73 / 281
第一章 外れスキル

73.生まれ故郷

しおりを挟む
 村に入るとまずは宿屋を探した。基本的に村自体はあまり大きくないため、二店舗ほどしかない。

 俺達は冒険者などの団体が泊まる部屋を借りた。

「じゃあ俺達は少し出掛けるけどケントはどうするんだ?」

「少し休憩します」

「そうか。しっかり休めよ」

 マルクスとラルフは宿屋から出て行った。

「ここに戻ってくるとはね……」

 ただぼーっと天井を眺めていた。村から離れてすでに七年の月日が経とうとしている。

「あれから色々あったよな」
 
 部屋で休んでいると扉を叩く音が聞こえた。扉を開けるとそこにはリモンが立っていた。

「ちょっと暇か?」

「ああ、良いですよ」

 リモンは用があったのか部屋まで訪ねてきた。

「あれから足がつりやすくて何か対処する方法はないか?」

 リモンは大怪我をしてからリハビリは必要なかったがその後の異変が少しずつ出てきていた。その一つが足の突っ張り感だ。

 リモンの体を少し触り筋肉の柔軟性をみた。

「んー、ちょっと全体的に体が硬くなってきてるかもしれないですね。少し待っててください」

 一度足を温めるために宿屋の店主に樽がないか確認しに行った。





「これ今日の分です」

「いつもありがとう」

「いえいえ!」

 階段を降りていくと店主と大人びた雰囲気を感じさせる少年が話をしていた。

「すみません、何かお湯を入れれるような物はありませんか? 樽のような--」

「ケト」

 突然冷たい声に名前を呼ばれると心の奥に眠っていたケトの心が震え出していた。

「何で奴隷のお前がこの村にいるんだ?」

「あっ、いや……」

 少年は俺の肩を掴んだ。

「おい! 聞いてるのか!」

「ちょっとこの子はお客さんだよ? うちのお客さんに手を出さないでおくれ」

 なにかを感じた店主は少年を止めた。

「すみません。久しぶりに弟を見たので気になってしまいました。こいつのせいで家はめちゃくちゃになったんでね」

「えっ?」

 あまりの発言に俺は言葉を失った。

「お前は売られて知らないだろうが、あれから母さんはおかしくなって、父さんにずっと媚び売るようになるわ。マニーもお前のせいで何かにビクビクしてるし、お前が外れスキルなんて手に入れるからだ」

「ごめんなさい」

「そもそもお前は俺の弟でもないし、家族でもないから関係ないか! 外れスキルのクソ野朗」
 
 俺に声をかけたのは長男のジョンだった。

「うっ……」

 俺は何も言い返せないでいた。ケトの精神に引っ張られ、いつもの俺なら無視できていたのになぜか聞き流すことができなかった。

「ほう? ケントがクソ野郎ならお前はう○こか? それともその辺の葉っぱか? はははは!」

 突然後ろから肩を組んできたのは俺を待っていたリモンだった。

 中々戻ってこないから心配になり探しに来たところ俺達が話しているところを聞いていたらしい。

「あん!? お前こそ誰だよ!」

「葉っぱに説明は必要か? 俺はこいつと一緒の冒険者だ」
 
「くははは! 笑わせるなよ。こんな外れスキルのクソ野郎が冒険者のはずないだろ。なら証拠は何処なんだよ」

 リモンの話をジョンは信じなかった。

「ケント見せてやれ!」

 俺は言われるがままステータスボードをジョンに開示した。

「名前をケントにしたんだな。親から貰った名前なのに最低だな。ってかEランク冒険者って……外れスキルでもなれるってことは冒険者ってやっぱクズなんだな」

 ジョンは俺だけではなく冒険者のことを嘲笑っていた。

「ほぉ? お前は俺らにも喧嘩を売る気なのか?」

 そんなジョンの後ろにはいつのまにか、マルクスやラルフそしてリモン達のパーティーメンバーも集まっていた。

 冒険者はただでさえ脳筋が多いため、喧嘩っ早い傾向がある。

「うっ……」

「おい? もう1回言ってみろよ? 俺達冒険者がなんだって?」

 マルクスは威圧を放っていた。元Aランク冒険者が放つ威圧は冒険者でもビビるほどだ。

 その威圧をジョンだけに向けられると、そのまま膝から崩れ落ちていた。

「あっ……いやなにも」

 ジョンの足元からは何か異臭がしていた。よく見るとジョンはマルクスの威圧で失禁していた。

「こいつは俺達の家族だ! お前らみたいな人の気持ちも分からんようなやつらと同じにするなよ」

 マルクスはそう言い放つと俺を抱えた。

「えっ?」

 いくら大きくなっても、体格が良いマルクスにとっては軽いらしい。

「ああ、店主汚してすまないな。これ掃除代だ」

 マルクスはカウンターにお金を置くとそのまま俺を抱えて部屋に戻った。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

処理中です...