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第一章 外れスキル

108.クッキー作り

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 俺は準備のために調理場に来ていた。子供達が違和感なく俺と触れ合えたのは以前参加した炊き出しのおかげだった。

 ケントのスープは人気だったため今回も同様に餌付け作戦という訳だ。

 ちなみに今回は炊き出しではなく、簡易的なお菓子をプレゼントを渡し交友関係を広げようという方向性だ。

 その作戦名は『お菓子を渡してステータスを見せてもらおう作戦』だ。

 関係が変わればステータスを見せてくれるかもしれないからな。

 そこで今回準備したのは、小麦粉・砂糖・バターのいつでも手軽に食べられるために作るのは定番のクッキーにした。

 ちなみにその材料はガレインが用意した。そもそもガレインがリチアに用意した俺の料理を食べたいと思っていたらしい。

 一般的にパンに使われる小麦粉は中力粉や強力粉だがこの国では分けられていなかった。

 ただパン用と料理に使う用とで分類されているため、今回は料理に使う用の方を選択した。

 ちなみに調理はケント、ガレイン、ラルで作成し、ラルフとウルは大量の紙とインクを用意していた。

「ケントってなんで料理もできるの?」

 一緒に作っていたガレインは気になって聞いてきた。

「ああ、俺捨てられて一時期森で生活して――」

 魔力の器を広げるために森にいたが、何か勘違いしたのか二人は深刻な顔をしていた。

「なんかこんなこと聞い――」

「いや、料理をするきっかけだよな? 俺には離れた妹がいてよく親の代わりに作ってたんだ」

 すぐに話を変えたがつい前世である健斗のことを思い出して話していた。

「妹?」

「あ……まあ色々あって今はもう会えないんだけどな。よし、これで全部終わりだな」

「えっ? はやくない?」

「これぐらいが良いんだよ!」

 俺はクッキーに焼き目がついたタイミングで取り出した。この世界にある魔道オーブンがどれぐらい焼けるかわからないからな。

「とりあえず食べてみて」

 俺はとりあえず重たくなった雰囲気を変えるために、はじめに焼いたクッキーを二人の口に入れた。

「うまっ!?」

「ケントくんこれは何ですか?」

「これはソフトクッキーと言ってね。焼く時間を少し短縮させることで外がカリッとして中がふわってなるようにしたんだ」

「こんな美味しいの食べたことないや……」

「それガレも一緒に作ったんだよ?」

「おっ……そうだったな」

 ガレインは初めてお菓子作りをしたのか楽しそうにやっていた。それにしてもこんなクッキーがあの美味しいパンが出てくる王城では出てこないのだろうか。

 その後、袋分けしたクッキー持って昼寝をしていた子ども達の元へ向かった。

「あっ、お兄ちゃん今日も来たの?」

 前から俺が来るたびに懐いていた女の子が俺に気づいて抱きついてきた。

「こんにちは!」

「今日はどうしたの? 遊んでくれるの?」

「今日はみんなと仲良くなろうと思ってね。まだ名前もわからないからね」

 そう言って俺はステータスボードを開示し自己紹介をした。

「名前はケントで年齢は11歳です。今はEランク冒険者として働いています。スキル【理学療法】と言って外れスキルだけど俺には合ってるみたいだよ」

 俺は水治療法で水球を出してぷよぷよと浮かした後に消した。

「お兄ちゃんはスキルが使えるから外れスキルじゃないよ? ミィはミィと言ってね。年は7歳! 外れスキルは私みたいな【医療秘書】とかいうわけのわからないものを言うんだよ……」

 ミィは目に涙を溜めていた。やはり外れスキルについて聞くのはあまり良くないことなんだろう。

「でも今はみんなが居るから大丈夫!」

 ミィは泣かないように踏ん張っていた。俺は優しくミィの頭を撫でてクッキーを渡した。

「俺も外れスキルだったよ。だから一緒にスキルの使い道を探そうね」

「うん!」

 ミィはまたケントに抱きつく頃には元気になっていた。

「ミィいいな……」

 ラルはミィを見て何か呟いた。

「ん? ラルもクッキーが食べたいの?」

 そんなラルを気遣って俺はクッキーをラルに渡すとなぜか不機嫌な顔をしていた。

「もう! ケントくんなんて知らない!」

「えっ……俺何か悪いことしたか?」

 近くにいた三人の顔を見るとみんな上下に頭を振っていた。

「ケント兄ちゃんは女心をわかってないよー」

「えっ? ミィちゃんどういうこと?」

「それを気づけないようじゃまだダメね! このミィ先生が教えてあげるわ」

「あはは、先生お願いします」

 女心はやはり女性から学ぶべきだからな。そんな話をしていると気づいた時にはどんどんと子ども達が集まっていた。
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