49 / 71
第六章 辺境の島に国を作る
49.王子、今頃自己紹介をする
しおりを挟む
「えっ、お兄様ってそんなに強かったんですか?」
フィンガーフリックに驚いたメアリーは自分の指と僕の指を交互に見ていた。
「僕が唯一戦えるのはこれしかないからね?」
実際に一回使っただけで、倦怠感に襲われてしまう。それだけ諸刃の剣に近い物理魔法だ。
物理なのか、魔法なのかもはっきりしない。
「でもエルダートレントの体がバキバキ言ってたよ?」
せっかく家の柱にでも使ってやろうと思ったのに、ボロボロになっていたら使えないだろうな。
『アドルー! あいつ死んでいたぞ!』
飛んで行ったと思われる場所にコボスケとヒツジはすぐに向かっていた。その手にはたくさんの木と翡翠色の魔石を手にしている。
どうやら僕はエルダートレントを倒したようだ。
きっとダメージが蓄積していたのだろう。
「ひょっとしたら私達の中で、お兄様が一番強かったんじゃない? フェンリルと白虎がビビる――」
「シー! あいつらフェンリルと白虎って気づいてないんだよ!」
メアリーの口を急いで閉じる。僕の言葉を聞いて、大きく目を見開いている。確かに一度も自己紹介をしていないため、何の魔物かもわかっていないだろう。
『そんなに近くてどうしたんだ?』
コボスケは僕とメアリーの間に入ってきた。
ヒツジも尻尾を入れて僕とメアリーの間に壁を作っている。
「いや、そういえば自己紹介をしていないって話になってね?」
僕の言葉に反応してメアリーは頷く。さすが空気を読める妹だ。
一度メアリーのために自己紹介をすることになった。
『じゃあ、拙者からだな! 拙者はコボルトだ』
はい、勘違い一人目です。メアリーもそう思っているのだろう。僕の方をチラチラと見ている。
『ワシはケットシーだ!』
はい、勘違い二人目です。師匠だからか少しショックが大きそう。師匠がボケているって、弟子としては一番見たくない姿だろう。
『オラ達はコウモリだよ!』
はい、勘違い集団発見です。
どこから見てもフェニックスなのはすぐにわかる。メアリーはすでにお腹いっぱいになったのだろう。助けが欲しくてこっちを見ている。
だが、まだまだ個性に溢れる仲間達が存在している。
『私は魚です』
はい、どこから見ても魚ではないです。一番の嘘つきがここにいます。
「いやいや、リザードマンだろ」
「いやいや、ドラゴニュートだよ」
「えっ?」
「えっ?」
僕はメアリーと顔を見合わせる。二人で何の種族か討論会が始まる。
メアリーは体の大きさと背中を見てドラゴニュートだと思ったらしい。確かに背中の鱗に紛れて小さな羽が折りたたまれていた。
ドラゴニュートとリザードマンではだいぶ異なった存在だ。
ドラゴニュートはドラゴンの力を宿していると言われている。火を吐いて魚を食べるところを見たことがあるため、ドラゴンよりドラゴニュートの可能性が高いのかもしれない。
よって話し合いの結果、魚はドラゴニュートとなった。
『次はオイラの番だね。えーっとモグラだよ?』
ここにも勘違いしているやつがいました。自分でも少しモグラなのか疑問に思っているのではないか。
君は立派なアースドラゴンだ。少し体に苔が生えているけどね。
『吾輩はモモンガです』
うん、ここまできたら何でも良くなるよね?
僕もずっとそんな気持ちだった。何が現れても受け入れられる体制ができるからね。
ちなみに尻尾が本体だと伝えると、メアリーはすごく驚いていた。
コカトリスの中で尻尾が本体なのは、ごく稀にしかいないらしい。過去の歴史でも数体しか存在しないと。
そのコカトリスがここではモモンガって言っているから変わった島だよね。
『最後に私よ! 私は乙女よ!』
うん、なぜか一番しっくりくるのがカマバックだ。その言葉を聞いて安心してしまう。
「やっぱりお前は博学で安心するわ」
「いやいや、お兄様? あの方は乙女だけど、アラクネですよ? 蜘蛛型魔物の最強種です」
最強種ってこの世に存在したらいけないと言われている存在だ。
その最強種が僕の目の前で、鼻歌を歌いながらみんなの服を編んでいる。
ちなみにフェンリルと白虎も最強種に当たるらしい。ただの強い魔物と思っていたが、存在してはいけないやつらだとは思いもしなかった。
そんなやつらがゴロゴロといるこの島は辺境じゃなくて魔境だろう。
「ここにいたら世の中どうにでもなりそうだね」
メアリーは全員の自己紹介を聞くと、考えるのを放棄したようだ。
ここの島には変わった動物がたくさんいる。そんな島だと思っていた方が心が楽になる。
ああ、本当に個性が強いな……。
フィンガーフリックに驚いたメアリーは自分の指と僕の指を交互に見ていた。
「僕が唯一戦えるのはこれしかないからね?」
実際に一回使っただけで、倦怠感に襲われてしまう。それだけ諸刃の剣に近い物理魔法だ。
物理なのか、魔法なのかもはっきりしない。
「でもエルダートレントの体がバキバキ言ってたよ?」
せっかく家の柱にでも使ってやろうと思ったのに、ボロボロになっていたら使えないだろうな。
『アドルー! あいつ死んでいたぞ!』
飛んで行ったと思われる場所にコボスケとヒツジはすぐに向かっていた。その手にはたくさんの木と翡翠色の魔石を手にしている。
どうやら僕はエルダートレントを倒したようだ。
きっとダメージが蓄積していたのだろう。
「ひょっとしたら私達の中で、お兄様が一番強かったんじゃない? フェンリルと白虎がビビる――」
「シー! あいつらフェンリルと白虎って気づいてないんだよ!」
メアリーの口を急いで閉じる。僕の言葉を聞いて、大きく目を見開いている。確かに一度も自己紹介をしていないため、何の魔物かもわかっていないだろう。
『そんなに近くてどうしたんだ?』
コボスケは僕とメアリーの間に入ってきた。
ヒツジも尻尾を入れて僕とメアリーの間に壁を作っている。
「いや、そういえば自己紹介をしていないって話になってね?」
僕の言葉に反応してメアリーは頷く。さすが空気を読める妹だ。
一度メアリーのために自己紹介をすることになった。
『じゃあ、拙者からだな! 拙者はコボルトだ』
はい、勘違い一人目です。メアリーもそう思っているのだろう。僕の方をチラチラと見ている。
『ワシはケットシーだ!』
はい、勘違い二人目です。師匠だからか少しショックが大きそう。師匠がボケているって、弟子としては一番見たくない姿だろう。
『オラ達はコウモリだよ!』
はい、勘違い集団発見です。
どこから見てもフェニックスなのはすぐにわかる。メアリーはすでにお腹いっぱいになったのだろう。助けが欲しくてこっちを見ている。
だが、まだまだ個性に溢れる仲間達が存在している。
『私は魚です』
はい、どこから見ても魚ではないです。一番の嘘つきがここにいます。
「いやいや、リザードマンだろ」
「いやいや、ドラゴニュートだよ」
「えっ?」
「えっ?」
僕はメアリーと顔を見合わせる。二人で何の種族か討論会が始まる。
メアリーは体の大きさと背中を見てドラゴニュートだと思ったらしい。確かに背中の鱗に紛れて小さな羽が折りたたまれていた。
ドラゴニュートとリザードマンではだいぶ異なった存在だ。
ドラゴニュートはドラゴンの力を宿していると言われている。火を吐いて魚を食べるところを見たことがあるため、ドラゴンよりドラゴニュートの可能性が高いのかもしれない。
よって話し合いの結果、魚はドラゴニュートとなった。
『次はオイラの番だね。えーっとモグラだよ?』
ここにも勘違いしているやつがいました。自分でも少しモグラなのか疑問に思っているのではないか。
君は立派なアースドラゴンだ。少し体に苔が生えているけどね。
『吾輩はモモンガです』
うん、ここまできたら何でも良くなるよね?
僕もずっとそんな気持ちだった。何が現れても受け入れられる体制ができるからね。
ちなみに尻尾が本体だと伝えると、メアリーはすごく驚いていた。
コカトリスの中で尻尾が本体なのは、ごく稀にしかいないらしい。過去の歴史でも数体しか存在しないと。
そのコカトリスがここではモモンガって言っているから変わった島だよね。
『最後に私よ! 私は乙女よ!』
うん、なぜか一番しっくりくるのがカマバックだ。その言葉を聞いて安心してしまう。
「やっぱりお前は博学で安心するわ」
「いやいや、お兄様? あの方は乙女だけど、アラクネですよ? 蜘蛛型魔物の最強種です」
最強種ってこの世に存在したらいけないと言われている存在だ。
その最強種が僕の目の前で、鼻歌を歌いながらみんなの服を編んでいる。
ちなみにフェンリルと白虎も最強種に当たるらしい。ただの強い魔物と思っていたが、存在してはいけないやつらだとは思いもしなかった。
そんなやつらがゴロゴロといるこの島は辺境じゃなくて魔境だろう。
「ここにいたら世の中どうにでもなりそうだね」
メアリーは全員の自己紹介を聞くと、考えるのを放棄したようだ。
ここの島には変わった動物がたくさんいる。そんな島だと思っていた方が心が楽になる。
ああ、本当に個性が強いな……。
3
あなたにおすすめの小説
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。
王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。
戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。
彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。
奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、
彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。
「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」
騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。
これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる