初めまして婚約者様

まる

文字の大きさ
1 / 4

1

しおりを挟む
人気の無い、静かな場所でランチを食べたい。
そう思って探し出した場所には既に先客がいた様だ。


「あら、貴女は…」

「!申し訳ありません、すぐに移動します」


この方顔色も悪いし大丈夫なのかしら。あら。


ぐー…きゅる


「まあ」

「私ったら、大変失礼を…」

「よろしいのよ。ねぇ、良かったら一緒に召し上がらない?」


ぽつぽつと食事を口にしながら彼女が語ってくれた。
高位貴族の令息が最近になって自分の周りに良く現れる様になった事。その為令息の婚約者の方を含めた令嬢達に苦言を言われている事。その事で自分は大丈夫だといくら断りを入れても慎んでくれず、より姿を見せる様になった事。どんどんと悪循環に陥ってどうしたら良いのか分からないと最後の方は涙ながらに話してくれた。


「まあ…それは確かに辛いわね。ご自分よりも爵位が上の、しかもご本人達には親切のつもりならなおの事理解下さらないのかもしれないわね」

「はい、私には相談できる方もいないので、もうどうすれば良いのか見当もつかないです」


うーんどうすれば彼女にとって一番良い方向に運ぶのかしら。思考に気を取られていると「あっ」と彼女の声にはっとする。


「申し訳ありません、すっかり失念して名乗る事もせず。ヘルネ子爵家の次女、ペトラ・ヘルネと申します」

わたくしもですわね。ノイハイム伯爵家長女、アウレーナ・ノイハイムですわ」


はたと見つめ合ってくすくす笑い合う。


「よろしければペトラ様とお呼びしても?わたくしの事は是非アウレーナと呼んでくださいませ」

「そんな!光栄です、アウレーナ様」


ああ、そうだわ!お昼はここで一緒にとればいいのよ。クラスは高位と下位の貴族では学ぶ事が違うから一緒には居れないけれど、少しはマシになるかもしれない。それがいいかも、そうしましょう。

それからは2人で食事を取り、会えば軽い雑談をする仲になった。
今日も一緒に食事を取ろうと向かう途中に呼び止められる。


「ノイハイム様、少し宜しくて?」


あら、と振り返ると今呼び止められたリーザベト・レンブルク公爵令嬢、その少し後ろにはイーザンナ・デンハイム辺境伯令嬢、ザブリーネ・ロイヒェン伯爵令嬢、ダニエルナ・ライスナー伯爵令嬢がいらしゃった。

どの方々も由緒ある家名に相応しい立派な御令嬢達だ。


「勿論ですわ。皆様如何致しましたの?」

「ペトラ・ヘルネ様と最近親しくなさっていると伺いました。噂はご存知ですよね」


あら、皆様ももしかしてペトラ様の不遇に憂いていらしゃるのね!


「まあ、それでは皆様ペトラ様の状況に心を痛めてご助勢下さるのですか!?わたくしだけでは心許なかったのできっと彼女も喜びますわ!」

「え、少しお待ちになって?どういう事なのか話していただけるかしら」


ペトラ様から聞いた事を説明する。皆様の表情が険しくなっているけどどうしたのかしら。


「…そうですか。お話はわかりましたわ。ペトラ・ヘルネ様ご自身からもお話を伺いたいのでわたくし個人が使えるサロンがあります。そちらに…そうね、2日後の放課後来ていただける様伝えて頂けるかしら。ああ、ノイハイム様も一緒によろしいかしら。」

「ええ、承りました。ペトラ様とご一緒に伺いますわ」


それではと告げ彼女の待っているであろう場所に向かった。


「…という事ですので2日後わたくしと一緒に参りましょうね、ペトラ様」

「え、ええ!?あ、その私…」

「あら、もしや外せないご用事がありましたの?そうとは知らずに勝手に約束を取り付けてしまいましたわ」


どうしましょう?と首を傾げると、ペトラ様は決意した様に握り拳を作り、自分に言い聞かせる様に言いました。


「いえ、大丈夫です。行きます!アウレーナ様もご一緒して下さいますものね。私は行きます!」


あらまあ。


しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」  「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」  私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。  エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。  ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。  私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。  あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?    まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?  誰?  あれ?  せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?  もうあなたなんてポイよポイッ。  ※ゆる~い設定です。  ※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。  ※視点が一話一話変わる場面もあります。

王太子殿下に婚約者がいるのはご存知ですか?

通木遼平
恋愛
フォルトマジア王国の王立学院で卒業を祝う夜会に、マレクは卒業する姉のエスコートのため参加をしていた。そこに来賓であるはずの王太子が平民の卒業生をエスコートして現れた。 王太子には婚約者がいるにも関わらず、彼の在学時から二人の関係は噂されていた。 周囲のざわめきをよそに何事もなく夜会をはじめようとする王太子の前に数名の令嬢たちが進み出て――。 ※以前他のサイトで掲載していた作品です

断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした

カレイ
恋愛
 子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き…… 「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」     ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?

【完結】悪役令嬢の薔薇

ここ
恋愛
公爵令嬢レオナン・シュタインはいわゆる悪役令嬢だ。だが、とんでもなく優秀だ。その上、王太子に溺愛されている。ヒロインが霞んでしまうほどに‥。

殿下はご存じないのでしょうか?

7
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 学園の卒業パーティーに、突如婚約破棄を言い渡されてしまった公爵令嬢、イディア・ディエンバラ。 婚約破棄の理由を聞くと、他に愛する女性ができたという。 その女性がどなたか尋ねると、第二殿下はある女性に愛の告白をする。 殿下はご存じないのでしょうか? その方は――。

【完結】愛されない令嬢は全てを諦めた

ツカノ
恋愛
繰り返し夢を見る。それは男爵令嬢と真実の愛を見つけた婚約者に婚約破棄された挙げ句に処刑される夢。 夢を見る度に、婚約者との顔合わせの当日に巻き戻ってしまう。 令嬢が諦めの境地に至った時、いつもとは違う展開になったのだった。 三話完結予定。

私ってわがまま傲慢令嬢なんですか?

山科ひさき
恋愛
政略的に結ばれた婚約とはいえ、婚約者のアランとはそれなりにうまくやれていると思っていた。けれどある日、メアリはアランが自分のことを「わがままで傲慢」だと友人に話している場面に居合わせてしまう。話を聞いていると、なぜかアランはこの婚約がメアリのわがままで結ばれたものだと誤解しているようで……。

処理中です...