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第一章 外れスキル

103.実践

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「ここの計算が間違っておるぞ」

「どこですか?」

 ウルとラルはいつのまにかコルトンに勉強を見てもらっていた。

 それはコルトンのスキルに関係していた。

――スキル【勉学者】

 このスキルは人より知識の定着が早く、教えるのにも適したスキルだった。要は人より何倍も吸収と出力が早かった。

 また人へ教える際に声が通りやすく学習意欲を高める効果もある。

 働くところは学校のみではなく、様々な場所で働くことができるため一般的に知られている当たりスキルだ。

 コルトンはこのスキルを使って過去に商会の商人や学校の教員など様々な仕事をしており、知識量は他の大人よりは多かった。

「あー、すまんがトイレに行きたい」

 コルトンがそう言うとウルとラルは立ち上がりコルトンを軽く支えた。

 行きはウルで帰りはラルが歩行介助をすることにした。

「メリルより上手だな」

「ありがとうございます。うちの先生が厳しいですからね」

「ケントか?」

 コルトンはケントがいる後方へ振り返った瞬間に体がふらついていたがウルはしっかり支えていた。

「急に振り返ると危ないですよ? 体の向きを変えるなら、振り向かずに少し足の向きを変えたらどうですか?」

「ああ、そうしてみるよ。やっぱお前らもケントから教えてもらってるだけあるな……」

 コルトンは少しボヤきながらトイレに向かった。言うことも俺に似ているのだろう。その辺は関係性と距離感を保っていれば問題ない。

 その後は特に危ない場面もなく、今後は二人でも問題ないと判断した俺はメリルに話しかけた。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ仕事に集中出来てよかったわ」

「コルトンさん何かを教えることが好きなんですね」

「昔は毎日忙しいけど楽しそうに働いていたからね」

「何かコルトンさんにも楽しい活動を提供できるように考えておきますね」

「それはありがたいわ。あの人が昔みたいに生き生きとした顔が見たいわ」 

 生活の質を上げるためにはその人がやりたいこと、楽しいことをチームで提供するのも必要だからな。

 ウルとラルはすぐに訪問することが決まった。





「二人ともどうだった?」

「緊張したけどどうにかなりそうかな」

「私も思ったよりできました。ケントくんが厳しいからかな?」

「あー、ケント厳しいもんな……」

 二人は顔合わせも特に問題なく終わり少し安心していた。

「二人とも慣れた時には事故が起きやすいから気を抜かないようにね。ついでに勉強も見てもらえるようになったからしっかりやるんだよ?」

 いつのまにか俺が二人の保護者のようになっていた。

「ケントもエイマーと同じこと言うなよな」

「ケントくんも私達を気にしてくれてるんだからね」

「それは分かってるよ! ただ友達なのにさ?」

「友達だから心配なんだぞ? 特にウルがね」

「うん、私もウルが心配かな」

「二人して俺の心配かよ! 絶対完璧にやってやるから覚えておけよ!」

 そう言ってウルは孤児院に向かって走り出した。ああいうところが心配なんだよな。きっと本当にやる気はあるが空回りしないか心配だ。

「ウルのこと頼むね」

「私のことは心配しないの?」

「だってラルは大丈夫でしょ?」

「むー! もうケントくんなんて知らないもん!」

 ラルは頬を膨らましてウルの後を追って走って行った。

「なんだったんだ……?」

 俺は相変わらず女心が分からず首を傾げるのだった。

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