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第一章 外れスキル

134.お留守番

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 俺は冒険者ギルドから出るとそのままラルフと憩いの宿屋に向かった。マルクスはそのままカレンとデートらしい。

 なんやかんやでうまくいっているのであれば問題はない。

「今から仲間を紹介するからな」

 俺はハニービーに声をかけると頭の上でブンブン飛んでいた。ちなみにまだ使役もしていないため、魔物が王都に侵入していることになる。

 そのためハニービーには従魔と同じ扱いであるスカーフをつけている。

「ボス元気にしてるかな?」

「看板狼だから大忙しだろうね」

 そんなことを話していると子ども達に囲まれているボスが尻尾を振っていた。

 ボスが店の前に立つようになってから子ども達が寄ってくるようになり、宿泊者以外も宿屋でご飯を食べたりなど憩いの宿屋も少しずつ儲かっているらしい。

「ボス!」

 俺はボスの名前を呼ぶと耳をピクリとして振り返った。するとそのまま子ども達を飛び越えて寄ってきたのだ。

「ただいま」

「ガッ……ガゥ……」

 しかしボスは途中まで寄ってきて立ち止まった。

「どうしたんだ?」

「ガッ……ガルルルル」

 突然俺に対して唸り上げていた。ひょっとして置いて行ったことに対して怒っているのだろうか。でも事前に留守番をするようにお願いしていたはずだ。

「俺何かしたのか……?」

「いや、ボスはケントの頭の上に乗っているハニービーに怒っているのじゃ」

「えっ?」

 どうやらハニービーに対して敵意を向けているらしい。

「こいつも俺らの仲間だぞ?」

 頭に乗っていたハニービーを下ろすとボスは満足そうな顔をしていた。

「納得したのか?」

 俺は再びハニービーを頭の上に乗せるとボスは唸り出した。

「おい、どういう――」

「きっとハニービーを羨ましがってるんじゃないか?」

「どういうことだ?」

「だってさっきから頭の上に乗っていないといつも通りだぞ?」

 確かにラルフの言う通りだ。頭の上に乗っていなければボスは尻尾を振ってハアハア言っている。

「ひょっとしてお前も乗りた――」

「ガゥ!」

「うぉ!?」

 どうやらボスはハニービーのように俺の頭に乗りたかったようだ。だがさすがにサイズの問題で俺が押しつぶされそうになってしまう。

「重い……」

「クゥーン」

 ボスは寂しそうに鳴きながら俺から離れ、周りをトボトボと歩いていた。

「嫌だってわけではないからね! 俺の体がまだ小さいから抱っこできないだけだよ」

「クゥーン」

「別にボスが悪いわけじゃないし、ボスはこのままの大きさの方がいいよ。だってモフモフできるしね」

 俺はボスに抱きつき身体中を撫で回した。ついでにスーハースーハーと犬吸いをするとどこか太陽の匂いを感じた。

 ハニービーも俺に真似てボスに近づき毛の中に埋もれていた。

「ガゥ! ガゥ!」

「単純に寂しかったんだな。今度は一緒に連れて行くからね」

「ガウゥー!!」

 どうやらボスは憩いの宿屋に一匹だけお留守番させられていたのが寂しかったのだろう。その後はハニービーと何事もなく楽しそうに戯れあっていた。



 
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