236 / 281
第一章 外れスキル

236.魔力の特徴

しおりを挟む
 その後も治療に追われてやっと負傷者の治療を終えた。

 基本的には魔力不安定症の人を中心に担当し、軽い怪我は魔法師団所属の治療部隊が担当してくれた。

 初めて目の前で医療スキルではない"光属性魔法"というものを見たが、傷が逆再生するように治っていくのをみて改めて根本的に別のスキルなんだと実感した。

 ただ、魔力の消費量が多いのが欠点のようで骨折や内臓損傷に関しては一人に対して数回しか使用できないようだ。

 いい営業先だと思い魔法師団に魔力蜜を配り、魔力が回復するのを実際に体験してもらった。

 マルヴェインとセヴィオンも利用している異世界食堂を宣伝すると少しは知っている人もいた。

 これで同時にトラッセン街の経済も少しずつ潤うのだろう。

「これって同じやつに見えるか?」

「私も今回のははっきり見えます」

「オラは色濃く見えるぐらいかな?」

 俺達が今見ているのはセヴィオンから出てきた魔力の塊だ。

 他の物とは異なり俺達がはっきり見えるほど魔力が大きくなっている。

 違いは単純に魔力を多く持った人から吸収したかどうかだろう。

 現にセヴィオンはこの国の中で上位に当たるほどの魔力を持っている。

 そんな中休憩している俺達の元へハワードとカタリーナがやってきた。

「今回は助かったの……なぜそれを持っておるのじゃ?」

 カタリーナが見ていたのは俺が持っている瓶だった。

「カタリーナさんとハワードさんはこれが見えるんですか?」

 二人は頷いていたが、どうやらカタリーナの反応からしてこの正体を知っているらしい。

「これってなんですか?」

「何ってそれこそが魔力じゃぞ?」

 カタリーナは瓶の中に入っているものを魔力だと言っていた。

 それならなぜこいつは元からある魔力を食い尽くそうとしているのだろうか。

「実はこいつが魔力不安定症の原因なんです」

「どういうことだ?」

「この魔力が元からある魔力を食い尽くそうとすることで発症するんだ」

 二人は考え込むとある答えに行き着いた。

「魔力の器が異なるからか?」

「たぶんそうなのじゃ」

「どういうことですか?」

 俺には全く検討がつかなかった。

 そもそも魔力について知っている知識は魔素を吸収して魔力になることと、体で蓄えると少しずつ魔力の器が変化して魔力量が増える。

「簡単なことじゃ。全く異なる相反する魔力が体の中で存在していたらどうじゃ?」

「魔力が喧嘩する?」

 単純に魔力の共存が難しいと思ったのだ。

「そうだな。じゃあ、魔力の器と魔力が反する場合はどうなる?」

 ああ、そういうことか!

 魔力の器は決まった魔力しか蓄えることができないため、違う魔力が体に入ることで発症するのだ。

 魔力不安定症で最終的に命を落としてしまうのは、元々あった魔力を全て食い尽くし、魔力の器も食べてしまうのだろう。

 この世界で魔力を持っていない人は存在しないからな。

「これがちゃんと証明されたらお前達有名人になれるな」

「冒険者から学者が出てくる日が来るとは恐ろしい時代じゃ」

 そう言ってハワードとカタリーナは笑いながらテントを去って行った。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...