79 / 139
第51話
しおりを挟む
リアが夢中で薬草を採取している所へひとりの冒険者が現れた。
「リア、だったかしら。すごく熱心ね」
「え?」
リアが振り向くとそこにはシンがいた。
「シン?びっくりしたわ。いつからそこに?」
リアは慌てて薬草レンズを麻袋に入れ、麻袋をカバンにしまった。スカートの泥を払いながらリアは立ち上がる。
「さっきよ。ここは薬草が多く茂っている知る人ぞ知る場所よ。私も最近教えて貰ったのよ。まさかあなたがここにいるなんてこっちこそびっくりよ。どうやって知ったの?」
リアが慌てて何かを隠す行動に不信感を抱きながらシンはリアに話す。
「薬草を探していたらたどり着いたのよ。誰にも聞いてないわ。ここは誰でも採取していい所よね?」
「ええ、もちろん。誰のものでもないわ」
「それなら私が採取しても問題ないわね」
リアはニコリとする。
「問題はないけど…この森の中でも結構、獣や弱い魔獣も少しは出るのよ?そんな無防備な恰好で来るなんて信じられないわ。悪い事は言わない送って上げるから帰りましょう」
シンはスカート姿のリアを見て呆れて言う。
「そうなんだ。でもナイフも持ってるわ」
「そんな刃の短いナイフなんの役に立たないわよ」
「まあ、いいじゃない。私も冒険者の登録をしたから、これでも冒険者よ。自分の身は自分で守るわ」
「親切で言っているんだけど」
「そうよね。ごめんなさい」
リアはシンフォニーにされた事を忘れていない。でもシンフォニーであるシンは黒のショール姿をしているリアは分からない。リアはくるりとシンと正反対の方向を向き、またさきほどの薬草を採取し続けた。
「仲良くする気はないようね」
ふうとため息を吐き腕組みをしてリアに問いかけた。
「ヨモの前だけは仲良くするわ。それ以外はあまり関わりたくない」
「どういう事?」
「ヨモは誰でも受け入れる明るいいい人よ。そのヨモの交友関係に口出ししたりしないわ。でも私は違うの。シンの事は受け入れられない」
「理由を聞いても?」
「私はモグリベル出身よ」
「えっ…」
リアは薬草を採取し続ける。早くどっかへ行かないかなぁと思っていた。
「…そう、あなたは私の事を知っているのね…」
「ええ、だから…」
しつこいなと思いつつ、リアは振り返り自分に構わないでほしい事を伝えようとした。しかし、リアが見たものは、すぐ後ろにシンがいて、剣を振り上げている所だった。
「リア、だったかしら。すごく熱心ね」
「え?」
リアが振り向くとそこにはシンがいた。
「シン?びっくりしたわ。いつからそこに?」
リアは慌てて薬草レンズを麻袋に入れ、麻袋をカバンにしまった。スカートの泥を払いながらリアは立ち上がる。
「さっきよ。ここは薬草が多く茂っている知る人ぞ知る場所よ。私も最近教えて貰ったのよ。まさかあなたがここにいるなんてこっちこそびっくりよ。どうやって知ったの?」
リアが慌てて何かを隠す行動に不信感を抱きながらシンはリアに話す。
「薬草を探していたらたどり着いたのよ。誰にも聞いてないわ。ここは誰でも採取していい所よね?」
「ええ、もちろん。誰のものでもないわ」
「それなら私が採取しても問題ないわね」
リアはニコリとする。
「問題はないけど…この森の中でも結構、獣や弱い魔獣も少しは出るのよ?そんな無防備な恰好で来るなんて信じられないわ。悪い事は言わない送って上げるから帰りましょう」
シンはスカート姿のリアを見て呆れて言う。
「そうなんだ。でもナイフも持ってるわ」
「そんな刃の短いナイフなんの役に立たないわよ」
「まあ、いいじゃない。私も冒険者の登録をしたから、これでも冒険者よ。自分の身は自分で守るわ」
「親切で言っているんだけど」
「そうよね。ごめんなさい」
リアはシンフォニーにされた事を忘れていない。でもシンフォニーであるシンは黒のショール姿をしているリアは分からない。リアはくるりとシンと正反対の方向を向き、またさきほどの薬草を採取し続けた。
「仲良くする気はないようね」
ふうとため息を吐き腕組みをしてリアに問いかけた。
「ヨモの前だけは仲良くするわ。それ以外はあまり関わりたくない」
「どういう事?」
「ヨモは誰でも受け入れる明るいいい人よ。そのヨモの交友関係に口出ししたりしないわ。でも私は違うの。シンの事は受け入れられない」
「理由を聞いても?」
「私はモグリベル出身よ」
「えっ…」
リアは薬草を採取し続ける。早くどっかへ行かないかなぁと思っていた。
「…そう、あなたは私の事を知っているのね…」
「ええ、だから…」
しつこいなと思いつつ、リアは振り返り自分に構わないでほしい事を伝えようとした。しかし、リアが見たものは、すぐ後ろにシンがいて、剣を振り上げている所だった。
37
あなたにおすすめの小説
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる