今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

初顔合わせを終えて。(ナルリアスファミリーの感想)

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「なあ。シュナイエスはハヅキさんのことどう思った? 」
 顔合わせが終わって、二人が帰って行ったあと、マルクスがシュナイエスに聞いた。
 オズワルドはハヅキを送ってそのまま騎士団に帰るらしく、「ホントに慌ただしいわ。でも、騎士団は忙しいから仕方がないわね‥」とナガツキはちょっと寂しそうだ。
 今も、「見えなくなるまで見送りたい」と二人を乗せた馬車を家の外まで見送りに行っている。
 マルクスとシュナイエスは「嵐の様だったな」と、一息つきながらメイドに新しい紅茶をお願いして、来客用のソファーではなく、普段使っているダイニングテーブルに移動した。
『今日は仕事に戻らないんだ』
 シュナイエスは優雅に家でお茶を飲むマルクスを見て思った。その視線に気付いたのかマルクスが
「今日は終日休み」
 と言ってふふっと笑って
「久し振りに家族水入らずもいいでしょ」
 と付け加えた。
 マルクスは、オズワルドに「お前ってマザコンだったんだな」って言うような「イジワル」は(嫌われたくないから)しないけど、シュナイエスには話したい。‥ってか、シュナイエスもそう思ったかどうか聞きたいんだ。
「そうだね」
 シュナイエスは
「ハヅキさんは‥」
 ハヅキの感想を言おうとして、固まった。
『‥どんな顔してたっけ‥? 』
 綺麗だったね? って言っとけばいい? いや、適当なこと言うのはよくないか‥。
 まさか、医療魔術が気になって顔なんて碌に見てませんともいえないから、代わりに
「優しそうな人だと思ったよ。しっかりしてるように見えたし、安心だね」
 と当たり障りのないことを言った。
 ふふ、と見送りから戻ってきた母・ナガツキがダイニングテーブルのいつもの席‥シュナイエスの横に座って、メイドに自分の分の紅茶を頼んだ。
 新しく淹れてもらった香りのいい紅茶を口元に運び、一口飲んで一呼吸着くと、
「私もいいと思うわ」
 って、優しく微笑む。
 そういえば、さっきは(緊張して)紅茶を味わうどころじゃなかったわ。紅茶、ハヅキさんは気に入ってくれたかしら? なんてちょっと思ったり。
 その顔を見て、二人は再び「あの時のナガツキの微笑」を思い出した。
「‥母上は、ハヅキさんのことを以前からご存じだったのですか? 」
 マルクスが聞くと、シュナイエスが頷いた。その眼が「それは俺も聞きたかった」って物語っている。
 ナガツキがまたふふっと笑う。
「そうねえ。お会いしたことがあるわけではないのだけど、会った瞬間「この方のことを私はよく知っている」という感覚を覚えましたわ。
 デジャブって現象なのかしら?
 ‥今思えば、ハヅキさんは私の若い頃に少し似ていた気がしたから‥親近感を覚えたのかしらねえ」
 ふんわりとした微笑を浮かべながら言うと、隣に控えていたナガツキと同年代のメイドが「そういえば、ナガツキ様のお若い頃と少し似ておられましたね」って微笑んだ。このメイドは、ナガツキの乳姉妹で、ナガツキより二つ年上だ。ナガツキと姉妹同様に育ってきたが、メイドの母親である乳母が「立場をわきまえなさい」としつこい程言い聞かせて育てたため、どんなにナガツキが「敬語なんていいわよお」って言っても、敬語を崩さず、分相応の対応を続けている。本人はそれで満足しているらしく、結婚後も通いでナルリアス家のメイドとして働くのは「(可愛い妹の)顔を見たいから♡」らしい。二人は昔も今も大の仲良しで、ナルリアス家の三人の息子たちも彼女のことを伯母のように思っている様だ。
「似ているっていうのは、顔のことですか? 」
 マルクスがあくまで確認のために聞くと、ナガツキが「そうねえ」とちょっと考えて
「雰囲気よ。顔は‥似てたかしら? 」
 って言った。
 いや、似てたって。
 周囲にいる者たちは口には出さないが皆一様にそう思った。(碌にハヅキの顔を見ていなかったシュナイエスだけは「そうだったんだ」ってこころの中でコッソリ思っているが‥)
 想いはしたが口には出さなかった周囲をチラリと見ると、
「なら、オズワルドはお母様の顔が大好きだったってこと? 」
 ふふって笑ってナガツキが言った。
 ‥それ、言いにくい奴!!
 マルクスがコホンとひとつ咳ばらいをすると、シュナイエスが「そういうことになるな‥。そうかアイツは‥」って呟いて、
「オズワルドはマザコンだったのか! 」
 って言った。
 ‥おいおい、言っちゃったよ。
 マルクスは苦笑いするが、否定はしない。
 だって、その話が聞きたかったんだから。 
『なんだ、皆(口には出さないだけで)そう思っていたのか! 』
 って正直思ったね。
「マルクスも思ったでしょ? 」
 シュナイエスがふふって笑って言うと、
「‥一瞬ね。
 でも、それはホントに一瞬思っただけで、その後は「治療術の話聞かせてほしいなあ」って思ってた」
 苦笑いして、マルクスが言った。
「それは! 俺も思った! 」
 ぱっとシュナイエスの表情が明るくなる。
 その後は、二人で治療術について話し始めた二人の息子を見て「こりゃ、暫く結婚しなさそう‥」って思ったナガツキだった。

 ナガツキは(二人が話し込み始めたのをいいことに)自分の世界に入り込んでいた。
 ‥ハヅキさんはきっと、私と同じ「神様の魂」。普通の魂とは違う「未熟な魂」。転生が何度目で、魂の成熟度がどれ程進んでいるのかは分からないけど、普通の魂の‥普通の人間とは違うのは確か。
 そして、彼女は「自分がそう(神様の魂だってこと)」に気付いている。‥つまり、一回目の転生なわけじゃない。
 ある程度何度か転生して、転生することに馴染み始めてる感じ。
 ここでの年こそは自分の方が上だけど、転生歴ならもしかしたらハヅキさんの方が上かも? 
 すっかり転生することを受け入れ、自分が生まれて来た世界を受け入れていた。
 流されず、自分の意思で自分が生まれてきた世界を生きている。

 特別な魂で、この世界の美醜感覚に左右されない価値観を持つ者。

 だから、オズワルドの顔に偏見を持たなかったのだろう。
 それは‥親として普通に嬉しい。
 でも、普通の人間と違うことは‥正直心配でもある。
 普通の魂ではない自分が生んだオズワルドが普通の魂ではないハヅキと出会い、ひかれあい結婚するかもしれない。
 それって‥神様的には大丈夫なんだろうか? 
 というか‥(そもそも)普通って何だろ。
 分からないのは、私が普通の人間じゃないから? じゃあ、普通じゃない私が何を考えたところで何の役にも立たないし、‥何の答えもでないんじゃないだろうか。

 ‥私は何をすればいいのだろう。
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