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第二章 王国の闇と真の悪
第五十話 宵闇の晩餐会
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「大した奥方様だ、なあ、シルド」
いや、エバンス子爵。そう、エルムンド侯は言い直した。
ミレイアが気を失い、シルドが自分の席を彼女に譲り、横たえてから数時間。
男二人が並ぶには、狭くはないがくつろげない狭い馬車の中で二人は横並びに座り、酒を交わしていた。
「エンバス、か。
北の荒野の果て。
今は夏も終わる時期だ。
既に寒風が吹いている頃だろうな‥‥‥」
シルドはその光景を想像してついつい口にしてしまう。
目の前に眠る若い愛妻をそんな土地に連れて行って、本当に良いものなのか。
そう、思いあぐねていた。
「我が家で預かっても、構わんぞ?
養女の件も、再考してもいい‥‥‥まあ、お前は俺をエルムンドではなく義父上様と呼ぶわけだがな」
「候はそのような点だけは、本当に趣味が悪い。
ミレイアも言っていたではないか。
上に行かれるのならば、それまでは、と。
武功だけでそこまで昇りつめたのだ。
まだ、先を見据えているだろう?」
いま、ミレイアを預かったり養女にしてもいい。
その申し出はシルドにとっては、ありがたかった。
親友は時々、こうして意地悪を言い困らせてくるが、それは嫌味ではないことも分かっている。
ただ、ミレイアに侯爵家を関わらせることは、その後に王子たちの監視が続く。
そんな問題点をシルドは指摘していた。
「ああ、そうだな。
俺は‥‥‥いまの銀鎖の闇だけでは終わりたくない。
大公位なんぞいらん。王族にも興味はない。
あるのはただ一つーー」
「大元帥か。
軍部の統括。最上位の武官に昇りつめたいなら、やはり王族との血縁は欠かせないぞ?
あの地位はここ30年程は空席だが代々、大公家か王家の末子が成るならわしだ」
「そうでもないぞ、シルド。
二度ほど、例外がある。
まだ帝国が弱かった三百年ほど前に、現在の海軍の基礎を築かれたデンバー総督と‥‥‥」
ああ、そういえばそんな例外もあったな。
過去の帝国軍歴を思えかえせば二人ほど、平民や下級貴族から大元帥へと昇りつめた人物がいた。
「当時はまだ各騎士団に分かれておらず、陸軍としてまとまっていた頃だな。
つい80年程前の枢軸連邦の南下する十万をたった一万で迎えうち、あちらの国境内にまで押し返した。
アルバ大元帥か」
どちらも、もうこの世にはいないし、その血筋は残っていても祖先のような武功は立てていない。
そんな視点から見てみれば、この隣にいるエルムンド侯。
彼の軍人としての才覚はなかなかに大したものだ。
そうシルドは思った。
「惜しいことに、それ以降の帝国の領土は枢軸連邦と王国側に押されたままだ。
このままでは、我らが。
いや、俺がいる銀鎖の闇がどうにか支えている平原も、そのうち南方の騎馬民族に飲みこまれるかもしれん。
お前が抜けることで、魔導師団としてまとまっていた、第三師団もなにがしかの亀裂が入るだろうしな?」
まだ、飲むのか?
溜め込んであった酒瓶を、転送魔法で取り出したシルドを見てエルムンド侯は驚く。
「飲まずにはいられない夜だ。
それに侯より僕は若い。
回復も早いよ」
「口の減らない奴だ。
女に手が早いところもな」
「嫌味か?
妻が聞いたら誤解をするだろう?
あれは父上が勝手に用意してきた縁談だ。
すべて挨拶だけで済ませてきた‥‥‥貴族子息が20にもなって嫁もおらず。
今夜のような場に呼ばれることがその証だろう?
ほとんどの者は17までには妻を得ているーー」
その20の若造に、ため口を聞かれている俺も、戦いしか知らん男だ。
そう、エルムンド侯はため息をつく。
今年で32歳。
平原を駆けまわるうちに、8歳で見習いとなりすでに24年。
まともな出会いもないままに、ここまで来てしまった。
そういえば、そうシルドはある事に思い当たる。
「候は、誰がお相手だったのだ?
僕はそのお方をまだ知らないのだがな。
あの会場内に巡らせていた僕の魔導にもそれらしき会話は無かったように思うが‥‥‥?」
余計なことに気づいたか、こいつは。
エルムンド侯は押し黙ってしまった。
なんだ、その顔は?
シルドは普段の不愛想な顔が余計にこわばったエルムンド侯を見て不思議に思う。
「来なかったのだ。
相手はレガー侯爵家の第四令嬢ロワーナ様というらしい。
24歳の未亡人でな‥‥‥。
若くして嫁がれたが、夫が病死され、そのまま実家に戻されたらしい」
戻された?
夫が死ねば妻か、その子が爵位を継ぐのが帝国の習わしだ。
王国は違うのだろうか?
「その亡くなられた方は、貴族ではなかったのか?
子供があられて、爵位を継いだとすれば実家に戻さるというのも変な話だ。
仮にも侯爵家の血筋なら王族に連なる身分だろう?」
「俺もそこまでは知らん。
第四令嬢なら子爵でも問題はないだろう。
まあ、聞いた話では親戚筋から養子を貰い、そのまま返された。
そういうことだそうだ」
ああ、つまり体よく養子縁組だけして、義理の母親は実家に戻された、と。
そういうことか。
シルドは理解した養子縁組だけしておけば、形だけは王族の末端に家の名前を残せるからだ。
「どうにも、あれだな。
今更ながらにして思うが、貴族社会というのは女性に不利なものだ。
家の所有物。
ひどい時には、実の弟とさえ結婚させる。
あの王子がいい例ではないか」
僕の妻の舌を切らせたあの、拷問好きのサディスト。
ゲイル王子殿下が。
そうシルドは吐き捨てるように言い、寝ているミレイアが狭い馬車の中で首を痛めないようにと。
奥から常備されている、敷物を折り畳み、それを枕代わりにして引いてやる。
ミレイアは安らかな寝息をたてて眠っていた。
「後悔しているのか?」
「当たり前だ。
あんな命など‥‥‥かなうならばあの場で殺してやりたかった。
そうすれば、大司教とお前が敵に回る。
僕には勝ち目はない」
「なぜ、そう思う?
俺が敵に回ると」
試すように質問する戦友の視線は冷たい。
信用できないのか? そんな意図はそこには含まれていないようにシルドには感じれた。
あるのは、何を優先したか。
その問いかけだけだった。
「エルムンド侯は、武官であらせられるからな。
周りは全て侯の部下の第二師団が固めて併走し、その長が手負いでなく無傷で王子を死なせた。
そんな結果になれば、すべてが水の泡だ。
これまで何年もかけてきたことが、無意味になる。
それなら、僕の敵に回り討ち取るほうがまだ、大義名分が立つ」
あの時点では愚かな侯爵家令息シルドだからな、僕は‥‥‥。
それが答えだ、そうシルドは言いミレイアの頭を撫でてやる。
「この子には、多くの苦しみを与えすぎた。
もう、あんな目にだけは合わせたくない。
どうにか安全に守れるところがないか。
思案しているところだ」
「難しいな、王子の手駒はどこにでもいる。
しばらくはお前と俺で、どうにかするしかない。
陛下がなあ……第四王子だったゲイル様をまさか、第一王女シェニア様の再婚相手に選ぶとは。
側室の子が、いきなり正室の子である姫君の夫になったのだ。
王太子殿下はまだ御年12歳。
戴冠までにはあと最低でも4年はかかる。
エバース大公様が、シェニア様の元夫が死去さえしなければこうはならなかったのにな」
ため息交じりにエルムンド侯は内情を整理し始めた。
それまで、側室の子として王位継承権争いのかやの外にいたゲイル王子。
海軍の一師団長を務めるだけの、単なる上級貴族に過ぎなかった第四王子。
彼がなぜ、次期国王の義理の父親にまで昇りつめたのか。
「仕方あるまい。
あの大臣、バッセルは外務だけでなく商務まで兼任してる。
海洋交易の要所だったシアード市の監督官でもあった王子と結びついていてもおかしくはない。
エバース大公が逝去された時に流れた毒殺の噂も、嘘ではないだろう。
僕はそう思っている。銀鎖の闇が王都駐留から平原へと移されたのも4年前。
あの4年前から、僕たちの報復が始まったのではないか、エルムンドーー」
「ああ、そうだな、シルド。
あの日からお前は変わった。
単なる遊び人。どうしようもないクズ侯爵家令息から恩人の復讐を果たすためになあ?
