AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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終わりのための旅

温かい食卓

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「あー、大丈夫ですよ」

「あなた達がやったとは思っていませんから」

老人はそう言って、口元を緩めた。
だが、その奥には怒りと寂しさが混じっているのが、はっきりとわかった。

「、、、もし、私たちがあの場にいたら」

「こんなことには、ならなかったかもしれないのに」

その言葉の意味は、俺にはよくわからなかった。
だが今は深く考えないようにする。

「そうだったんですね」

「事情も知らず、すみません。食料も勝手に物色してしまって、、」

俺がそう言うと、老人は首を横に振った。

「いえいえ」

「仮に彼らが生きていたとしても、きっと何も言いませんよ」

そう言って、目を伏せる。

「本当に良い人たちでしたから、、、」

その言葉のあと、しばらくの沈黙が流れた。
街の静けさが、四人を包んでいる。

その沈黙を破ったのは、老婆だった。

「ねえ、お嬢ちゃん」

「お腹、空いてない?」

突然の問いかけに少女は一瞬だけ戸惑ったが、小さく答えた。

「、、、、空いた」

「じゃあ、ご飯にしましょう」

「お兄さん、料理とかしなさそうだしね」

そう、冗談めかして笑う。

俺も思わず苦笑いをした。
否定できないのが少し悔しかった。


老夫婦は、俺達を自分たちの住処へ案内してくれた。
街を少し外れた場所にあった。

途中で老人が静かに言った。

「一番広い拠点があるのですが」

「そこは今、案内できる状態じゃありませんので」

理由は聞かなくてもわかる。
そこが惨劇の場なのであろう。

代わりに案内されたのは、こじんまりとした住処だった。
どうやら拠点はいくつかあり、状況に応じて使い分けているらしい。

中に入ると、老婆はすぐ準備を始めた。
手慣れた様子で道具を揃え、食材を準備する。

その間、俺と少女、そして老人は机を囲んで座った。
誰かと向かい合って座るのは、久しぶりだ。

俺は旅のこと、少女のことを話した。
老人は相槌を打ち、ときどき質問を挟む。
あえて自衛隊の男の件は話さなかった。
少女と俺は、偶然出会ったと話した。
少女は、湯気の立つ鍋をちらちら気にしながら、話を聞いていた。

部屋の中には、久しぶりに「生活の音」があった。
包丁がまな板に当たる音。
湯が沸く音。

久しぶりに人間らしさを感じれた。


食卓に並んだのは、卵焼き、味噌汁、焼き魚、白米だった。

その光景を見た瞬間、俺は言葉を失った。
缶詰でも乾パンでもない。
まるで、母親が出してくれるご飯のようだった。

「こんなの、久しぶりだな」

思わず感動が胸に広がる。

老人は湯気の立つ味噌汁を置きながら、穏やかに言った。

「やつらはね、人間以外には興味がないので」

「なので家畜を育てることは人数がいれば、そこまで難しくないんですよ」

ここの人たちは、生きるためにかなりの工夫をしたのだろう。
俺とは大違いだ。

ふと横を見ると、少女がそわそわしている。
箸に手を伸ばしかけては止め、ちらりと周りをうかがっている。
早く食べたいけど、誰も手をつけないので待っているのであろう。

その様子に気づいた老婆が、にこりと笑った。

「じゃあ、食べましょうか」

手を合わせる。

「いただきます」

その言葉に続いて、皆が声を揃えた。

「いただきます」
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