AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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大柄なヒーロー

作戦会議

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川路が口を開く。

「実は最近、別の生存者グループから襲撃を受けまして、、、」

真剣な表情で語り始めた。

「その際に仲間が一人、拉致されました。
  もともと私たちは、八人のグループだったんです。」

その言葉を聞いて、私は安心した。
川路は私に対して、銃器の提供を求めると思っていたからである。
自衛隊なら銃器を保有していてもおかしくない。
それを自分たちの資源として奪いたい、と考えているのかと思ったのだ。

「まだ生きているかは分かりません」

「ですが、助けたいのです」

その時、紅林が口を挟む。

「私たちは、その仲間が生きていると見ています。
  なぜなら、その仲間は医者だからです」

なるほど。
確かに、生きている確率が高い。

医者。
この世界で、それがどれほどの価値を持つかは言うまでもない。
四階の治療室の件も、納得がいった。


それよりも、川路は私の助けを求めている。
私はヒーローとして、応えられる。

「事情は、分かりました」

「私に、その方の救助を手伝ってほしい、ということですね!」

私は先回りするように、あえて明るく、そして自信満々に言った。

「その通りです」

川路が頷く。

「ちなみに、そのグループの特徴や人数は?」

私が問うと、川路の表情が曇る。
それを見て、紅林が代わりに答える。

「人数は不明です。
  襲撃時に確認したのは五~六人ほど。
  全員、武装していました」

その言葉を言い終えた紅林を、川路は暗い表情で見つめ、
こちらの反応を探るように、私へ視線を向けた。

人数不明。
全員武装。

冷静に考えれば、受けるべき提案ではない。
危険だ。

だが同時に、過去の記憶が蘇る。

自衛隊に入隊することを決断した日。
誰かを助ける、かっこいいヒーローになるための道。

私は小さく息を吸い、腹を決めた。

「わかりました!
  川路さんたちに協力しましょう!!」

はっきり前を見て言う。

「本当ですか??」

川路は目を見開き、歓喜の表情を見せる。

「ええ!」

一方で、紅林は相変わらず無表情のままだった。

「ただし、条件があります」

そう私が付け加えると、川路は姿勢を正した。

「なんでしょうか?」

「私たちを、皆さんの“仲間”にしてください!」

一瞬、間が空いた。

「あ、ええ!?」

川路は拍子抜けしたように声を上げる。

「むしろ、大歓迎ですよ!!」

もっと重い条件を覚悟していたのだろう。
予想外だった、という顔だ。

「谷風さんがいれば、我々も安心できますし」


この条件には、理由がある。
英花のことだ。

このグループには、救助が成功すれば医者がいる。
女性もいる。
そして英花と年の近い子供もいる。

もしーー
もしこの世界が元に戻ったとしたら。

私と二人きりの世界で育った英花は、きっと“普通の女の子”にすぐには馴染めない。

だからこそ、今のうちに英花の“私以外の居場所”を作りたかった。

そして、もう一つ理由がある。
それは私自身の夢だ。

私はヒーローになりたくて、自衛隊に入隊した。
この世界で、一人でも多くの人を助けたい。
自分が多少傷ついても、人の役に立ちたい。

だが、そんな生き方に英花を連れ回すわけにはいかない。
危険すぎるし、英花は女の子だ。

だから私は考えた。
英花が残れる場所。
私がいなくても、笑っていられる場所。

――それを、今、作っておきたかった。
ヒーローである前に、父親として。


その後、川路と紅林、そして私の三人で救助の作戦を詰めた。

このグループは、川路、紅林、そして男が他に二人。
雄太と母親。
それからもう一人の女性。
救助が成功すれば、医者の仲間が追加され八人に戻る。

救助に向かうのは私、紅林、川路の三人だけ。

残る男二人は、このマンションの護衛だ。
紅林が提案した案だ。
ちなみに私は大賛成だった。

英花を連れてはいけない。
危険すぎる。

英花は間違いなく、「私も行く」と言う。
武装集団相手の救助だ。
なので、今回は連れていけない。

「ちなみに、武器はありますか??」

私が確認すると、川路は無言でテーブルの引き出しを開けた。
中から取り出したのは、二丁の拳銃。

「銃器だと、これだけです」

私はそれを見て、すぐに言った。

「私は、これだけで大丈夫です!」

そう言って、金属バットを見せる。

川路はそれを見て、

「わかりました」

飲み込んでいる表情だった。
その目は、「本当に大丈夫なのか?」という疑問がはっきり浮かんでいる。

一方で、紅林は目も向けなかった。
淡々と拳銃を手に取り、銃弾を込めていく。

私はこの男に、強い違和感を覚えた。
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