64 / 71
第七章 家庭訪問編
64.王子、あることに気づく
しおりを挟む
『それでお主はアドルをどうするつもりだ』
『ワシらからアドルを奪うということは、どうなるかわかっておるんだろうな?』
コボスケとヒツジはアーサーを威嚇していた。正確に言えば兄をいじめているようだ。びっくりして腰を抜かしている。
メアリーもコボスケとヒツジを見た時に同じ反応をしていた。しかも、成人しているアーサーの方がさらにこいつらの恐ろしさを感じるだろう。
「メアリーこれは――」
「アドル兄様の親友ですよ! ちなみに私の大好きな親友も――」
『いやぁん♡ 私のことを親友なんて照れちゃうじゃないの!』
『ボクも嬉しいです』
カマバックとカクレコはメアリーに親友と言われて紹介されたことが嬉しいようだ。確かにここ最近ずっと一緒にいるからな。
アーサーはみんなに囲まれてぐったりしている。
また僕を連れ戻しに来たと思ったが、隠れて魔道具を使っていた。
昔からそういうことは多々あったが、コボスケとヒツジが気づいて引っ張って来たのだ。
「それで結局兄さんは何しに来たんですか?」
「一番はアドルを――」
『はぁん?』
『チッ!』
「ヒイィィ!?」
アーサーは兄弟の中で真面目だ。自分のやらないといけないことを押し通そうとする。きっと連れて帰るのも、父から言われているのだろう。
ただ、コボスケとヒツジには敵わないようだ。
「せめてアドルが元気に生きているって伝えないとレオンとマリアや貴族達が暴走しそうなんだ」
アーサーの話では、王である父の勝手な判断で様々な人が暴動を起こそうとしているらしい。
どこまでが本当なのかはわからないが、消息が絶っているのを心配している。
「それで僕はどうしたらいいんですか?」
「普通に生活しているだけでいい。その姿を魔道具で映すからさ」
そういえばアーサーは魔法と魔道具で才能が開花した人物だ。ひょっとしたらこの島をさらに快適にしてくれるのかもしれない。
「それなら条件をつけても良いですか?」
「条件って?」
「ここにいるヒツジに魔道具の技術を教えてあげて欲しい」
『はぁん!?』
「えっ……」
どうやらヒツジの反応からして、アーサーに教えてもらいたくないようだ。ただ、手先が器用なのはヒツジしかいない。
家財を作っているヒツジしか適任はいないはず。
『あのー、ボクも魔道具作ってみてもいいですか?』
そんな中、声を上げたのはカクレコだった。
「確かにカクレコなら向いているかもしれないわね」
『私の技術もすぐに覚えるから、きっと細かいことに向いているわよ』
最近着ているオシャレな服はカクレコがアレンジしていたらしい。それも一度カマバックがやり方を見せたら、覚えてしまうほどのレベルだ。
「カクレコにお願いしても良いかな?」
『ボク頑張ります!』
ヒツジにびびって何も教えられないよりは、カクレコの方がアーサーもやりやすいだろう。
考えるだけで笑みを浮かべてしまう。これで夜も灯りには困らなくて済む。ちゃんとした料理にも挑戦できそうだ。
「なんかアドル変わったな」
「この島にいたら変わりますよ」
僕はアーサーに微笑むと、どこか寒気がしたのか腕を擦っていた。
しばらく滞在するアーサーにもしっかり働いてもらうことにした。
『ワシらからアドルを奪うということは、どうなるかわかっておるんだろうな?』
コボスケとヒツジはアーサーを威嚇していた。正確に言えば兄をいじめているようだ。びっくりして腰を抜かしている。
メアリーもコボスケとヒツジを見た時に同じ反応をしていた。しかも、成人しているアーサーの方がさらにこいつらの恐ろしさを感じるだろう。
「メアリーこれは――」
「アドル兄様の親友ですよ! ちなみに私の大好きな親友も――」
『いやぁん♡ 私のことを親友なんて照れちゃうじゃないの!』
『ボクも嬉しいです』
カマバックとカクレコはメアリーに親友と言われて紹介されたことが嬉しいようだ。確かにここ最近ずっと一緒にいるからな。
アーサーはみんなに囲まれてぐったりしている。
また僕を連れ戻しに来たと思ったが、隠れて魔道具を使っていた。
昔からそういうことは多々あったが、コボスケとヒツジが気づいて引っ張って来たのだ。
「それで結局兄さんは何しに来たんですか?」
「一番はアドルを――」
『はぁん?』
『チッ!』
「ヒイィィ!?」
アーサーは兄弟の中で真面目だ。自分のやらないといけないことを押し通そうとする。きっと連れて帰るのも、父から言われているのだろう。
ただ、コボスケとヒツジには敵わないようだ。
「せめてアドルが元気に生きているって伝えないとレオンとマリアや貴族達が暴走しそうなんだ」
アーサーの話では、王である父の勝手な判断で様々な人が暴動を起こそうとしているらしい。
どこまでが本当なのかはわからないが、消息が絶っているのを心配している。
「それで僕はどうしたらいいんですか?」
「普通に生活しているだけでいい。その姿を魔道具で映すからさ」
そういえばアーサーは魔法と魔道具で才能が開花した人物だ。ひょっとしたらこの島をさらに快適にしてくれるのかもしれない。
「それなら条件をつけても良いですか?」
「条件って?」
「ここにいるヒツジに魔道具の技術を教えてあげて欲しい」
『はぁん!?』
「えっ……」
どうやらヒツジの反応からして、アーサーに教えてもらいたくないようだ。ただ、手先が器用なのはヒツジしかいない。
家財を作っているヒツジしか適任はいないはず。
『あのー、ボクも魔道具作ってみてもいいですか?』
そんな中、声を上げたのはカクレコだった。
「確かにカクレコなら向いているかもしれないわね」
『私の技術もすぐに覚えるから、きっと細かいことに向いているわよ』
最近着ているオシャレな服はカクレコがアレンジしていたらしい。それも一度カマバックがやり方を見せたら、覚えてしまうほどのレベルだ。
「カクレコにお願いしても良いかな?」
『ボク頑張ります!』
ヒツジにびびって何も教えられないよりは、カクレコの方がアーサーもやりやすいだろう。
考えるだけで笑みを浮かべてしまう。これで夜も灯りには困らなくて済む。ちゃんとした料理にも挑戦できそうだ。
「なんかアドル変わったな」
「この島にいたら変わりますよ」
僕はアーサーに微笑むと、どこか寒気がしたのか腕を擦っていた。
しばらく滞在するアーサーにもしっかり働いてもらうことにした。
4
あなたにおすすめの小説
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。
王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。
戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。
彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。
奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、
彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。
「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」
騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。
これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる