198 / 281
第一章 外れスキル

198.客層

しおりを挟む
 今日は異世界病院で依頼を受けていた。

「またあいつが見ているのじゃ」

 胸ポケットに隠れているコロポが俺に話しかけてきた。

「いつも何しているのかな……」

「ちょっと相手してくるのじゃ!」

「いや、何かするわけじゃないから別にいいよ」

 胸ポケットから出ようとするコロポを抑えつけた。

 いつからかハワードが俺達を見張るようになっていたのだ。

 初めは気づかなかったが、俺の仲間達が優秀のおかげかすぐにそれがわかった。

 今は被害に遭うこともないためそのまま放置している。

「次の方どうぞ!」

 俺は次の患者を呼び込むとそこには最近知り合いになった人物が来ていた。

「あっ、ゴードンさん! ここに来るの初めてですよね?」

「ああ、ここに来ると魔力の通りが良くなると聞いてな」

 以前魔法士団で模擬戦をした時に文句を言っていたゴードンは今じゃ頻繁に話す仲になっている。

「そうなんですか? たしかに最近セヴィオンさんもよく来ますね」

「セヴィオン様も通ってるのか」

「よく来ていますよ」

 最近ではセヴィオンが異世界病院に通うようになっていた。

 初めは俺のスキルを興味本意で受けたいと言って、マッサージをしたのが始まりだった。

 単純にリラックスしに来ていると思っていたが、話の内容的にどうやら違ったようだ。

「最近では貴族達の間でも話題にはなっているぞ」

「えっ!?」

 どうやって貴族に伝わったのか、王族の名前の力は強く、孤児院への資金も少しずつ元に戻っている。

 そして今じゃ病院と食堂で得た利益を自身が働いた分の給料として、お金を与えることができるまでに変わっていた。

「変に目をつけられないように気をつけないといけないですね」

「ああ、貴族は厄介なやつが多いからな」

 "ゴードンもその一人だった"と昔のゴードンに言いたいぐらいだ。今はそんなこと言っても笑って謝るぐらいの関係だから問題ない。

「じゃあ、いつも通りに寝てください」

 俺はゴードンにうつ伏せに寝てもらうと背中に手を当てて筋肉をほぐし始めた。

「あー、これこれ。 少し痛いけど気持ちいいな」

「また勉強と仕事のやりすぎですか?」

「ははは、流石だな」

 ゴードンは魔法士団としての仕事をしながら、貴族の仕事として財務省の手伝いをしている。

 ゴードンの家系は代々財務省に勤めているが、魔法が使えるゴードンの主な仕事は魔法士団となっている。

「まだまだ仕事もできないからな」

 まだ新人魔法士と言われているぐらいだから仕事をやり始めてそこまで時間も経っていない。

 財務省でも雑務ばかりで常に自己研鑽をするほど努力家なのだ。だからこそ俺達にあんな態度を取ったのだろう。

 実際、孤児院のお金の管理もゴードンがガレインに協力しているから前より情報が入りやすく今の現状が分かっているのもあった。

「だいぶ胸筋群も肩甲骨周囲も硬くなっているのでしっかり肩を回したりして休んでくださいね」

「また来るから――」

「ちゃんと動かしてくださいね」

「痛たたた!」

 俺は筋硬結を押すとゴードンは悶えていた。

「硬くなりすぎると神経も圧迫するほどになると痛くて生活するのも大変になるから気をつけてくださいね」

 俺は"胸郭出口症候群"にならないか心配していた。

 すでに貴族の中に腕の痺れや痛みを感じている人が多いのをゴードンから聞いていたのだ。

「そうだな……。今度父さんと兄さんにも伝えて――」

「いや、ゴードンさんもしっかりやっててください」

 あまり自分のことだと受け止めないゴードンに俺は小胸筋の筋硬結を押した。

「あー! 模擬戦の時も思ったけどお前やっぱりドSだろ」

「ははは、理学療法士はドSが多いってよく言われますからね」

 俺はゴードンの治療を行なっているといきなりコロポが何か違和感を感じていた。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

処理中です...