あの俺と王都で遊び暴れていたあのシルドがだ。
いまでは、稀代の魔導師などと言われるように‥‥‥」
懐かしいものを見るように、エルムンド侯はシルドの過去を端的に語る。
あの少年が、こんなにも成長した。
あの夜。
師団長だったエバース大公の死と、その真相がほぼ誰かによる他殺だと知った時から。
シルドは変わった。
「ああ、もうやめろ、エルムンド侯。
妻が聞いたら誤解する!!」
「だが、本当のことではないか。
今夜のお前はあの時の、世間知らずの侯爵家令息シルド殿、そのものだった」
芸は身を助けるというが、過去の汚点がまさか役立つとはな!!!
そう言い、エルムンド侯は大笑いをする。
シルドは恥ずかしい反面、この酔っ払いになにを言っても無駄だと悟り無視することにした。
「この子の。妻の安全と、恩人の復讐。
どちらも大事なのだ、エルムンド。
エバース大公は皆から好かれていた。
多くの師団長や提督たちからも、文官・武官を問わずだ。
だからこそ、王国でいまこうして静かに策謀が動いている。
王都で王子を守る、近衛兵団の中枢。
魔導師どもに対抗できるのは、僕の第三師団だけだろう。
エルムンド‥‥‥彼らを頼むぞ」
僕は必ず、返り咲く。
この妻の願いにこたえてな。
そうシルドは一人心に固く決意をし、エルムンドにもまたそれは伝わったようだ。
王都までへの道のりはまだ遠い。
晩餐会の夜、王国側の夜はこうしてふけていった。
いや、エバンス子爵。そう、エルムンド侯は言い直した。
ミレイアが気を失い、シルドが自分の席を彼女に譲り、横たえてから数時間。
男二人が並ぶには、狭くはないがくつろげない狭い馬車の中で二人は横並びに座り、酒を交わしていた。
「エンバス、か。
北の荒野の果て。
今は夏も終わる時期だ。
既に寒風が吹いている頃だろうな‥‥‥」
シルドはその光景を想像してついつい口にしてしまう。
目の前に眠る若い愛妻をそんな土地に連れて行って、本当に良いものなのか。
そう、思いあぐねていた。
「我が家で預かっても、構わんぞ?
養女の件も、再考してもいい‥‥‥まあ、お前は俺をエルムンドではなく義父上様と呼ぶわけだがな」
「候はそのような点だけは、本当に趣味が悪い。
ミレイアも言っていたではないか。
上に行かれるのならば、それまでは、と。
武功だけでそこまで昇りつめたのだ。
まだ、先を見据えているだろう?」
いま、ミレイアを預かったり養女にしてもいい。
その申し出はシルドにとっては、ありがたかった。
親友は時々、こうして意地悪を言い困らせてくるが、それは嫌味ではないことも分かっている。
ただ、ミレイアに侯爵家を関わらせることは、その後に王子たちの監視が続く。
そんな問題点をシルドは指摘していた。
「ああ、そうだな。
俺は‥‥‥いまの銀鎖の闇だけでは終わりたくない。
大公位なんぞいらん。王族にも興味はない。
あるのはただ一つーー」
「大元帥か。
軍部の統括。最上位の武官に昇りつめたいなら、やはり王族との血縁は欠かせないぞ?
あの地位はここ30年程は空席だが代々、大公家か王家の末子が成るならわしだ」
「そうでもないぞ、シルド。
二度ほど、例外がある。
まだ帝国が弱かった三百年ほど前に、現在の海軍の基礎を築かれたデンバー総督と‥‥‥」
ああ、そういえばそんな例外もあったな。
過去の帝国軍歴を思えかえせば二人ほど、平民や下級貴族から大元帥へと昇りつめた人物がいた。
「当時はまだ各騎士団に分かれておらず、陸軍としてまとまっていた頃だな。
つい80年程前の枢軸連邦の南下する十万をたった一万で迎えうち、あちらの国境内にまで押し返した。
アルバ大元帥か」
どちらも、もうこの世にはいないし、その血筋は残っていても祖先のような武功は立てていない。
そんな視点から見てみれば、この隣にいるエルムンド侯。
彼の軍人としての才覚はなかなかに大したものだ。
そうシルドは思った。
「惜しいことに、それ以降の帝国の領土は枢軸連邦と王国側に押されたままだ。
このままでは、我らが。
いや、俺がいる銀鎖の闇がどうにか支えている平原も、そのうち南方の騎馬民族に飲みこまれるかもしれん。
お前が抜けることで、魔導師団としてまとまっていた、第三師団もなにがしかの亀裂が入るだろうしな?」
まだ、飲むのか?
溜め込んであった酒瓶を、転送魔法で取り出したシルドを見てエルムンド侯は驚く。
「飲まずにはいられない夜だ。
それに侯より僕は若い。
回復も早いよ」
「口の減らない奴だ。
女に手が早いところもな」
「嫌味か?
妻が聞いたら誤解をするだろう?
あれは父上が勝手に用意してきた縁談だ。
すべて挨拶だけで済ませてきた‥‥‥貴族子息が20にもなって嫁もおらず。
今夜のような場に呼ばれることがその証だろう?
ほとんどの者は17までには妻を得ているーー」
その20の若造に、ため口を聞かれている俺も、戦いしか知らん男だ。
そう、エルムンド侯はため息をつく。
今年で32歳。
平原を駆けまわるうちに、8歳で見習いとなりすでに24年。
まともな出会いもないままに、ここまで来てしまった。
そういえば、そうシルドはある事に思い当たる。
「候は、誰がお相手だったのだ?
僕はそのお方をまだ知らないのだがな。
あの会場内に巡らせていた僕の魔導にもそれらしき会話は無かったように思うが‥‥‥?」
余計なことに気づいたか、こいつは。
エルムンド侯は押し黙ってしまった。
なんだ、その顔は?
シルドは普段の不愛想な顔が余計にこわばったエルムンド侯を見て不思議に思う。
「来なかったのだ。
相手はレガー侯爵家の第四令嬢ロワーナ様というらしい。
24歳の未亡人でな‥‥‥。
若くして嫁がれたが、夫が病死され、そのまま実家に戻されたらしい」
戻された?
夫が死ねば妻か、その子が爵位を継ぐのが帝国の習わしだ。
王国は違うのだろうか?
「その亡くなられた方は、貴族ではなかったのか?
子供があられて、爵位を継いだとすれば実家に戻さるというのも変な話だ。
仮にも侯爵家の血筋なら王族に連なる身分だろう?」
「俺もそこまでは知らん。
第四令嬢なら子爵でも問題はないだろう。
まあ、聞いた話では親戚筋から養子を貰い、そのまま返された。
そういうことだそうだ」
ああ、つまり体よく養子縁組だけして、義理の母親は実家に戻された、と。
そういうことか。
シルドは理解した養子縁組だけしておけば、形だけは王族の末端に家の名前を残せるからだ。
「どうにも、あれだな。
今更ながらにして思うが、貴族社会というのは女性に不利なものだ。
家の所有物。
ひどい時には、実の弟とさえ結婚させる。
あの王子がいい例ではないか」
僕の妻の舌を切らせたあの、拷問好きのサディスト。
ゲイル王子殿下が。
そうシルドは吐き捨てるように言い、寝ているミレイアが狭い馬車の中で首を痛めないようにと。
奥から常備されている、敷物を折り畳み、それを枕代わりにして引いてやる。
ミレイアは安らかな寝息をたてて眠っていた。
「後悔しているのか?」
「当たり前だ。
あんな命など‥‥‥かなうならばあの場で殺してやりたかった。
そうすれば、大司教とお前が敵に回る。
僕には勝ち目はない」
「なぜ、そう思う?
俺が敵に回ると」
試すように質問する戦友の視線は冷たい。
信用できないのか? そんな意図はそこには含まれていないようにシルドには感じれた。
あるのは、何を優先したか。
その問いかけだけだった。
「エルムンド侯は、武官であらせられるからな。
周りは全て侯の部下の第二師団が固めて併走し、その長が手負いでなく無傷で王子を死なせた。
そんな結果になれば、すべてが水の泡だ。
これまで何年もかけてきたことが、無意味になる。
それなら、僕の敵に回り討ち取るほうがまだ、大義名分が立つ」
あの時点では愚かな侯爵家令息シルドだからな、僕は‥‥‥。
それが答えだ、そうシルドは言いミレイアの頭を撫でてやる。
「この子には、多くの苦しみを与えすぎた。
もう、あんな目にだけは合わせたくない。
どうにか安全に守れるところがないか。
思案しているところだ」
「難しいな、王子の手駒はどこにでもいる。
しばらくはお前と俺で、どうにかするしかない。
陛下がなあ……第四王子だったゲイル様をまさか、第一王女シェニア様の再婚相手に選ぶとは。
側室の子が、いきなり正室の子である姫君の夫になったのだ。
王太子殿下はまだ御年12歳。
戴冠までにはあと最低でも4年はかかる。
エバース大公様が、シェニア様の元夫が死去さえしなければこうはならなかったのにな」
ため息交じりにエルムンド侯は内情を整理し始めた。
それまで、側室の子として王位継承権争いのかやの外にいたゲイル王子。
海軍の一師団長を務めるだけの、単なる上級貴族に過ぎなかった第四王子。
彼がなぜ、次期国王の義理の父親にまで昇りつめたのか。
「仕方あるまい。
あの大臣、バッセルは外務だけでなく商務まで兼任してる。
海洋交易の要所だったシアード市の監督官でもあった王子と結びついていてもおかしくはない。
エバース大公が逝去された時に流れた毒殺の噂も、嘘ではないだろう。
僕はそう思っている。銀鎖の闇が王都駐留から平原へと移されたのも4年前。
あの4年前から、僕たちの報復が始まったのではないか、エルムンドーー」
「ああ、そうだな、シルド。
あの日からお前は変わった。
単なる遊び人。どうしようもないクズ侯爵家令息から恩人の復讐を果たすためになあ?
あの俺と王都で遊び暴れていたあのシルドがだ。
いまでは、稀代の魔導師などと言われるように‥‥‥」
懐かしいものを見るように、エルムンド侯はシルドの過去を端的に語る。
あの少年が、こんなにも成長した。
あの夜。
師団長だったエバース大公の死と、その真相がほぼ誰かによる他殺だと知った時から。
シルドは変わった。
「ああ、もうやめろ、エルムンド侯。
妻が聞いたら誤解する!!」
「だが、本当のことではないか。
今夜のお前はあの時の、世間知らずの侯爵家令息シルド殿、そのものだった」
芸は身を助けるというが、過去の汚点がまさか役立つとはな!!!
そう言い、エルムンド侯は大笑いをする。
シルドは恥ずかしい反面、この酔っ払いになにを言っても無駄だと悟り無視することにした。
「この子の。妻の安全と、恩人の復讐。
どちらも大事なのだ、エルムンド。
エバース大公は皆から好かれていた。
多くの師団長や提督たちからも、文官・武官を問わずだ。
だからこそ、王国でいまこうして静かに策謀が動いている。
王都で王子を守る、近衛兵団の中枢。
魔導師どもに対抗できるのは、僕の第三師団だけだろう。
エルムンド‥‥‥彼らを頼むぞ」
僕は必ず、返り咲く。
この妻の願いにこたえてな。
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