275 / 281
第一章 外れスキル

275.俺達のチーム医療

しおりを挟む
「グリッド!」

 押し寄せる公爵に対してラルフはグリッドを発動させた。

 いくつもグリッドが発現すると、公爵を中心に囲む形で行く手を阻んだ。

「こんなもの――」

「水治療法!」

「スカルペル」

 上空に逃げようとした公爵に、俺はスキル【魔力療法】を使い、魔力を移し替えて水治療法を頭上に広げた。

 それと同時にグリッドの隙間をガレインのメスがいくつも出現し埋め尽くした。

 これでどこにも逃げる場所はない。

 しかし、公爵を止めるのは一筋縄には行かない。

「ダークホール」

 公爵は何かの魔法を使うと俺達のスキルを飲み込み始めた。

「闇属性魔法だ」

 ガレインの声に俺達はさらに警戒を強めた。闇属性魔法は全てのものを無とする力。

 そして、相手の精神を操る危険な魔法だ。

 ダークホールに魔力が吸収されるかと思ったが、ふと公爵の顔を見ると彼は焦っていた。

 どうやら飲み込むにも限度があるのだろうか。

 魔力が吸収されてないなら俺達でもどうにかできるはずだ。

「まだまだだ!」

 俺はさらに水治療法を発動させ、全てを包み込むようにイメージすると水治療法は公爵を囲んだ。

 その中を無数のメスが公爵に向かって発射した。

 俺とラルフは絶対逃さないように。

「ガレイン頼むぞ!」

 俺は水治療法を維持できる魔力量だけ残し、あとはガレインに託した。

 やはり最後は医師の出番だからな。

 ガレインは公爵のダークホールが処理できないスピードでさらに追い詰める。

 ハワードとマルヴェインは俺達の元へ来て、カタリーナとセヴィオンは公爵を元に近寄った。

 カタリーナの合図で俺達はスキルの発動を止めた。

 張り詰めた空気はさらに一段と強くなり警戒した。

 スキルを解除したそこには無数のメスに切り付けられた公爵が倒れていた。

 意識はなくどうにか呼吸しているのがやっとようだ。

 ハワードの魔法で縛り上げると、そのまま二人とも貴族街にある施設で預かることとなった。

 どうやら魔力を封じ込める魔道具もあるらしく、逃げ出す心配もないらしい。

「はぁー、もう疲れたわ」

「オラ達なんて治療した後にここに来てるからね」

「しかも、魔力が尽きたのにさらにケントから無理やり魔力を送り込まれているからね」

「やっぱりケントはオーガだよ」

「そうだね」

「お前ら言い過ぎじゃないか?」

「ははは、もう今日は勘弁してね」

 俺達はその場で寝転ぶように空を見上げた。

「お前らがこの国で卵って言われている理由がわからないな。もはやその辺の戦闘職より強いぞ」

「ガレインが最近言っていた"チーム医療"だってやつなんだろうな」

 うん、またあのゴリラが変な勘違いをしているようだ。

 だけど今日という最高の日は忘れてあげよう。

「ケト……やっとお前の希望を叶えたぞ!」

「おせーぞ!」

 俺は天に声をかけるとどこかケトの声が返ってきたような気がした。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

処理中です...