もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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-潜入-

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 リアは侍女に「今日はひとりにしてほしいから朝まで来ないでほしい」と伝えた。城の出入口にはもちろん監視の兵士やリアの部屋の前には騎士もいる。逃げられない事は明らかだ。人身御供にされる可哀そうな美少女を前に侍女は憐れんだ。
 そして朝までひとりにする事を約束した。自ら死を選ぶかもしれない、しかしそれもまた人生なのかもと思いながら侍女は下がった。しかし、それでは自分が管理を怠ったとして処罰を与えられてしまう。夜中に1度見に来ればいいだろうと思ってもいた。

 リアは赤い糸が縫い付けられているポーチを取り出した。中にはメイク道具が数点入っているだけだ。持ってこれたのはこれだけだ。あとは持ち込み禁止にされポーチの中身もすべて確認された。
 ポーチはもちろん時空間ポーチになっているものだ。コスモポリタンでレッドスパイダーの赤い糸を買い自分で縫い付けていた。そのポーチから動きやすい普段着のワンピースと黒のショールを取り出し、ドレスから着替えた。そしてオーロを呼び出し、アンバーに転移して貰った。

 オーロが転移した所はユリウスが建てたという白い城の裏側だ。城だというのに辺りは暗く人影はない。

「これがユリウスの城…」
 とりあえず箒を取り出し城を一周した。ユリウスがいつもどこにいるのか、どこに向かうのか、違う行動をする時間はいつなのかを調べる必要があった。

 城にはいなかった。これは見かけ倒しの城なのだろう。ハリボテだ。謁見の間以外は木造で土壁だ。いずれ手を入れるのかもしれないがここには住めないだろうと思った。

 プカプカとユリウスが居そうな場所を飛んだ。城からもっと奥にある作りかけの豪華になる予定の邸を見つけた。見張りが数人いたが裏手に回るとやはり誰も居なかった。まともな兵士などいないのだろう。
 ようやく、ユリウスの姿を発見する事が出来た。食事をしている。食事が終われば寝室に向かうだろう。リアは静かに邸の屋根に降りた。

 ユリウスが居た邸の場所は鉱山入口の近くだった。王族が住むには少々小さく威厳も格式もないが今後広げられるように工事が中断しているようだった。
 そしてリアは屋根裏の窓から侵入した。鍵が掛けられていたがオーロにガラスを溶かしてもらった。その屋根裏には古くなったメイドの服やエプロンなどが乱雑に置かれてあった。リアはそのメイド服を拝借した。
 リアはメイドのフリをして邸内を見学した。中もやはりハリボテでユリウス達がいるであろう所は辛うじて、それっぽく造られていた。

 貴族の屋敷など大体の造りは一緒である。リアはそれっぽい所をユリウスの部屋だと想定して部屋に入った。その部屋には高級な家具や大きなベッドがあった。やはりここなのだろうと閉められていたカーテンをレースのカーテンを残しすべて開け、窓から部屋を出た。これで外から様子が見えるぞとリアは小さなテラスで待ち構えた。

 カーテンを開けた事により明かりが漏れた。部屋に誰か入って来たのだ。レースの隙間から中を覗くと、ユリウスが見えた。カーテンを閉められるかと思ったがユリウスはそのままベッドに横になり明かりが消えた。
 リアはしばらくの間ユリウスを見張っていた。これは昼にまた来ないと行動が分からないなと思っていたところ、部屋に明かりが漏れた。
 ユリウスは一人で部屋から出たようだった。リアは静かに部屋に入り、ユリウスの後を追った。
 しかしそろそろ気配が消える魔法円も切れる。設定は6時間ほどだ。リアはアンバーに着いた時に魔法をかけていた。夜中の2時、この時間に明日また来ようと思った。
 部屋までオーロに送って貰いベッドに入った。その時、侍女が部屋に入って来た。様子を見に来たようだ。危なかった。

 リアは毎日、夜中に抜け出してはユリウスの様子を探りに行った。1日目に2時に起き出して外出していたのはその日だけだったようで、リアが抜け出して見に行っている時間にはベッドで寝ていた。
 侍女には夜中に様子を見に来るのは止めてくれと頼んだ。「あなたの足音で目が覚めてしまう。それから寝られない」と主張したのだ。侍女はリアが食事もきちんと取って時間になれば寝て起きいたので夜中に様子を見に行くのを止めざるを得なかった。今はナイーブになっているのだろうと考えた。
 

 そしてアンバーに行く日程が決まり近づいていた。リアはまだユリウスの資金元を把握していない。しつこく、夜中に行ってもダメなのだろうかと考えていたその日、ユリウスが等々夜中に置き出して一人で鉱山に入って行った。これを逃したらまた数日は動かないかもしれないと、リアも鉱山の入口に向かった。

 鉱山は今は停止しているようだった。誰にも入らせないようにしている。そこにユリウスは入った。
 箒に乗ってユリウスの後を追う。明かりがある方へ慎重に進んだ。中は真っ暗でリアも少し明かりを持っていないと進めないほどだった。

「おお、育っているな。私のカワイイ子供達よ。魔石に魔素がなくなっている。あと少しだな」
 ユリウスの声がした。明かりを消して声がする方を除いた。ユリウスは魔石に手を翳し、魔力を注いでいた。
「このくらいでいいだろう。また一週間後に来るからな」
 ユリウスは何かにキスをした。そして来た道を戻り鉱山は封鎖された。鉱山は隠れる場所がたくさんある。リアに気が付かずユリウスは屋敷へと戻った。

 残されたリアは明かりをつけ、ユリウスが話しかけていたものを見た。そこには宝石であろう原石が埋まっていた。大きな魔石にはユリウスの魔力が並々と入っているのだろう。栄養ドリンクのように注がれている。

 なるほど資金元はこの宝石の原石なのだ。リアは落ちていた小さなカケラを拾い持ち帰った。
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