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第52話
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リアはシンに背を向けて薬草を摘んでいた。振り向いたリアが見たものは、シンが自分に向かって剣を振り下ろそうとしている所だった。
ドォォオオーーン
と、いう音と共にオレンジの炎がシンの体を拭き飛ばした。シンはその炎と共に数mに先にある木に叩きつけられていた。
リアは目の前で人一人がくの字に曲がり、吹っ飛ばされる光景を初めて目のあたりにした。何が起こったのか分からずしばらく動けないでいた。
「大丈夫かい、ピンクちゃん」
リアに駆け寄って来たのはマオだった。
「飛ばし過ぎだろう、マオ」
ガロがマオを冷静に注意した。
「もうあれはダメだ。死んでいるだろうな」
木の陰から顔だけ出しているキトが言った。
「マオは手加減している、死んでない」
のっそりと現れたベアが言う。
「じゃあ、俺があっちの様子を見て来る」
ドクがシンの様子を見に行った。
「ああ、頼んだ」
ガロが言う。
まだ状況が読み取れないリアは放心状態だ。
「ピンクちゃん?大丈夫?斬られる前に俺渾身のサンダーボルトを見舞ったと思ったけどどこかケガをした?」
目の前には赤と緑のクリスマスカラーの瞳をしたマオがリアの顔を覗き込んでいる。リアはようやく正気に戻り「大丈夫です」と言えた。しかし言えたのはその一言だけだった。
「ピンクちゃん、敵に背後を取られたらダメだよ。常識だよ?」
「そ、そうですけど、敵って…」
リアは震えが止まらない。
「敵でしょう?シンはピンクちゃんに取って」
「えっ」
震えるリアの手を優しくマオは包み込んだ。
「なんだマオはシンの事を一目惚れして付きまとっていた訳じゃなかったのか。まぁ訳アリだとは思ったが、まさか普通の女に剣を向けるとは思わなかったが…」
「ガロ、ピンクちゃんは普通の女じゃないよ」
「「「え?」」」
4人のメンバーがマオに振り返る。
「ピンクちゃんはモグリベルのユリウスの元婚約者だろ?」
「そ、そうなのか?」
ガロは地味なリアを2度見する。
「そして、シンはシンフォニー・クローリーだ」
「え!」
ガロ達は今度はシンに目をやる。
「…どうしてわかったの?」
「俺はシシリアキングスの第2王子なんだよ」
「おい、マオ!」
もちろん、秘密事項だ。それをマオはあっさりとどことも分からぬ女に言ってしまった。しかし、マオは穏やかにリアに向き直ると、リアに言った。
「大丈夫だよ。ピンクちゃんの方が秘密が多い。ね?」
リアは諦め真実を言う事にした。
「私はマオさんの言う通りユリウスの元婚約者です。容姿をある魔術具で隠しています。どうしてわかったの?」
リアはマオを見た。
「俺のこの瞳がオッドアイなのは分かるよね。赤は攻撃、緑は保守それが交われば何でも暴く事の出来る瞳に変わる。どんな黒い心でも俺は見透かしてしまう。もちろん隠している事もね」
マオは心が読める訳ではないが、悪い事を考えているくらいは分かるらしい。シンが明らかにリアを悪意を込めて斬りかかったのは明らかだったのだと言うのだ。
「シンもリアも色々と隠していた。シンは心をリアは容姿を。容姿を暴くことは簡単だ。その物に取り込まれた魔法陣を浮かせて中身を見ればいい。おっと洋服の中身を見たりする事は出来ないぜ」
リアはトボケて見せるマオにくすりと笑う。
「シンはみんなが持っているような強い欲を感じた。それは悪い事じゃない。でも俺はシンフォニーの顔を知っていた。少年時代に何かのパーティーで1度だけ見たし、最近見合いの話があってその絵姿としても見ていたんだ。友人の元婚約者と分かっていてもその絵姿の美しいさに一目惚れをした。でもシンフォニーは病に倒れてその見合い話はなくなった。しかし似た女が冒険者ギルドで輩に絡まれていたってね」
