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担当者さんが途中経過を見て、ダメだししてきました。
5.5回目を前に、担当者・ヒツジの話。
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俺の名前は「ヒツジ」神様の代行者だ。
代行者の役目は神様が作った魂を監視、指導し、これならこの先輪廻転生ループにいれてもイイね~な魂にする為の、いうならば人工(神工? )魂のマネージャーだ。(マネージャー? 家庭教師? わからん)
八番目の代行者だから、八番目の魂・「ハヅキ」の担当者。
「あの子がハヅキです」
って神様に紹介された第一印象は、「丈夫そう」だけだった。
地上で器(人間の身体)が付かない魂の状態はほわほわとした光の塊みたいな感じで、顔なんかないんだ。
だけど、個性はある。
一番目の「ムツキ」は神様が「清く正しく」って気合入れた自信作で、天上での評判は最高だった。皆「ムツキは素晴らしい! 」って褒め称えたけど、地上におろしたら‥散々だった。
そりゃね、人間清く正しだけじゃ生きてられない。
キレイゴトばっかり言われたら鼻につく‥。あんまり融通が利かないのも、ねえ‥。
ムツキは直ぐに孤立して‥直ぐにボロボロになった。人間ならそこで周りに合せたり、染まったりするんだろうけど‥作り物の魂にそんな器用な真似は出来なった。温室育ちだから、メンタルも弱かったしね。
傷つけられて傷ついて、試行運転終了後(死亡だね)ここに戻した時に、粉々に割れた。
こりゃあかんわ~って神様はまた試行錯誤を繰り返し‥
とにかく丈夫にって作ったのが「ハヅキ」だった。(それまでに「人と共存できるように」「優しく」とか色々試した)
今まで「何でも出来過ぎて」周りから疎まれたり、本人に努力する必要がなかったのが原因で人の気持ちが分からなかったりとかいう不具合が多く上がってたから‥ハヅキは思い切って何も出来ない仕様にした。
ハヅキの天真爛漫さを天上の皆さんは‥まるで孫を見る様な眼差しで見て、愛した。(馬鹿な子ほどかわいいって言うしね)
他の皆と違ってホント「ただ丈夫」なだけの‥何にも出来ない、素直で、純粋で、丈夫な「人間」。
そして、ハヅキは地上におろされた。
今までの皆と同じく、美しい容姿の身体を伴って。(それが神様的愛情表現だったんだ)
ここからが俺の仕事。担当の魂を黙って観察して、分析して今後に生かす。「改善点はどこかな」って探る。
‥俺はね、ハヅキは失敗するだろうな~って(やる前から)想像はついてたよ。‥神様は「今回は大丈夫! 」って変に自信満々だったけど‥。
天真爛漫な奴が最高の見た目(スペック)を持って生まれた場合‥なんとなく「どうなるか」って想像つくけど‥神様はそうじゃなかったみたい。
今までの子がそうじゃなかったから。
‥予想通りハヅキはやりたい放題だった。
何にも出来なかったんだけど、「それでもいい! 」「可愛いから(綺麗だから)いい! 」「むしろそこが可愛い! 」「何もしなくていいよ! 」って言ってくれる男女に囲まれて、自分の最強の容姿を最大限に利用してハーレム築いて好き放題。ハーレム要員はハヅキの大好きな「見目麗しい」イケメン、美女only。ハヅキの興味ない奴には、塩対応どころか‥あからさまに「嫌い! 」って態度を取ってた。そしたら周りのハヅキ信者が「ハヅキの嫌ってる奴! 近づいてくんなや! ハヅキが嫌な顔してるだろうが! 」って‥もう嫌っていう程苛めて‥
ハヅキが直接苛めてたわけではない。だけど、ハヅキが原因で世界は‥まあいうならば地獄絵図だった。
だけど、ハヅキ自身は「え? なんであたしが悪いの? 」って自分がそんな状況を引き起こしたことに気付いてさえいないの!
そんなの神様が許すわけない。
「再教育じゃ! 」
って感じで‥俺に仕事が回ってきたわけ。
簡単だと思ったよ。正直ね。
同じ目に合わせて‥つまり、試運転時ハヅキが嫌っていた容姿にして、周りの誰も自分を相手してくれない。それどころか「ブス」とか言われて軽んじられたら‥「あの時あたしがやってたのはこういうことだったのか‥」って反省して「ごめんなさい。今度からは容姿で人を判断したりせず、真面目に自分で努力して生活します」って言うと思ってた。そしたら神様も「よくやった! ヒツジ! お前の仕事は終わりじゃ! 」って俺を褒めてくれるって思ってた。
なのに‥
なんなん? アイツ。
「この顔じゃ恋愛とか出来ない‥」
ってか? 恋愛のレの字も忘れて自分磨き。自分磨きが悪いことやいうんてんやないで? 性格まで変わってもてるやん! どんだけアンタその顔キライやねん!? どんだけあの顔がアンタのすべてやったねん。
あの顔じゃないと、恋愛すらする気ない‥って‥どやねん。
恋愛が総てとは言わないけど、神様的に「愛し愛される人間になって欲しい」って願望はある。「一人でひっそり暮らす。独身でもいいや」な魂ばかりじゃ‥人口減待ったなしだもんな~。
さらに、彼ら(神工魂)は個性重視じゃなく「安定・安全品質」「平均的」を期待して作ってる魂だしね。
個性とかいいんよ。
なのに‥
むか~! も一回その顔でやり直せや! その顔で「人を好きになる」って経験してみろ。それで、今度こそ「好きな人を振り向かせたいけどこの顔じゃ‥」「顔はあたしのせいじゃないのに‥」って苦しみ味わえや! そのうえで、「だけど‥頑張る! 」って根性見せてみいや!
で、今回もハヅキは同じ顔。
今回は転生前にちょっとお説教してみようと思います。
五回目のハヅキ
「やれば出来るでしょ? 初めっから「出来ない」って諦めてないで、
ありのままって言葉に逃げないで、
人は、自分を知り、自覚し、努力して変わらないといけないのよ。
よりよくなろうって思わないといけないのよ」
ナナベルの言葉は、前世の一番の宝物だった。
‥覚えていられてよかった。(ナナベルの顔はもう覚えてないんだけどね)
さて‥今回も頑張るぞ。
って思ったら、目の前が真っ暗になった。
頑張ろうと思った矢先に‥それはないんじゃない? って思ったら、
「おい」
暗闇の中に目付きの悪い男が立っていて、あたしを見ている。全体の姿は暗くて見えなかったが、その鋭い視線があたしを真っすぐ見ているのだけは分かった。否、見ているって言うか‥これは睨んでるんだな。
その人は‥どうやら怒っているようだ。
なんで??
一歩後退ると、一歩近づいてくる。そんなことをしている間に暗闇に目が慣れて、男の姿が見えて来た。
どうやら若い男らしいが‥見覚えはない。
あたしは大きく息を吐くと、手を握りしめて気合を入れなおし‥男を睨み返す。
男はふうと小さく‥呆れたように息をつくと、
「アンタさ。やる気あんのか? 」
って‥あたしに確認するように‥嫌味を言うかのように‥言った。
‥やる気?
何について、この人は言っているの?
ってか‥なんでそんなことを初対面の男に言われなきゃならない?
あたしが眉根を寄せて‥訝し気に首を傾げると、その人はため息をついて、自分は神様の代行者や‥と自己紹介した。
ええ?? この眼付悪いのが~?? ホント~??
思いっきり疑わしいが‥このタイミング、そう信じざるを得ないんだろう。
男は自己紹介すらしないで、さっさと本題に入った。
まあ‥自己紹介されても仕方がないし、それはいいとする。
本題。
まずは確認。
あたしたちは天界の魂不足を解消する画期的な計画「人工(神工? )魂」であるっとこと。
「それは分かっているな? 」
わざわざ確認されたから、「分かってる」と頷いた。男も小さく頷き返すと、
「作り物だから、何分「出来ること」「出来ないこと」がまだ分かっていない。だから、お前たちは試運転をしている最中なのだ」
と言葉を続けれらた。
それも、分かっている。あたしが頷くと、男も頷いて言葉を続ける。
「工業製品なら試運転でその都度不具合を直していけばいいが‥ナニブンお前たちは生ものだ。人生を一回分過ごしていかないと成功したか失敗したか分からない」
って言われた時には、流石にムカッと来た。
失敗って何じゃ。
今までの人生失敗だったっていうんかい!
まさかそんなこと口には出さないが腹の中でむかむかしていると、男はは~と大きくため息をついた。
「失敗とまではいかない。ただ、成功してないだけ」
あまりにも「人間としてどう」みたいな行いは許せないよね~って感じで「待った」がかかるらしい。最悪、(神工の)魂の消滅なんかも辞さない‥らしい。
「(今回の)アンタは(まだ一応)そんなレベルじゃないけど‥そもそも、そこまで人生真剣に過ごしてないだろ? 」
って言った。そしてあたしに反論の暇も与えず
「無難なことばかりでさ~。いくらさ、『自分で学習するのが望ましい』っていっても‥ちょっとね」
と続けた。
‥ちょっと、ってなんだ? あたしもあたしなりに努力してるが?
あたしが男を睨むと、男はあたしを真っすぐ見返してくる。
さっきまでの怒りの籠った視線ではない。あたしを試すように? 確かめるように‥見ている。
「アンタは一回目の人生でヘマした‥いうならば要注意人物や。
何とも‥よくないバグを出した。
そのバグは‥今のアンタのこの努力では‥一生解消されない。はっきり言って‥努力の方向が‥違っている」
まるで、目的地を避けて、無理やり明後日の方向に歩いているかのようだ‥と男は言った。
あたしは、ゴクリとつばを飲み込んだ。
何ともよくないバグとはいかなるものか。
目的地とはどこか。
あたしが聞くと、男は首を振った。
それは教えてもらえないらしい。
「それを俺の口から言うことは出来へん。俺はサポートして‥あんた自身がそのことに気付いてもらわなあかん」
っていうだけ。
あたしはもどかしく思い、思い切って
「でも、ホントに分からないんです。せめてヒントだけでも‥」
って頼むと、男がちょっと悩んだ後「ちょっとだけな」って渋々言った。
よし、絶妙な質問するぞ~
「そのバグを聞いた時‥貴方はどう思いましたか? 」
聞いた瞬間、‥これじゃないなって思った。
ふっと代行者は苦笑いし、
「イヤ‥今のアンタからは想像もつかへんから‥今では「ホンマなん?? コイツであってる?? 」って思てるくらいや」
って言った。
今のあたしから想像もつかない‥
トンデモないバグ‥
‥更に謎が深まった‥。
前世のことは‥一回前の人生で会った人の顔くらいは覚えてるんだけど‥何があったとかは覚えてない。だけど、身に着けた技術とかは残ってるし‥さっきの「どうしても覚えておきたいこと」(ナナベルの言葉とかね)とか位は覚えてる。
でも‥この転生の元になった「試運転」って彼が言ってる「0回目」のことは‥ホント覚えてないんだよね‥。
といっても、同じ人間のことだから‥そう「想像つかない」ってことはないと思うんだけど‥でも‥そうなんだよね‥?
ホント覚えてない。
あたしはそんなことをあれこれ考え込んでいたんだけど、代行者はそんなことお構いなしで、
「まあ、今のままじゃダメだってことは分かって欲しい。
アンタ、周りの人間にもっと関心もちいや。
今までのアンタ‥なんか自分の人生やのに他人事みたやった。
誰かを特別やって思たり‥誰かの特別になりたいって思いいや。
人間ってのは多かれ少なかれそういう感情を持ってる。
俺が今回アンタに出す課題はこれや。
アンタ‥
今回は恋してみろよ」
真剣な顔で、
何とも無茶振りをした。
ん~んん??
恋って‥しようと思って出来るもんなんか?
黙ってるあたしに代行者は尚も
「自分のこと好きになり。
まずはそこからや。
自分と向き合って、自分をまるのまま認めてやれ」
畳みかけるように命令してきた。
あたしは‥つまり、貴方には‥「自分と向き合わずに、他人事のように人生を過ごして来た」ように見えてたってわけですか‥。まあ‥そうかも。そうかもしれないよね。
だって、この顔だもん。そんなこと‥恋とか‥「自分とは無関係な世界」だ。はじめっから負ける試合(告白)とか、したくない。馬鹿にされたり‥気を遣わせたり‥わざわざ苦行に自分から挑んでいくなんて‥嫌だ。
‥なんでこの人はそんなことあたしにいうんだ‥。
あたしは何も言えない。
そんなあたしを代行者は、真っすぐ見つめて
「世の中、アンタがおもうような人ばっかりじゃない。
人を信じてやれ。
良いじゃねえか振られても。それで総てが終わるわけじゃない。「コイツとは合わんかったんやな」で終わりや。
幸いアンタはあと5回人生がある。
やり直しはきく。
まずは、今回は無理してでも、恋愛をしろ。失敗してもいい。失敗して‥泣けばきっと学びがある」
って言った。
代行者はホントは「アンタの価値観で人を決めつけるな」「上辺(顔)じゃなく、ハート(性格)を見ろ」って言いたかったけど、それは「自分で気付かせないとダメ」だから言えないのだ‥。
もどかしくて仕方がないが、もう時間だ。
今度は、もう少し頻繁に会いに来ようと思う‥。(と、代行者は誓った。誓ったが‥実現できるかは別の話‥)
怖がらずに‥
自分本位じゃない恋愛をする‥
逃げずに‥自分に向き合う。
無理してでも‥恋愛する。
そんなことを思っている内に‥瞼が閉じて眠ってしまった。夢の中で眠るってのも変な話だけどね‥
あたしはそのまま、眠った。
今度は夢を見ることはなかった。
朝、
(本当に)5回目の転生が始まった。
今度は、恋をしなければいけない。
何とも‥面倒だし‥避けて通りたい課題を出されてしまった‥。
代行者の役目は神様が作った魂を監視、指導し、これならこの先輪廻転生ループにいれてもイイね~な魂にする為の、いうならば人工(神工? )魂のマネージャーだ。(マネージャー? 家庭教師? わからん)
八番目の代行者だから、八番目の魂・「ハヅキ」の担当者。
「あの子がハヅキです」
って神様に紹介された第一印象は、「丈夫そう」だけだった。
地上で器(人間の身体)が付かない魂の状態はほわほわとした光の塊みたいな感じで、顔なんかないんだ。
だけど、個性はある。
一番目の「ムツキ」は神様が「清く正しく」って気合入れた自信作で、天上での評判は最高だった。皆「ムツキは素晴らしい! 」って褒め称えたけど、地上におろしたら‥散々だった。
そりゃね、人間清く正しだけじゃ生きてられない。
キレイゴトばっかり言われたら鼻につく‥。あんまり融通が利かないのも、ねえ‥。
ムツキは直ぐに孤立して‥直ぐにボロボロになった。人間ならそこで周りに合せたり、染まったりするんだろうけど‥作り物の魂にそんな器用な真似は出来なった。温室育ちだから、メンタルも弱かったしね。
傷つけられて傷ついて、試行運転終了後(死亡だね)ここに戻した時に、粉々に割れた。
こりゃあかんわ~って神様はまた試行錯誤を繰り返し‥
とにかく丈夫にって作ったのが「ハヅキ」だった。(それまでに「人と共存できるように」「優しく」とか色々試した)
今まで「何でも出来過ぎて」周りから疎まれたり、本人に努力する必要がなかったのが原因で人の気持ちが分からなかったりとかいう不具合が多く上がってたから‥ハヅキは思い切って何も出来ない仕様にした。
ハヅキの天真爛漫さを天上の皆さんは‥まるで孫を見る様な眼差しで見て、愛した。(馬鹿な子ほどかわいいって言うしね)
他の皆と違ってホント「ただ丈夫」なだけの‥何にも出来ない、素直で、純粋で、丈夫な「人間」。
そして、ハヅキは地上におろされた。
今までの皆と同じく、美しい容姿の身体を伴って。(それが神様的愛情表現だったんだ)
ここからが俺の仕事。担当の魂を黙って観察して、分析して今後に生かす。「改善点はどこかな」って探る。
‥俺はね、ハヅキは失敗するだろうな~って(やる前から)想像はついてたよ。‥神様は「今回は大丈夫! 」って変に自信満々だったけど‥。
天真爛漫な奴が最高の見た目(スペック)を持って生まれた場合‥なんとなく「どうなるか」って想像つくけど‥神様はそうじゃなかったみたい。
今までの子がそうじゃなかったから。
‥予想通りハヅキはやりたい放題だった。
何にも出来なかったんだけど、「それでもいい! 」「可愛いから(綺麗だから)いい! 」「むしろそこが可愛い! 」「何もしなくていいよ! 」って言ってくれる男女に囲まれて、自分の最強の容姿を最大限に利用してハーレム築いて好き放題。ハーレム要員はハヅキの大好きな「見目麗しい」イケメン、美女only。ハヅキの興味ない奴には、塩対応どころか‥あからさまに「嫌い! 」って態度を取ってた。そしたら周りのハヅキ信者が「ハヅキの嫌ってる奴! 近づいてくんなや! ハヅキが嫌な顔してるだろうが! 」って‥もう嫌っていう程苛めて‥
ハヅキが直接苛めてたわけではない。だけど、ハヅキが原因で世界は‥まあいうならば地獄絵図だった。
だけど、ハヅキ自身は「え? なんであたしが悪いの? 」って自分がそんな状況を引き起こしたことに気付いてさえいないの!
そんなの神様が許すわけない。
「再教育じゃ! 」
って感じで‥俺に仕事が回ってきたわけ。
簡単だと思ったよ。正直ね。
同じ目に合わせて‥つまり、試運転時ハヅキが嫌っていた容姿にして、周りの誰も自分を相手してくれない。それどころか「ブス」とか言われて軽んじられたら‥「あの時あたしがやってたのはこういうことだったのか‥」って反省して「ごめんなさい。今度からは容姿で人を判断したりせず、真面目に自分で努力して生活します」って言うと思ってた。そしたら神様も「よくやった! ヒツジ! お前の仕事は終わりじゃ! 」って俺を褒めてくれるって思ってた。
なのに‥
なんなん? アイツ。
「この顔じゃ恋愛とか出来ない‥」
ってか? 恋愛のレの字も忘れて自分磨き。自分磨きが悪いことやいうんてんやないで? 性格まで変わってもてるやん! どんだけアンタその顔キライやねん!? どんだけあの顔がアンタのすべてやったねん。
あの顔じゃないと、恋愛すらする気ない‥って‥どやねん。
恋愛が総てとは言わないけど、神様的に「愛し愛される人間になって欲しい」って願望はある。「一人でひっそり暮らす。独身でもいいや」な魂ばかりじゃ‥人口減待ったなしだもんな~。
さらに、彼ら(神工魂)は個性重視じゃなく「安定・安全品質」「平均的」を期待して作ってる魂だしね。
個性とかいいんよ。
なのに‥
むか~! も一回その顔でやり直せや! その顔で「人を好きになる」って経験してみろ。それで、今度こそ「好きな人を振り向かせたいけどこの顔じゃ‥」「顔はあたしのせいじゃないのに‥」って苦しみ味わえや! そのうえで、「だけど‥頑張る! 」って根性見せてみいや!
で、今回もハヅキは同じ顔。
今回は転生前にちょっとお説教してみようと思います。
五回目のハヅキ
「やれば出来るでしょ? 初めっから「出来ない」って諦めてないで、
ありのままって言葉に逃げないで、
人は、自分を知り、自覚し、努力して変わらないといけないのよ。
よりよくなろうって思わないといけないのよ」
ナナベルの言葉は、前世の一番の宝物だった。
‥覚えていられてよかった。(ナナベルの顔はもう覚えてないんだけどね)
さて‥今回も頑張るぞ。
って思ったら、目の前が真っ暗になった。
頑張ろうと思った矢先に‥それはないんじゃない? って思ったら、
「おい」
暗闇の中に目付きの悪い男が立っていて、あたしを見ている。全体の姿は暗くて見えなかったが、その鋭い視線があたしを真っすぐ見ているのだけは分かった。否、見ているって言うか‥これは睨んでるんだな。
その人は‥どうやら怒っているようだ。
なんで??
