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「失礼いたします。お約束しておりましたアウレーナ・ノイハイムです。ペトラ・ヘルネ様と共に参りました」
「どうぞお入りになって」
中にはこの間お会いしたご令嬢方が公爵令嬢のレンブルク様の脇を固めていた。
…あ、あのお菓子私の好きなものですわ。
「挨拶は結構です。どうぞお掛けになって」
いつ食べて良いのかしら。…非公式の場とはいえ流石にレンブルク様の勧めもなく食べたらダメよね。
「ヘルネ様。今日この様にお招きした非礼はお詫びします。この間ノイハイム様から少し話を聞きました。ですが今一度貴女の口からお話を聞きたいと思いましたの。お願い出来ませんか?」
「は、はい。私の家は皆様ご存知の通り子爵位です。伝手もなく特に裕福というわけでもありません。この学園には学業を修める事、それにその、相手の方も探しておりました。別に高位の方をというわけではありません。平民の方でも良かったのです。」
隣のクッキーってもしかして最近評判のいいあのお店のかしら。お母様と昨日別の種類のクッキーを一緒に食べたけどとっても美味かったのよね。
「しかし勉学に必死でそれ以外の余裕もなく過ごしておりました。偶然殿下とすれ違い、その時教室を移動する途中でしたので会釈をする時に抱えていた荷物が落ちてしまいました。側にいらしたご学友のお一人が拾って下さったのでお礼を述べてその場を後にしました。それ以降から殿下やご学友の方が何かにつけてちょくちょく声をお掛け下さる様になったと思います。」
「では貴女からは声は掛けていないのね?」
「勿論です!私の様な身分の者が高位の、ましてや王族の方に学園内とはいえあり得ません!」
ああ…プチケーキも綺麗で美味しそう。宝石みたいにキラキラしてどんな味がするのかしら。
「殿下方とお話しをする機会が増えたその頃から他のご令嬢から婚約者がいると聞かされ、慌てて距離を取ろうとしたのですが『君は気にしなくて良い』とか『自分達が守るから』等と言ってよりその、意固地になられた様で。不敬罪覚悟で迷惑だとハッキリ伝えたのですが『君を傷つける者は許さないから安心しろ』とより酷くなって、一切受け取ってはいませんが何かのプレゼントまで押し付けようとなされたり、私どうすれば…」
「はあ…」
「まあ…」
「最近では私が愛妾志望しているなら自分がもらってやると乱暴されそうになったり、嫌がらせも増えてきて…い、家に負担をかけない様にとお、思って、いた、の、に、これじゃ…」
大変、ペトラ様が…。
「発言よろしいでしょうか」
「どうぞ、ノイハイム様」
「ペトラ様がお1人でいらっしゃるからご令息の方々が気にかけるのなら私達が2人以上側に居れば気が晴れるのでは?ご無体をなさろうとした方は後で確認をとってリストにし先生の方から注意をしていただきましょう。」
「え、ええそうね」
「それともしもの為に具体的に行われた嫌がらせの内容、日時、された方を教えてくださる?お顔さえ分かれば名前、家族構成まで大体の方は覚えているのですぐにわかりますわ。ああ、それと証言してくださる方も探さなくては。大変ですが頑張りましょう!」
「は、はい!」
もういただいてもよろしいかしら。お茶ばかりでお腹がタプタプしてきましたわ。
「…ヘルネ様のお話を聞いて、表立っては私達が側にいるという事で皆様よろしいかしら」
皆様コクリと頷かれる。良かったわ!これでペトラ様の悩みも晴れるかしら。
「それじゃあ皆様甘いものでも頂いて気分を変えましょう。どうぞ召し上がって」
やりましたわ!どれからいただきましょうかしら。大好物から?いえ、でも宝石の様なケーキも気になるわ!
