今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

お洒落は楽しい

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 平日はガッツリ仕事をして、休日は仕事から離れる。
 気分転換をしたり、仕事以外の人と会うことで何かヒントを貰えることもある。ヒントを貰うっていうか、気付くことがある、だね。「あ、これってこういうことじゃない? 」って。
 そういうことは、今までのハヅキの転生人生で何度も体験してきたことだ。(まあ、「あ、これ、使えるかも」って常に考えちゃうあたり全然気分転換になってないのかもしれないけどね)
 オズワルドとお休みが合わせられたら勿論オズワルドと会う。でも、合わない時もある。そんなときは、例のメイドとお出かけして「世の普通のお嬢さんとは」を研究したりする。「これ、オズワルドさん好きかな」って常に考えちゃうあたり(さっきの気分転換と一緒で)あたしは案外「気持ちの切り替え」が出来ないタイプなのかも。って考えたり。
 でもね、いつでも考えちゃう、そしてそれが嬉しい(仕事の場合だと、苦にならない)ってのは、それだけそれが好きってことだから、良いことじゃない? って思ったりもする。
 ああそうそう、ハヅキはこの前お母様と「約束のおでかけ」もしましたよ。
 服を買いに行けば
「可愛い! あれもこれも似合う! 全部買いましょう! 」
「これは好き? あれはどう? 」
 ってお母様が大はしゃぎで恥ずかしかったけど、いつも以上に笑顔のお母様を見て「来て良かったな」って思ったり。

 自分もすっかり丸くなったな、なんて。
 というか‥「普通の人間」みたいじゃない?
 でも、考えたら人工の魂であってもこの身は人間には違いないわけだし、他の皆から見たら‥ただの人間と区別がつかないだろう。
 なら‥ 
 考え過ぎてたのは自分だけかもしれないな。
 自分は「他の人とは違う」だなんて‥思いあがった「勘違いさんちゅうにびょう」みたい。
 恥ずかし‥。
 あたしは特別凄くもないのは当たり前だけど、特別変でもない「普通の人間」なんだ。
 そうありたい。‥そんなこと思ったの、初めてだ。

 ハヅキはこの頃の自分のことを分析して、ふふって微笑んだ。
 普通の人間で、今は、「普通の女の子」。その先は‥「普通のおばさん」? それから、「普通のお婆さん」になって孫なんか抱いちゃったり? その前に子供?? キャー、オズワルドさんとの子供とか可愛いに決まってる! 勿論オズワルドさん似を求む!! そうなったら‥ナガツキさんじゃないけど「うちの子が一番可愛い♡♡」ってなっちゃう?? で、ナガツキさんも「うちの孫最高♡♡」って一緒に大騒ぎして‥。そんな未来を考えたらちょっと面白くなった。

 平日、仕事の時は相変わらずだけど、休日なんかは他の若いお嬢さんの様にお洒落をすることも覚えた。お洒落をするってか、お洒落を楽しむ。今までの人生でも「自分を綺麗に見せるテクニック」みたいなものは磨いてたけど、それは「生きやすくするため」で、お洒落を楽しいって思ったこと‥そういえばなかったかな、なんて。
 この頃はお洒落も楽しいかなって思ったり。
 でも、あたしの美的感覚による化粧、例えば「目を出来るだけ大きく‥」とかは却下されるんだけどね「お嬢様はお化粧が下手ですね~」って何いってんだ。あたしは「あたしの望む様な顔」にちゃんと「出来てる」。アンタらと好みが違うだけであたしは下手なんじゃないぞ☆ 何なら、「この世界風メイク」だってしちゃうぞ? って披露したら、皆が固まってた。
 ‥固まるってどういうこと。いいならいい、悪いなら悪いって言ってよ。「全力出したみたいだけど‥やっぱり下手だね‥」はやっぱり言いにくいですか?? (※ 勿論皆ハヅキに見惚れて固まっただけ。だけど、ハヅキは気付かないんだよ。自己評価低すぎて)
 でも、あれだ。皆でワイワイお洒落のこと喋るのって楽しい。最後には脱線しちゃってこの前食べた美味しいものの話になっちゃったりするのも楽しい。
 純粋にお洒落を楽しいって思ったことは初めてで、そんな時間がキラキラと、ダイヤモンドみたいに美しいって思えた。
 あたしの、宝物のような思い出がまた一つ増えた。
 走馬灯じゃないけど、
 この頃やけに「昔のこと」を思い出す。
 ‥もうすぐ死ぬのかな。(だって、人間死ぬ前に色々思い出すっていうじゃない?? )
 いやいや。今世はまだ生きていたい。
 毎日が楽しいって思えてるから。
 この楽しい毎日が続いて欲しい。
 しんみりした気持ちは‥でも次の瞬間「何にもなかったかのように」消え失せ、あたしは「さっき何を考えてたっけ? 」って首を傾げた。

 振り向いて、立ち止まってばかりいれるほど、人生は長くない。
 そう言われたような気がした。


 ハヅキは、今日は久しぶりにオズワルドさんとデートだ。今まで研究したお洒落テクを披露するぞ☆ って気合入れて、メイドさん大絶賛の白いワンピース(ちょい短め)を着て行ったら、真っ赤になったオズワルドに頭からローブ(オズワルドさんのローブだ)を掛けられて「刺激が強すぎる‥」って言われた。そんなオズワルドの顔も「可愛いからよし」って思ったハヅキだった。
 それに‥(フンスフンス)ローブ、オズワルドさんの香り‥(うっとり‥)ローブで隠れてるからオズワルドさんに(クンクンしてるの)バレてないよね?? よね?? バレてたら軽く死ねるんだけど‥(でも、クンクンしたい欲望には勝てん!! )
 でも、ローブは‥ホント落ち着く。いつも着てるから着てないと何だか落ち着かなくなってきてる。ホントはね。
 だけど、素顔とか表情とか隠して生きてくのもよくないから、まずは気心知れた人の前からでもフードレス生活していかなきゃなとも思ってるんだ。最近はね。
 今日なんかは、折角綺麗にして来たしね。
 勿体ないしね。
 最近伸ばし始めた髪はまだ辛うじて肩を過ぎた位。それをふわっと二つに分けて若草色のリボンで括った。
 なんか乾いた麦の茎を束ねたみたいって一瞬思っちゃった(色合いがね)でも、毎日メイドさんに梳いてもらってる髪はさらさらでちっともゴワゴワしてない。いつも寝不足気味の割に肌がモチモチツヤツヤなのもメイドさんのお陰なのと‥あと、やっぱり若いからだ。若さってのは素晴らしい。‥勿論それに甘えてちゃ後で痛い目見るってのは分かってるけどね。 
 モチモチツヤツヤの肌に「おしろいはやめましょう。必要ないです」って言ってメイドさんが綺麗な色の口紅だけつけてくれた。あと、目の周りにうっすらと塗った‥はたいた? アイシャドーが赤っぽかったから「おいおい、こけし度アップしちゃったよ」ってあたし自身は思ったんだけど、メイドさんたちが「‥色っぽい」って顔を赤らめて呟いてたから良しとした。
 この世界の美的感覚はもはやあたしには理解出来んものとして諦めて、(化粧その他は)ここの人たちに任せることにします‥。
 そして、仕上がった顔はあたし的なbestじゃないんだけど、悪くはなかった。
 薔薇の美しさではなくても、野の花には野の花の美しさがある‥みたいな感じ? 素朴なね、清潔で、シンプルな美しさ‥に仕上がった。
 シンプルじゃないな。可愛く仕上がったって感じ。(多分)
 肌がいつもより二割増しで健康的でツヤツヤだし、髪がさっぱりと纏まってるし、リボンは可愛いし、いつもはつけない口紅が「デートの特別感♡」って感じだし。
 だから、オズワルドさん。照れないでもっとちゃんと見てよね! まあねぇ。オズワルドさんのカッコよさの前ではあたしなんてただの平凡なこけしだけどさ~。(スン‥と、一瞬で我に返る)
 街をぶらぶらもいいのだけど、街はハヅキ的に「オズワルドさんを嫌な目で見て来る人もいるからちょっと居心地が悪い」だから、いつもオズワルドさんのお家とか、オズワルドさんの行きつけの「気心知れた場所」にいくのが定番だ。
 ‥それに、街をぶらぶらだったらオズワルドさんとゆっくり出来ないでしょ。
 っていうのは、ちょっと恥ずかしいから内緒だ。
 オズワルドに言ったら絶対喜ぶだろうけど、恥ずかしがり屋のハヅキにはどうしても言えないんだ。
「二人でいっぱいお話ししたい♡」
 正直言ったら
「‥ちょっとイチャイチャしたい」
 とか、まだ言う勇気はないかな~、なハヅキだった。
 だから、今日も、オズワルドの家でお家デートだ。
 と言っても、二人っきりでお部屋で。とかじゃない。オープンにご家族と、だ。
 いつもはお茶をしたりするんだけど、今日は次男・シュナイエスと医療術の話をする約束をしている。こういう勉強会は実は今回初めてじゃなくて、けっこう頻繁に行われているんだ。時には長男・マルクスも交ったりしてね。マルクスはハヅキの治療師の仕事に興味津々なんだ。 
 皆知的好奇心が旺盛で、大変すばらしい。
 ハヅキ的にも他の魔術について専門的な話が出来て勉強になるしね。
 今日は、(勿論)「聖魔力を付与した水」の話をすることにした。勉強会っていうより、相談だね。
 ハヅキはメイドさんにグラスを出してもらいそこに聖水を注ぐ。
 水を出して→ 聖魔力を付与する。って作業を、シュナイエスさんだけではなくメイドさん迄が目をキラキラさせながら見つめている様子はなんか微笑ましいな~ってハヅキは(口には出さないが)思った。 
 そうだよね、聖魔法って珍しいもんね。
「聖魔力のレベル分けねえ‥」
 話を聞いてすぐに興味津々なシュナイエス。早速一つ目の「Level1の聖水」を手に取って、一口口に含む。 
 そして、ふむっとうなずくと
「そもそも、聖女のレベルってのは、魔力の多さだろうか? 」 
 って言った。
「と言いますと? 」
 ハヅキが首を傾げる。うん、とシュナイエスがもう一度うなづき
「魔力がより多い聖女が必ずしもより素晴らしい聖女ってわけでもない‥っていうか‥」
 って言った。
 ハヅキがはっとする。
「確かに‥! 」
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