もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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追放者 その後

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 冬が近づきリアがヨモとのシェア生活を解消した頃、シシリアキングスの王都に在る城から数台の馬車がある所に向けて出発した。

「どこへ行くのだ?これから冬のシーズンになるというのに」
 一人の若き美麗な男が文句を垂れている。そして美麗な男の隣にいるのはこの国の王子モロッコスだ。二人は仲良く一緒の馬車に乗りある所に向かっているのだ。

 これから王都では冬のシーズンが始まろうとしていた。男女が夜会を開き、夜な夜な遊びまわるという恒例の行事だ。貴族は夏に少々働き冬は物凄く遊ぶ事を徹底していた。

「ユリウス、君はモグリベルからの留学生という事で我が城の滞在を許していた。しかし、複数人の女性と関係を持ち、婚約者持ちの女にまで手を出している。君がいると城の風紀が乱れるのだ」
「仕方あるまい。私は君と違って好まれるようだ。私は罪深い男なのだそうだよ。モグリベルでは次期国王なのだからとうるさく言われていたものだが、ここの女性達は私だけを見てくれている」
「女問題で追放されたのでは?」
「あれは私を取り合って二人の女たちが争った結果だ。どちらも相応しくなかったのだろう」
「…詳しくは知らんがその二人の女性が犠牲になったようだね」
「そうだね。私のこの美しさに魅了されて人生を狂わしてしまったのは本当にすまないと思うが、ひと時でもこの私に愛されたのだから誇りに思っていい」
 
 話が通じない人と話をするのは苦痛だ。モロッコスは話を変える事にする。
「ときにユリウス、君のその瞳に関しての能力は解明できたのかね?」
 ユリウスは物理的に瞳がキラキラしている。金色の瞳の中にいつも何かが舞っているのだ。それは稀な能力の兆し、しかしどこの国にも実例がなく成長するまで待つようになっていた。

「いやまだだ。属性が分かれば能力も開花するかと言われたが何の兆しもない。学者の言う事など当てにならない」
「属性は水だったかな?」
「そうだ。私の能力は水を雪にも氷にも出来る。なかなか珍しいだろう」
「魔力が多いとそのような事が出来る人もいるようだな。戦時では脅威だが。では、その瞳の能力がそうなのでは?」
「学者言うのは、水を雪に変化する時に魔力は使われているが瞳に変化が見られないらしい。だからまだ能力が隠されている可能性があるようなのだ」
 先ほど、学者の言う事は当てにならないと言っていたが。
「そうか。早く能力が開花して我が国に利益を生んでほしいのだがね」

「金の話をしているのか?滞在費は母が出しているはずだ」
「それはもちろん、しかしそれ以上に使い込まれた金に関しては別の話だ。その金はモグリベルに請求しているが、支払いが出来ないと返事が来ている」
「俺は次期国王だぞ。あんなはした金、なんだと言うのだ」
「ユリウス、君は今王位継承者から外されている。お忘れか?」
 モロッコスは呆れてため息を吐く。

「一時的に父上がそういう事にしているだけだ。父上の息子は私しかいない。他に誰が王位を継ぐのだと言うのだ」
「国王様は沢山のご兄弟がいらっしゃる。その中の誰かでは?現に今の王位継承者は甥のベルナル様と正式に発表されているのだが」
「…今だけだ」
「しかし、金は返してもらわなければならん。しかし君は金を使う事に長けていても金を稼ぐ事は皆無のようだ。そこでだ。君にぴったりな職務をプレゼントをしようと思う。これから行く所は我が国自慢の鉱山だ。ミスリルやダイヤモンドなど多くの高価な石が取れる鉱山だ。おっと安心しろ、掘るのはもちろん犯罪者や借金奴隷の者たちばかりだ。しかし、それを監視するものが必要なのだ。監視するものもなかなか鉱山から降りて来られない、家族に会えないと不満が出てな。半年の任期でいつも任期が終了しては交代してしまうんだ」

「鉱山だと?監視だと?この俺が?次期国王の俺に?バカを言うな!」

「君は今の所、次期国王ではない。君の母君から許可は得ている。金が支払えないなら、こちらで仕事をさせると、母君はきちんとした手紙で愚息をお願いしますと寄越したぞ」
「な…」
「君の能力を聞いてますます適任だと思ったよ。鉱山には荒々しい男どもの巣窟なのだ。弱い監視者は舐められる。君のように戦いに恵まれた能力の持ち主が監視者であれば鉱山も落ち着くだろう」

「そ、それは確かに戦いに恵まれている能力かもしれないが、訓練をしたわけじゃない。今の世は平和だ」
「しかし、留学生と言いながら勉学をしないのであれば働いてもらうしかない」
「しかし…」

「ああ、鉱山には君の好きな女性もいるよ。人殺しの罪や姑息な詐欺師行為で鉱山送りになった女もいる。しかし鉱山の女は気を付けろよ。金も体も食い尽くされるぞ」
「…そ」
「甘い言葉で近づいて、いつの間にかまた借金を繰り替えし奴隷になるバカな男を何人も見てきた。今の君には金はない。母君からの援助も君が使い込んでいる金で消える。母君に今以上の援助は期待しない方がいいぞ。母君は父君に内緒で支援しているのだ。王妃の資金でな」
 モロッコスは青い顔をしているユリウスにたたみ掛ける。
 
「王は、君を見放したんだよ。懸命なご判断だよ。じきに国の英断になるだろう。そろそろ誰かに甘えてないで自分で身の振り方を考えてはどうだい。ユリウス」

「で、話は戻るが幼い頃から知っている君に私からのプレゼントと言うのが鉱山の監視員って訳だ。安心したまえ、きちんと国から給金が出る。しかも役職だ。ただし給金の中から使い込んだ金は引かせて貰う。君はただ言われた通りにしていたら、それでいい。ああ、そうそう君には任期なんてない。国に帰れないのなら鉱山が君の居場所だ。ま、頑張りたまえ」

 ユリウスの顔は青から白になっていく。
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