うきうきとどれから食べようか迷っているとドアがノックもなしに乱暴に開け放たれた。
「ペトラ!良かった無事か。どういうつもりだリーザベト!」
「それはこちらがお聞きしたいですわ。いくら殿下であろうともこの様になさる説明をキチンとして下さるのですわよね?」
やっと…やっといただけると思ったのに…。
「黙れ!ペトラ、大丈夫か。さ、早くここを出よう」
「そんな、殿下の誤解です!皆様にご相談していただけで…。い、痛。手を離して下さい!」
キラキラプチケーキ、まだ口にした事のないクッキー、私の大好きな…
「……さいってー……」
殿下のお陰でせっかくのお菓子が食べられず、思わずぶちぶち呟いていた。ペトラ様は隙をついて振り解けた様で、そのまま私の後ろに隠れた様だった。
「っ!」
そのまま何故か殿下は出て行かれた。
シンっと静まり返った室内で私とペトラ様以外のご令嬢が何か口々に呟いていた。
ため息と共にレンブルク様のパチリと扇を閉じる音が響いた。
私とペトラ様そして他のご令嬢方となるべく一緒にいる様にしていたらご令息のお節介が減ってきた様だった。
嫌がらせも目に見えて減った様で良かったわ。
ご令嬢達と固まって行動する様になってから誤解も解れてきた様で良かったわ。遠巻きに見ていた方々とも少しづつではあるが会話をする様になったとか。
それと自分の様に辛い思いをして欲しくないと聞いておりましたし、被害に合われそうな、特に立場の弱い見目の良い平民女性の方に注意を促す為『妾を強要した男性リスト』をくれぐれも出所は明かさない、見つからない様にと念を押して渡しておいた。
しかし、そのリストは平民から男爵、子爵へと巡り、そういったリストがあると私の耳に届いた時には、ペトラ様がお1人の時にちょっかいをかけていた者達も未だいた様だがピタリと止んだ様だった。
レンブルク様は妃教育が佳境に入った為、中々学園には来られなくなってしまったが私達は打ち解け名前で呼び合う様になっていた。
いつも沈んで青白い顔をしている事が多かったペトラ様は、少しづつ本来の彼女に戻った様で明るい表情を見せてくれる事が多くなった。
比較的自由の利く私とペトラ様で、街の庶民に人気のオススメ菓子やらをたくさん買い集めリーザベト様のお部屋が広いのでそこに6人で集まってキャーキャー食べ比べをしたりした。
何故か未だペトラ様の周りをうろついているご令息。もう私達がいるから心配なんて無いのに。
もうそろそろ卒業が近づき私とペトラ様以外の方々は役員である為毎日を忙しくされていた。
私達も卒業の準備に忙しかったですが。
「どうぞお入りになって」
中にはこの間お会いしたご令嬢方が公爵令嬢のレンブルク様の脇を固めていた。
…あ、あのお菓子私の好きなものですわ。
「挨拶は結構です。どうぞお掛けになって」
いつ食べて良いのかしら。…非公式の場とはいえ流石にレンブルク様の勧めもなく食べたらダメよね。
「ヘルネ様。今日この様にお招きした非礼はお詫びします。この間ノイハイム様から少し話を聞きました。ですが今一度貴女の口からお話を聞きたいと思いましたの。お願い出来ませんか?」
「は、はい。私の家は皆様ご存知の通り子爵位です。伝手もなく特に裕福というわけでもありません。この学園には学業を修める事、それにその、相手の方も探しておりました。別に高位の方をというわけではありません。平民の方でも良かったのです。」
隣のクッキーってもしかして最近評判のいいあのお店のかしら。お母様と昨日別の種類のクッキーを一緒に食べたけどとっても美味かったのよね。
「しかし勉学に必死でそれ以外の余裕もなく過ごしておりました。偶然殿下とすれ違い、その時教室を移動する途中でしたので会釈をする時に抱えていた荷物が落ちてしまいました。側にいらしたご学友のお一人が拾って下さったのでお礼を述べてその場を後にしました。それ以降から殿下やご学友の方が何かにつけてちょくちょく声をお掛け下さる様になったと思います。」
「では貴女からは声は掛けていないのね?」
「勿論です!私の様な身分の者が高位の、ましてや王族の方に学園内とはいえあり得ません!」
ああ…プチケーキも綺麗で美味しそう。宝石みたいにキラキラしてどんな味がするのかしら。
「殿下方とお話しをする機会が増えたその頃から他のご令嬢から婚約者がいると聞かされ、慌てて距離を取ろうとしたのですが『君は気にしなくて良い』とか『自分達が守るから』等と言ってよりその、意固地になられた様で。不敬罪覚悟で迷惑だとハッキリ伝えたのですが『君を傷つける者は許さないから安心しろ』とより酷くなって、一切受け取ってはいませんが何かのプレゼントまで押し付けようとなされたり、私どうすれば…」
「はあ…」
「まあ…」
「最近では私が愛妾志望しているなら自分がもらってやると乱暴されそうになったり、嫌がらせも増えてきて…い、家に負担をかけない様にとお、思って、いた、の、に、これじゃ…」
大変、ペトラ様が…。
「発言よろしいでしょうか」
「どうぞ、ノイハイム様」
「ペトラ様がお1人でいらっしゃるからご令息の方々が気にかけるのなら私達が2人以上側に居れば気が晴れるのでは?ご無体をなさろうとした方は後で確認をとってリストにし先生の方から注意をしていただきましょう。」
「え、ええそうね」
「それともしもの為に具体的に行われた嫌がらせの内容、日時、された方を教えてくださる?お顔さえ分かれば名前、家族構成まで大体の方は覚えているのですぐにわかりますわ。ああ、それと証言してくださる方も探さなくては。大変ですが頑張りましょう!」
「は、はい!」
もういただいてもよろしいかしら。お茶ばかりでお腹がタプタプしてきましたわ。
「…ヘルネ様のお話を聞いて、表立っては私達が側にいるという事で皆様よろしいかしら」
皆様コクリと頷かれる。良かったわ!これでペトラ様の悩みも晴れるかしら。
「それじゃあ皆様甘いものでも頂いて気分を変えましょう。どうぞ召し上がって」
やりましたわ!どれからいただきましょうかしら。大好物から?いえ、でも宝石の様なケーキも気になるわ!
うきうきとどれから食べようか迷っているとドアがノックもなしに乱暴に開け放たれた。
「ペトラ!良かった無事か。どういうつもりだリーザベト!」
「それはこちらがお聞きしたいですわ。いくら殿下であろうともこの様になさる説明をキチンとして下さるのですわよね?」
やっと…やっといただけると思ったのに…。
「黙れ!ペトラ、大丈夫か。さ、早くここを出よう」
「そんな、殿下の誤解です!皆様にご相談していただけで…。い、痛。手を離して下さい!」
キラキラプチケーキ、まだ口にした事のないクッキー、私の大好きな…
「……さいってー……」
殿下のお陰でせっかくのお菓子が食べられず、思わずぶちぶち呟いていた。ペトラ様は隙をついて振り解けた様で、そのまま私の後ろに隠れた様だった。
「っ!」
そのまま何故か殿下は出て行かれた。
シンっと静まり返った室内で私とペトラ様以外のご令嬢が何か口々に呟いていた。
ため息と共にレンブルク様のパチリと扇を閉じる音が響いた。
私とペトラ様そして他のご令嬢方となるべく一緒にいる様にしていたらご令息のお節介が減ってきた様だった。
嫌がらせも目に見えて減った様で良かったわ。
ご令嬢達と固まって行動する様になってから誤解も解れてきた様で良かったわ。遠巻きに見ていた方々とも少しづつではあるが会話をする様になったとか。
それと自分の様に辛い思いをして欲しくないと聞いておりましたし、被害に合われそうな、特に立場の弱い見目の良い平民女性の方に注意を促す為『妾を強要した男性リスト』をくれぐれも出所は明かさない、見つからない様にと念を押して渡しておいた。
しかし、そのリストは平民から男爵、子爵へと巡り、そういったリストがあると私の耳に届いた時には、ペトラ様がお1人の時にちょっかいをかけていた者達も未だいた様だがピタリと止んだ様だった。
レンブルク様は妃教育が佳境に入った為、中々学園には来られなくなってしまったが私達は打ち解け名前で呼び合う様になっていた。
いつも沈んで青白い顔をしている事が多かったペトラ様は、少しづつ本来の彼女に戻った様で明るい表情を見せてくれる事が多くなった。
比較的自由の利く私とペトラ様で、街の庶民に人気のオススメ菓子やらをたくさん買い集めリーザベト様のお部屋が広いのでそこに6人で集まってキャーキャー食べ比べをしたりした。
何故か未だペトラ様の周りをうろついているご令息。もう私達がいるから心配なんて無いのに。
もうそろそろ卒業が近づき私とペトラ様以外の方々は役員である為毎日を忙しくされていた。
私達も卒業の準備に忙しかったですが。
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