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第一章 外れスキル
201.ブローチ
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俺達は魔力が強く感じる場所に向かうとそこは商店街からは離れた路地裏だった。
「強く魔力を感じるのじゃ。二人ともこっちじゃ」
コロポに案内されるがまま付いていくと、俺でもはっきり感じるほど魔力が放出されていた。
「早く向かうのじゃ」
さらに奥へ突き進むと誰かの話し声が聞こえてきた。
その場で立ち止まるようにラルフに指示し、俺達は壁の死角からそっと様子を確認した。
「何を言ってるんだ?」
「ごめん、俺も聞こえない」
何を話しているのか聞き取れず、気づけば一人はいなくなっていた。
「おい、誰だ」
突然呼ばれてビクッとなったが、よく見るとそこにいたのはハワードとサルベイン子爵だった。
見知った人だったため俺達は姿を現すことにした。
「やっぱりお前達か。勝手に覗き見するのは良くないな」
「依頼中に街中で強い魔力を感じたので……」
俺の発言にハワードは驚いた表情をしていたがその後ニヤリと笑った。
「そうかそうか。街中で突然魔力が溢れると心配になるわな」
「ハワード様早くしないとここは危険です」
サルベイン子爵の必死な様子に俺達は違和感を感じた。
「何かあったんですか?」
「お前達って騎士団と魔法士団とも交流があるよね?」
「そうですが……」
「ならこれを持って王都の周りに魔物が集まっていると伝えてくれ」
突然投げられたものを受け取った。そこには本と杖が描かれているブローチだった。
「これはなんですか?」
「代々ベズギット魔法国に伝わる王族の紋章だ。だから悪用するなよ? それがあれば何かあった時に便利だ。これをマルヴェインかセヴィオンに渡してくれ!」
「じゃあ、俺は冒険者ギルドに伝えてくるからよろしくな」
ハワードはサルベイン子爵の指輪に何か呪文を唱えると去って行った。
とりあえず俺達はハワードに言われたように行動することにした。
確か魔物が王都の周りに集まって……おいおい、思ったよりも重大なことじゃないか。
「ケント、俺達も行こうぜ」
「あっ、その前にコロポが感じていた複数の魔力はどうなった?」
「今は何も感じないのじゃ」
「じゃあハワードさんの魔力で間違えなかったってことか!」
どうやらいくつか感じていた強い魔力はすでになくなったらしい。
俺達はこの時の強い魔力を誰かに伝えるべきだった。
♢
俺達が王城の門に向かうと、いつも入り口を担当している門番に止められた。
「おー、ケント達か。今日はどうしたんだ? 誰からも許可が降りてないから中には入れ――」
俺はハワードからもらったブローチを門番に見せると顔色をすぐに変えた。
「それはどこで手に入れたんだ?」
「早く騎士団か魔法士団に伝えないといけないんです」
「今だれか連れて――」
「通っていいぞ!」
「先輩大丈夫ですか? 勝手にそんなことして……」
「責任は俺が取るから入っていいぞ」
平民を勝手に王城に入れるってことはそれだけリスクが発生することになる。
基本的に訓練に参加する時は騎士団が魔法士団から招待された形で参加している。
実際ベズギット魔法国の紋章が入っていても、ただの門番では判断できないのが現実だった。
「すみません! ちゃんとガレインには伝えておきます」
俺は頭を下げ王城の中に入って行った。
「はぁー、最悪クビかな?」
「えぇ!? 俺クビは嫌ですよ?」
「おっ、お前だけ逃げる気か?」
「だって最近嫁が出来て幸せいっぱいなんですからね。そもそも先輩が責任取る――」
「ん? 俺そんなこと言ったかなー。お前がトイレに行ってる間に起きたことにしておけばいいさ」
門番達はゲラゲラと笑いながらいつも通りに仕事を再開した。
ただこの時は王都が大変なことになるとは誰も思ってもいなかった。
「強く魔力を感じるのじゃ。二人ともこっちじゃ」
コロポに案内されるがまま付いていくと、俺でもはっきり感じるほど魔力が放出されていた。
「早く向かうのじゃ」
さらに奥へ突き進むと誰かの話し声が聞こえてきた。
その場で立ち止まるようにラルフに指示し、俺達は壁の死角からそっと様子を確認した。
「何を言ってるんだ?」
「ごめん、俺も聞こえない」
何を話しているのか聞き取れず、気づけば一人はいなくなっていた。
「おい、誰だ」
突然呼ばれてビクッとなったが、よく見るとそこにいたのはハワードとサルベイン子爵だった。
見知った人だったため俺達は姿を現すことにした。
「やっぱりお前達か。勝手に覗き見するのは良くないな」
「依頼中に街中で強い魔力を感じたので……」
俺の発言にハワードは驚いた表情をしていたがその後ニヤリと笑った。
「そうかそうか。街中で突然魔力が溢れると心配になるわな」
「ハワード様早くしないとここは危険です」
サルベイン子爵の必死な様子に俺達は違和感を感じた。
「何かあったんですか?」
「お前達って騎士団と魔法士団とも交流があるよね?」
「そうですが……」
「ならこれを持って王都の周りに魔物が集まっていると伝えてくれ」
突然投げられたものを受け取った。そこには本と杖が描かれているブローチだった。
「これはなんですか?」
「代々ベズギット魔法国に伝わる王族の紋章だ。だから悪用するなよ? それがあれば何かあった時に便利だ。これをマルヴェインかセヴィオンに渡してくれ!」
「じゃあ、俺は冒険者ギルドに伝えてくるからよろしくな」
ハワードはサルベイン子爵の指輪に何か呪文を唱えると去って行った。
とりあえず俺達はハワードに言われたように行動することにした。
確か魔物が王都の周りに集まって……おいおい、思ったよりも重大なことじゃないか。
「ケント、俺達も行こうぜ」
「あっ、その前にコロポが感じていた複数の魔力はどうなった?」
「今は何も感じないのじゃ」
「じゃあハワードさんの魔力で間違えなかったってことか!」
どうやらいくつか感じていた強い魔力はすでになくなったらしい。
俺達はこの時の強い魔力を誰かに伝えるべきだった。
♢
俺達が王城の門に向かうと、いつも入り口を担当している門番に止められた。
「おー、ケント達か。今日はどうしたんだ? 誰からも許可が降りてないから中には入れ――」
俺はハワードからもらったブローチを門番に見せると顔色をすぐに変えた。
「それはどこで手に入れたんだ?」
「早く騎士団か魔法士団に伝えないといけないんです」
「今だれか連れて――」
「通っていいぞ!」
「先輩大丈夫ですか? 勝手にそんなことして……」
「責任は俺が取るから入っていいぞ」
平民を勝手に王城に入れるってことはそれだけリスクが発生することになる。
基本的に訓練に参加する時は騎士団が魔法士団から招待された形で参加している。
実際ベズギット魔法国の紋章が入っていても、ただの門番では判断できないのが現実だった。
「すみません! ちゃんとガレインには伝えておきます」
俺は頭を下げ王城の中に入って行った。
「はぁー、最悪クビかな?」
「えぇ!? 俺クビは嫌ですよ?」
「おっ、お前だけ逃げる気か?」
「だって最近嫁が出来て幸せいっぱいなんですからね。そもそも先輩が責任取る――」
「ん? 俺そんなこと言ったかなー。お前がトイレに行ってる間に起きたことにしておけばいいさ」
門番達はゲラゲラと笑いながらいつも通りに仕事を再開した。
ただこの時は王都が大変なことになるとは誰も思ってもいなかった。
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