マオは王都でのシンフォニーとの出会いを語ってくれた。ちょっと表情が寂しそうだった。
ドォォオオーーン
と、いう音と共にオレンジの炎がシンの体を拭き飛ばした。シンはその炎と共に数mに先にある木に叩きつけられていた。
リアは目の前で人一人がくの字に曲がり、吹っ飛ばされる光景を初めて目のあたりにした。何が起こったのか分からずしばらく動けないでいた。
「大丈夫かい、ピンクちゃん」
リアに駆け寄って来たのはマオだった。
「飛ばし過ぎだろう、マオ」
ガロがマオを冷静に注意した。
「もうあれはダメだ。死んでいるだろうな」
木の陰から顔だけ出しているキトが言った。
「マオは手加減している、死んでない」
のっそりと現れたベアが言う。
「じゃあ、俺があっちの様子を見て来る」
ドクがシンの様子を見に行った。
「ああ、頼んだ」
ガロが言う。
まだ状況が読み取れないリアは放心状態だ。
「ピンクちゃん?大丈夫?斬られる前に俺渾身のサンダーボルトを見舞ったと思ったけどどこかケガをした?」
目の前には赤と緑のクリスマスカラーの瞳をしたマオがリアの顔を覗き込んでいる。リアはようやく正気に戻り「大丈夫です」と言えた。しかし言えたのはその一言だけだった。
「ピンクちゃん、敵に背後を取られたらダメだよ。常識だよ?」
「そ、そうですけど、敵って…」
リアは震えが止まらない。
「敵でしょう?シンはピンクちゃんに取って」
「えっ」
震えるリアの手を優しくマオは包み込んだ。
「なんだマオはシンの事を一目惚れして付きまとっていた訳じゃなかったのか。まぁ訳アリだとは思ったが、まさか普通の女に剣を向けるとは思わなかったが…」
「ガロ、ピンクちゃんは普通の女じゃないよ」
「「「え?」」」
4人のメンバーがマオに振り返る。
「ピンクちゃんはモグリベルのユリウスの元婚約者だろ?」
「そ、そうなのか?」
ガロは地味なリアを2度見する。
「そして、シンはシンフォニー・クローリーだ」
「え!」
ガロ達は今度はシンに目をやる。
「…どうしてわかったの?」
「俺はシシリアキングスの第2王子なんだよ」
「おい、マオ!」
もちろん、秘密事項だ。それをマオはあっさりとどことも分からぬ女に言ってしまった。しかし、マオは穏やかにリアに向き直ると、リアに言った。
「大丈夫だよ。ピンクちゃんの方が秘密が多い。ね?」
リアは諦め真実を言う事にした。
「私はマオさんの言う通りユリウスの元婚約者です。容姿をある魔術具で隠しています。どうしてわかったの?」
リアはマオを見た。
「俺のこの瞳がオッドアイなのは分かるよね。赤は攻撃、緑は保守それが交われば何でも暴く事の出来る瞳に変わる。どんな黒い心でも俺は見透かしてしまう。もちろん隠している事もね」
マオは心が読める訳ではないが、悪い事を考えているくらいは分かるらしい。シンが明らかにリアを悪意を込めて斬りかかったのは明らかだったのだと言うのだ。
「シンもリアも色々と隠していた。シンは心をリアは容姿を。容姿を暴くことは簡単だ。その物に取り込まれた魔法陣を浮かせて中身を見ればいい。おっと洋服の中身を見たりする事は出来ないぜ」
リアはトボケて見せるマオにくすりと笑う。
「シンはみんなが持っているような強い欲を感じた。それは悪い事じゃない。でも俺はシンフォニーの顔を知っていた。少年時代に何かのパーティーで1度だけ見たし、最近見合いの話があってその絵姿としても見ていたんだ。友人の元婚約者と分かっていてもその絵姿の美しいさに一目惚れをした。でもシンフォニーは病に倒れてその見合い話はなくなった。しかし似た女が冒険者ギルドで輩に絡まれていたってね」
マオは王都でのシンフォニーとの出会いを語ってくれた。ちょっと表情が寂しそうだった。
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