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第一章 外れスキル

51.老人の人気者

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 冒険者ギルドから帰る最中、ラルフは気になっていたことを聞いてきた。

「治療院に来る人に腰と膝が痛いって人が多いけどなんでかわかる?」

 すでに解剖学を教えているラルフはどこか気になっているのだろう。

「んー、その人達の共通点ってわかる?」

 少し考えていると一つの共通点が見つかった。

「みんな年を取ってるってこと?」

「おお、流石ラルフだな」

「でもそれが何で関係してるんだ?」

「一般的に年を取っていくと骨は脆くなって、関節円板もすり減っていくんだ」

「確かにマルクスさんと比べると腰の骨が薄かったし、椎間板の厚みも薄くなってたよ」

 気になったラルフは、依頼を受けながらも腰の痛みを訴えた人達をスキルで状態で見ていた。

「じゃあ続きはご飯の後でね」

 ちなみに一人暮らしの男飯は、男性であるラルフとマルクスには受けは良い。

 次の日からは冒険者ギルドには寄らず、そのまま治療院に来ている。報告書を提出したタイミングで次の日の依頼を受けたのだ。

「アスクレさんおはようございます」

 治療院の扉を開けるとそこには早く準備していたアスクレがいた。

「おお、二人とも依頼を受けてくれたんだね」

 依頼を受けた俺達に対してアスクレは喜んでいた。

 その日ラルフは腰と膝が痛い人を中心にスキルを発動させた。

 前日に膝の構造を教えてもらったラルフは、腰と同様に骨の構造まで透けて見えている。

 それを二人で持ち帰って勉強するのが日課となった。

「そういえば膝も透けて見えるようになったよ」

「どんな感じだった?」

「膝は内側の隙間がなくなってたよ? 腰は脊柱管が狭くなっている人もいればマルクスさんと同じだったかな?」

 ケントはそれを聞き、大まかに"変形性膝関節症""脊柱管狭窄症""慢性腰痛症"に分けた。

「俺がアスクレさんに迷惑をかける分けにはいかないしな」

「それならいつもマルクスさんが一人でやってるか確認しているやつを教えてもいいんじゃない?」

 俺達はいつも入浴後にやっているセルフストレッチを見ている。ラルフも時々重りとして使われていた。

「あー、それなら迷惑をかけないかも」

 時間を取らなければ問題ないのではないかと思い、病態に合わせて何種類かストレッチ方法を準備することにした。

 次の日には二人の連携が始まった。アスクレさんは事前に"体操を教えても良いですか?"と伝えたところ、本人も腰の痛みに悩まされていたため、楽しそうにセルフストレッチをやっていた。

「今の人、変形性膝関節症だったよ」

「わかった」

 診療を終えた人の情報をお金を払う前にラルフが教えてくれた。

「膝が痛いのはどうですか?」

「薬を飲むと少しは良いんだけどね……。教会は全く私には効かないわ」

 このお婆さんも教会に通っていたが、全く効果はなかったらしい。

「少し体に触れてもいいですか?」

「未来の先生に見てもらえるなら歓迎だわ」

 ケントは許可を得てから、大腿の内側にある内転筋を軽く圧迫した。

「いたたたた! 先生何なのこれ」

 お婆さんはあまりの痛みに驚いていた。その姿は異世界も変わりないと確信した。

「膝が外側に向いているからここの筋肉がこれ以上外に向かないように頑張っているんですよ」

「そうなのね……。膝の中も痛いけどこの辺全体も痛いのよ」

 お婆さんは膝の中のみではなく、周りの筋肉も柔軟性がなく突っ張っていた。

「なので揉んでみるか少し足を広げる運動をしてみてくださいね」

 そこで軽くセルフストレッチの方法を説明した。

「なになに私もそれやると効果があるのかしら?」

「私もそこ痛いのよ。教えて頂戴!」
 気づいたらそれを見ていた老人達が集まっていた。
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