無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

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第六章 辺境の島に国を作る

48.王子、老害に驚く

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 コボスケにエルダートレントを離すように伝えると、僕はすぐに謝った。

「友達が迷惑かけてすみません」

『ほほほ、若いのは元気があっていいのお』

 エルダートレントはどこかお爺さんのようだ。話し方もゆっくりで、ほのぼのとした空気感が流れている。

 そう思っていたのは一瞬だった。

『あやつは無理やり腕を折りやがって、何度痛いと叫んでも止め――』

「ごめんなさい! 今すぐにでも注意しておきます!」

 どうやら根に持っていたようだ。すごく優しい言葉の裏には色々と思っていたのだろう。

 すぐにコボスケに頭を下げさせると嬉しそうにしている。

『ほほほ、舐め腐ったガキは年寄りへの言葉の使い方もわからんのかね』

 ん?

 これは僕に言っているのだろうか。

『そこは申し訳ありませんでしただよな? すぐに注意しておきますって何様のつもりだ?』

 矛先がコボスケではなく、僕に向いている気がする。その後も僕に対して文句を並べ続ける。

 ああ、これって貴族界でも問題になっている老害ってやつだろうか。

 流石に僕もイライラしてきていたが、それよりもヤバい奴らがいた。

『拙者、こいつぶっ殺す』
『いや、それはワシの役目だ』
『いやーん、私が無理やり犯すわ』

 様々なことを言っているが、エルダートレントにイライラしているのはみんな同じのようだ。止めようにも僕の力では止められそうにない。

 メアリーに助けを求めるが、彼女も不気味な笑みを浮かべていた。

「ヒヒヒ、一本ずつ枝を折るのがいいのかな? 一つ……二つ……ヒヒヒたくさん折れるから――」

 あれは僕が知っている妹だろうか。知られていないだけで、闇属性魔法を使うことによる副作用があるのかもしれない。

『今時の若いやつらは……おい、聞いているのか!』

 エルダートレントは言いたいことが言えたからか、どこかスッキリした顔をしている。

 年寄りになると、周りが見えなくなるって言うのは本当のようだ。





『申し訳ありません』

 さっきまでの姿が嘘のようだ。エルダートレントは体をしならせて僕に謝っている。確かにイライラはしたが、別にそこまで気にしていない。

 ただ、仲間思いのコボスケ達がどうしようもなかった。

 コボスケは葉を一枚ずつ引き抜いて、ヒツジは風魔法で木の表面を薄く削っていく。

 焼き鳥は火炙りするし、リザードマンはフォークで何度も刺していた。

 各々の容赦なくエルダートレントに攻撃している姿を見て、中々の残虐性を持っていると知った。

 ももとささみも参加したそうにしていたが、流石に教育上良くないから子ども達は止めた。

 途中からは家の資材に使えるから良いと目的が変わっていた。

『どうか幹の部分はやめてください』

 今も必死にエルダートレントは謝っているが、コボスケ達は聞く耳を持たない。

『おい、お前ら幹が弱点らしいぞ! アドルを傷つけられて黙っているやつはいねーよなー?』

『お前らいくぞ!』

 流石に見てて可哀想に見えてくる。僕は急いでエルダートレントの前まで走った。

「もう、そこまでにしてあげ――」

『へへへ、やはり馬鹿なガキは騙されやす――』

 エルダートレントは僕を締めつけるために、幹をしならせる。

 ああ、助けてあげようと思ったのにな……。

 僕は指先に魔力を集めていく。イライラしているからか、魔力の通りが良い気がする。

『おおおおおい、ワシは逃げるぞ!』

『拙者もあのアドルは怖いぞ』

 コボスケ達はすぐに立ち止まり逃げていく。今回はその判断で正しい。僕はお前達にこれを放つ気はないからな。

『ははは、お前ら情け――』

「クソジジイは黙っていろ! フィンガーフリック!」

 僕は振り向いた瞬間に、指に集めた魔力を解き放つ。圧縮された魔力は直接エルダートレントの幹に当たる。

――バゴオオオオン!

 大きな音を立ててエルダートレントは吹き飛んで行った。

「はぁ、清々しいな」

 空を見上げるととても良い天気だった。
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