AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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終わりのための旅

惨劇

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取り敢えず、
この二人は信じていい存在だと飲み込むことにする。
特に理由はないが。

俺は一度、周囲を確認してから口を開いた。

「この街のことを聞いてもいいですか?」

老人は頷いた。
俺は気になっていたことを聞いた。

食料や資材が妙に整理され、点々と置かれていたこと。
この街に、他の生存者がいるのかということ。

話している間、老人の表情が少しずつ変わっていくのがわかった。
さっきまでの柔らかさが消え、眉間に深いシワができる。
その表情は悲しみ、怒りを足したようなものだった。

「そうですね、、、、」

老人は低い声で語りだした。

「この街にはね、」

「数十人ほどですが、生き残った人間がいました」

食料を持ち寄り、役割分担をして暮らしていたという。

「小さな集まりですが、、うまくやっていたんです」

老人は続ける。

「やつらに抵抗しながら、ここを拠点に生きていました」

やはりあの食料や資材は管理されていたのだ。

老人は少し、照れたように息を吐いてから続けた。

「こんな老人にも皆さん、本当に優しくしてくれました」

感謝が込められていた。
ここでは人間同士の争いはなく、本当に仲が良かったのだろうと想像した。

やつらが動かなくなった日。
街に残っていた人たちは、最初は疑った、そして――喜んだという。

「もう追われなくてもいいのかもって」

「久しぶりに、声を出して皆で笑いましたよ」

そこで老夫婦は一つやりたいことを思い出したらしい。
長い間、帰れずにいた場所に行こうと。
それは剣術の道場。
やつらが溢れてから、近づけなかった場所。

「何年かぶりでしたから」

「どうしても、見ておきたくなりましてね」

横の老婆が静かな口調で話す。

「思っていたよりも、ずっと綺麗に残ってましたよね」

声が少し震えていた。

「みんなで汗を流した光景が、はっきり思い出せて」

涙をこらえながらも、どこか嬉しそうだった。

俺は二人の話を黙って聞いていた。
二人にとって、本当に幸せなことだったのだろうと伝わってくる。

老人は、そこで一度言葉を切った。
さっきまでの穏やかな表情が、急に険しくなる。

「、、、ただね」

「問題はその後だったんですよ」

口調が重かった。


それは、道場から皆が待つ住処に戻った時。
そこは惨劇だったという。

「何十人もいた家族が、、、全員、殺されていました」

家族。
そう呼んだ老人の言葉は少し震えていた。

床に倒れた身体。
一面の血痕。
もう誰一人、生きていなかったという。

しかもそれはやつらの仕業ではなかったという。
そもそもやつらが動かなくなった後だ。

噛み傷も、引き裂かれた痕もない。
ただ代わりにあったのは、刃物による傷。
あとは銃器による外傷。

「やつらではないことが、すぐに分かりましたよ」

状況の理解が出来なかったという。
誰が、なんのために。

それでも老人は思った。
もしかしたら、生存者がいるかもしれない。

なので二人で街を探索していたらしい。

「そうしている時に」

こちらを見る老人。

「あなた方を見つけたんです」

街の静けさが、より一層重く感じられた。
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