AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

文字の大きさ
33 / 60
大柄なヒーロー

裏切り者と、不気味な男

しおりを挟む
私たちは目的地の廃校にたどり着いた。

入口付近に、見張りが二人。
銃器は持っていないが、長い棒状の武器を持っている。

堂々と相手をしてもいいが、無線機を持っていれば中の連中にバレる。

「静かにいきましょう」


まず紅林が足元の小石を、入口付近に投げる。
カン、と乾いた音。

「、、、なんだ?」

見張りの一人が首を傾げ、音のした方へ歩き出す。

その瞬間、
私が背後から一気に距離を詰め、男の首に腕を絡める。
抵抗もさせず、一瞬で気絶させた。

それに気づき、もう一人の見張りが慌てて腰に手を伸ばす。

だが、その前にーー、
横から川路が飛び込み、腕を抑える。

「なっーー!」

大声を上げる前に、私も加勢する。
二人がかりで抑え、さっきの男同様に気絶をさせた。

私は見張りの腰元を探る。

「やはりな」

案の定、無線機を所持していた。
これは使える。

入口は無事、制圧した。

廃校に足を踏み入れようとした、その時。
紅林が、私の肩を掴んだ。

「ここからは、二手に別れましょう」

その言葉に、反射的に足を止める。

銃器を持っていて、人数は不明。
そんな相手がいる場所に、別れて侵入するのは危険すぎる。

「それは、危険じゃないでしょうか、、、」

そう返すと、紅林が答える。

「ここからは時間の勝負です。
  さっき奪った無線機で連絡を取り合い、
  仲間を見つけ次第、救出して即退出しましょう」

一理ある。
まとまっていれば、探す時間もかかる。
それでも、私は迷った。

「私たちは、大丈夫です!」

明るい笑顔で、川路が言い切る。
無理をしている感じでもない。

、、、信じるしかないか。
私は大きく息を吸い、覚悟を決める。

「無茶はしないこと」

「必ず、無事に帰ること」

真剣な顔で、紅林を見る。

「この二つだけは、絶対に守ってくださいね!!」

「わかりました。仲間を見つけたら、すぐ連絡します」

無表情のまま、紅林はそう答えた。
その隣で、川路も無言で頷く。


廃校は三階建て。
すぐに離脱できるように、紅林と川路は一階のみを探索。
私は、二階と三階を担当することになった。

廃校に入るなり、私は階段に向かう。
息を殺し、階段を上がる。

その私に、川路が振り返り笑顔を向けた。
その横には、相変わらず無表情の紅林。
私は小さく手を上げた。

ここからは、それぞれの戦いだ。


私は二階の探索を始めた。
慣れた足取りで、端から端まで確認する。

、、、いない。

拉致された仲間はおろか、人の気配がない。

「三階か、、、」

普通に考えれば、襲撃されやすい一階に固まっているとは思えない。
私は静かに階段へ向かった。


その頃ーー。

一階では、探索を続けていた二人が、教室の横の角で足を止めていた。
緊張による疲労を整えるためだ。

川路が廊下の奥を見つめ、その隣で紅林が息を整える。


そのときーー、

「何しているんだーい??」

不気味に間延びした声が、二人の背後から響いた。
一瞬、時間が止まる。

だが川路は、反射的に前に飛び出し、そのまま振り返る。
視線が、声の正体を捉えた。


視線の先には、不気味な男が立っていた。

背中は不自然なほど丸まり、猫背というより折れ曲がっているようだった。
そのせいか、腕が異様に長く、地面に届きそうな錯覚すら覚えた。

だが、より異様だったのは口だ。
ニターっと歪んだ笑みを浮かべたその口は、あまりにも大きい。
裂けている、と表現した方が近い。
まるで口裂け女のようだ。

川路は、言葉を失った。

さらに信じがたい光景に目を奪われる。

ーー紅林が、そこにいた。

不気味な男のすぐ横。
肩が触れそうな距離に、微動だにせずに立っている。

不気味な男。
それに、全く動じない紅林。

「紅林くーん」

男が、ねっとりした声で呼びかける。
ニタニタと笑いながら、首を傾げる。

「彼が、お友達の川路くんかな??」

紅林は、その男を一瞥もしなかった。
視線は前を向いたまま、無表情で答える。

「そうです」

短い返答。

川路は、まだ喋ることができない。
頭が追いつかない。

「かなりビビっちゃってるね」

紅林を見る男。

「面倒だからさ、紅林くん。
  君から説明してよ」

それを聞いた紅林は、何も言わずに動き出す。
そして川路の方へ、ゆっくりと歩み寄る。

その紅林が、不気味な男よりも川路の背筋を冷やした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

処理中です...