない時期を想定して王太子様を騙し、アリアナ様を追放したと発表されました。そして30日後、処刑されたと伝えられています」
「私は許されたのよ…」
「モグリベルの発表は覆らないと思います。シンフォニー・クローリーは処刑されたと、でもこの街ではたった1日で知れ渡ってしまった。シン先生、これ以上この街にはいない方がいいのでは?こちらの要求を吞んで速やかに開通している王都に移動された方がよいと思いますよ」
「…要求とは?」
「マナー教室の返金です。すべてとは言いません。半分でいいそうです。こちらも大変譲歩しました。申し訳ございませんがこれ以上、業務ギルドもこれらの件に対して関わりたくないとの見解です」
「ひどいわ、ニナ。あなたは私の事認めてくれていたじゃない。ファンだって、こんなのないわ」
「シン先生、私個人としては尊敬していますし、憧れの女性であることは間違いありません。でも私は業務ギルドのいち職員ですので、これ以上はどうする事も出来ません。刺繡教室の取引も中止される事が決定しています。刺繡教室をどうしても開きたい場合はご自分で教室を準備されるようお願いします」
「…分かりました。すべて受け入れます。でもニナ、あなたは分かってくれるわよね?私は許されたって事を。私はもう罪人ではない」
「…シン先生、アリアナ様は当然の報いを受けてシン先生から復讐されたのですよね?そしてその復讐は当然の事なんでしょう?」
「ニナ!ええ、そう。そうなのよ、ニナ。分かってくれたのね」
「では、この街の誰かがアリアナ様を思ってシン先生に復讐したとしても当然の報いですよね?」
「え?…ニナ?」
「シン先生は許されたと言っていますが、コバック男爵の前で同じ事を言えるのですか?私からの最後の忠告です。この街から消えてください」
「…ニナ」
シンはヴァイで清算をすると、振り向かずに業務ギルドを出た。宿に戻る途中の街中の人達からの視線が冷たいような気がした。先ほどは気が付かなかったのだから気のせいかもしれない。宿の従業員も昨日と違って冷たいような気がした。
「シン先生、お待ちしていました。こちらに」
いつもの明るく元気な親しみやすいニナはどこにも居なかった。
「午前中に生徒様や親御様達がいらっしゃって、罪人に大事な娘を任せられないと言われ返金を求められました。業務ギルドとしても罪を隠して講師をしていた事を大変遺憾に思います」
ニナはシンに業務上の説明をした。
「ニナ、昨日も言ったけど、もう許されているの。罪と言うけどあの女は当然の報いなのよ?」
「モグリベルの王室のスキャンダルは新聞で読んだことがあります。とてもショッキングな出来事としてまだ記憶に新しいです。私自身よその国の王室の事なんて興味なかったのですが…コバック男爵ってご存じですか?」
「いいえ」
「ユグンに茶葉園を広めた方です。ユグンの民に仕事を与えてくれ、それを気にユグンは活気が出ました。それまでは王都と繋がる街としての位置でしかなかったユグンを有名にしてくれたんです。コバック男爵は大変この街に貢献をされて人気もある男爵です」
「ニナ、それがなんなの?関係があること?」
「シン先生が復讐をされたアリアナ様の叔父様に当たる人物です」
「…」
「アリアナ様は幼い頃ユグンの茶葉園にも来られた事があるとか。そのアリアナ様が王家の花嫁になる事が発表された時にはコバック男爵も喜ばれて、その日大衆にお酒を振舞われたりと、お祭り騒ぎでした。しかし…以降はお分かりですよね?」
「でも、私だって突然、婚約破棄をされたのよ?あの女の策略で!」
「あのスキャンダルの発表では、当時、婚約者のシンフォニー嬢がアリアナ様の天真爛漫な様子に嫉妬をして、策略で落とし入れられた事にしたと説明されました。当時のモグリベルの王太子様はアリアナ様に大変心酔されていたと、しかしそれを魅了という得体のしれない術で王太子様を誘惑されたとして、王様がいらっしゃらない時期を想定して王太子様を騙し、アリアナ様を追放したと発表されました。そして30日後、処刑されたと伝えられています」
「私は許されたのよ…」
「モグリベルの発表は覆らないと思います。シンフォニー・クローリーは処刑されたと、でもこの街ではたった1日で知れ渡ってしまった。シン先生、これ以上この街にはいない方がいいのでは?こちらの要求を吞んで速やかに開通している王都に移動された方がよいと思いますよ」
「…要求とは?」
「マナー教室の返金です。すべてとは言いません。半分でいいそうです。こちらも大変譲歩しました。申し訳ございませんがこれ以上、業務ギルドもこれらの件に対して関わりたくないとの見解です」
「ひどいわ、ニナ。あなたは私の事認めてくれていたじゃない。ファンだって、こんなのないわ」
「シン先生、私個人としては尊敬していますし、憧れの女性であることは間違いありません。でも私は業務ギルドのいち職員ですので、これ以上はどうする事も出来ません。刺繡教室の取引も中止される事が決定しています。刺繡教室をどうしても開きたい場合はご自分で教室を準備されるようお願いします」
「…分かりました。すべて受け入れます。でもニナ、あなたは分かってくれるわよね?私は許されたって事を。私はもう罪人ではない」
「…シン先生、アリアナ様は当然の報いを受けてシン先生から復讐されたのですよね?そしてその復讐は当然の事なんでしょう?」
「ニナ!ええ、そう。そうなのよ、ニナ。分かってくれたのね」
「では、この街の誰かがアリアナ様を思ってシン先生に復讐したとしても当然の報いですよね?」
「え?…ニナ?」
「シン先生は許されたと言っていますが、コバック男爵の前で同じ事を言えるのですか?私からの最後の忠告です。この街から消えてください」
「…ニナ」
シンはヴァイで清算をすると、振り向かずに業務ギルドを出た。宿に戻る途中の街中の人達からの視線が冷たいような気がした。先ほどは気が付かなかったのだから気のせいかもしれない。宿の従業員も昨日と違って冷たいような気がした。
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