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第一章 外れスキル

197.裏での活動 ※一部ハワード視点

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 俺達はあれから冒険者ギルドか騎士団や魔法士団との模擬戦をする機会が増えていた。

 そもそも王都周辺に魔物の数が増えたから外に出られなくなったという理由もある。

 そのため騎士団や魔法士団の訓練も一段と緊迫し張り詰めた空気感が伝わっていた。

 一方その中でいつも通りだらけている人がいた。

「アリミアまだぁー?」

「まだできません!」

 ハワードとアリミアだった。ハワードは異世界食堂に頻繁に来る機会が増えていた。

 ベズギット魔法国の王族でもやはり異世界の食事は衝撃が強かったのか二日に一回は通っているのだ。

「ハワードさんまた来たんですか?」

 俺は仕事を終え二階から降りると、今日もフォークを片手に子どものように待つハワードに声をかけた。

「いやー、ここの飯はうまいからな」

「気に入って頂いて良かったです」

「まぁ、それだけじゃないんだがな」

 小さく呟いたがアリミアが頑張って料理を運んでいる姿が心配になって聞いていなかった。

「お待たせしました」

 アリミアは出来立てのパスタをハワードが座るテーブルに置いた。

 熱々のパスタからは湯気が立ち上っている。

「うぉー、熱々だな」

「そういえば何か言いましたか?」

「ん?」

 俺が聞き返した時にはパスタを口いっぱいに詰め込んでハムスターみたいに食べていた。

 



 俺は宿屋のテーブルで集めた情報を眺めていた。

 実は異世界食堂で食事をしていたのは理由があった。

 まぁ、単純にあそこの飯がうまいってこともあるが外れスキルの二人を観察していたのだ。

 街の依頼をこなしている時、異世界病院で治療している時、孤児院の子ども達に対して勉強会を行っている時など当の本人が気づかないところで俺は情報を集めていた。

「ケントとラルフは欲しいよな。ケントが目をつけているということはアリスも何かしらあるはずだしな……」

 俺は椅子に座りながら考えて事をしていると扉をノックする音が聞こえた。

――コンコン!

「ハワード様よろしいでしょうか」

「ああ、いいぞ」

「失礼します」

 扉から入って来たのはサルベイン子爵だ。

「何かあったのか?」

「本日中立派閥の会合があり、アスクリス侯爵閣下から直接話を伺いました」

 サルベイン子爵はアスクリス公爵家に近づき情報収集をしていた。

「それでどうだ?」

「多分今後何かしら動きがあると思われます。詳しい情報は教えて頂けませんでしたが、準備はできたから後はアスクリス公爵閣下の派閥に入るか、このまま埋もれるかどちらかの選択をしろと……」

「そうか。やはりあの首輪はアスクリス公爵家が関係しているか」

 魔物が活性化した原因が過去に王都で悲劇を起こした強制進化の首輪だと思っている。

 ただあれは王族が管理をしているはずだ。この間も直接王と話したがはぐらかされてしまった。

「わかった。引き続き探ってくれ」

「はい」
 
「あっ、そうだ。今回の報酬とこれを身につけておくれ」

 俺が渡したのは金貨がたくさん入っている袋と指輪だった。

「あのー、私はもう家庭を持って――」

「馬鹿か!」

 サルベイン子爵は何を勘違いをしているのだろう。

「それは絶対防御の指輪だ。私の特製で不意打ちの攻撃に一回だけ守ってもらえる」

「そんなに私のことを気に入って――」

「あーはいはい、変な意味はないから期待しないでくれ」

 俺の一言にサルベイン子爵は少し落ち込んでいた。えっ、まさか本当に俺のことを……なわけないよな。

「私が作ったものだから発動したら、強い魔力感知ができる人しかわからない魔力弾が上空に発射される仕様になっている」

「魔力弾を打ち上げて……」

「ああ、その時は命が危険だと俺にはわかるからすぐに駆けつける。それまでは必死に逃げ延びてくれ」

 俺の一言にサルベイン子爵はすぐに跪き頭を下げた。実際に任せている仕事は命懸けのことをしてもらっている。

「この命、精一杯ハワード様に恩義を尽くします」

「はは、男の恩義なんていらねーよ。お前は妻と子もいる父親だ! 自分の命だけは大事にな」

「はっ! それでは失礼します」

 サルベイン子爵は頭を深くさげ部屋から出て行った。

「こっちも仕事が山積みだから早く片付けないとな」

 テーブルに置いてある紙には"外れスキル発現計画"と書かれていた。

 俺は今後の国のためにケントとラルフをスカウトしよう目をつけていた。
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