一歩後退ると、一歩近づいてくる。そんなことをしている間に暗闇に目が慣れて、男の姿が見えて来た。
どうやら若い男らしいが‥見覚えはない。
あたしは大きく息を吐くと、手を握りしめて気合を入れなおし‥男を睨み返す。
男はふうと小さく‥呆れたように息をつくと、
「アンタさ。やる気あんのか? 」
って‥あたしに確認するように‥嫌味を言うかのように‥言った。
‥やる気?
何について、この人は言っているの?
ってか‥なんでそんなことを初対面の男に言われなきゃならない?
あたしが眉根を寄せて‥訝し気に首を傾げると、その人はため息をついて、自分は神様の代行者や‥と自己紹介した。
ええ?? この眼付悪いのが~?? ホント~??
思いっきり疑わしいが‥このタイミング、そう信じざるを得ないんだろう。
男は自己紹介すらしないで、さっさと本題に入った。
まあ‥自己紹介されても仕方がないし、それはいいとする。
本題。
まずは確認。
あたしたちは天界の魂不足を解消する画期的な計画「人工(神工? )魂」であるっとこと。
「それは分かっているな? 」
わざわざ確認されたから、「分かってる」と頷いた。男も小さく頷き返すと、
「作り物だから、何分「出来ること」「出来ないこと」がまだ分かっていない。だから、お前たちは試運転をしている最中なのだ」
と言葉を続けれらた。
それも、分かっている。あたしが頷くと、男も頷いて言葉を続ける。
「工業製品なら試運転でその都度不具合を直していけばいいが‥ナニブンお前たちは生ものだ。人生を一回分過ごしていかないと成功したか失敗したか分からない」
って言われた時には、流石にムカッと来た。
失敗って何じゃ。
今までの人生失敗だったっていうんかい!
まさかそんなこと口には出さないが腹の中でむかむかしていると、男はは~と大きくため息をついた。
「失敗とまではいかない。ただ、成功してないだけ」
あまりにも「人間としてどう」みたいな行いは許せないよね~って感じで「待った」がかかるらしい。最悪、(神工の)魂の消滅なんかも辞さない‥らしい。
「(今回の)アンタは(まだ一応)そんなレベルじゃないけど‥そもそも、そこまで人生真剣に過ごしてないだろ? 」
って言った。そしてあたしに反論の暇も与えず
「無難なことばかりでさ~。いくらさ、『自分で学習するのが望ましい』っていっても‥ちょっとね」
と続けた。
‥ちょっと、ってなんだ? あたしもあたしなりに努力してるが?
あたしが男を睨むと、男はあたしを真っすぐ見返してくる。
さっきまでの怒りの籠った視線ではない。あたしを試すように? 確かめるように‥見ている。
「アンタは一回目の人生でヘマした‥いうならば要注意人物や。
何とも‥よくないバグを出した。
そのバグは‥今のアンタのこの努力では‥一生解消されない。はっきり言って‥努力の方向が‥違っている」
まるで、目的地を避けて、無理やり明後日の方向に歩いているかのようだ‥と男は言った。
あたしは、ゴクリとつばを飲み込んだ。
何ともよくないバグとはいかなるものか。
目的地とはどこか。
あたしが聞くと、男は首を振った。
それは教えてもらえないらしい。
「それを俺の口から言うことは出来へん。俺はサポートして‥あんた自身がそのことに気付いてもらわなあかん」
っていうだけ。
あたしはもどかしく思い、思い切って
「でも、ホントに分からないんです。せめてヒントだけでも‥」
って頼むと、男がちょっと悩んだ後「ちょっとだけな」って渋々言った。
よし、絶妙な質問するぞ~
「そのバグを聞いた時‥貴方はどう思いましたか? 」
聞いた瞬間、‥これじゃないなって思った。
ふっと代行者は苦笑いし、
「イヤ‥今のアンタからは想像もつかへんから‥今では「ホンマなん?? コイツであってる?? 」って思てるくらいや」
って言った。
今のあたしから想像もつかない‥
トンデモないバグ‥
‥更に謎が深まった‥。
前世のことは‥一回前の人生で会った人の顔くらいは覚えてるんだけど‥何があったとかは覚えてない。だけど、身に着けた技術とかは残ってるし‥さっきの「どうしても覚えておきたいこと」(ナナベルの言葉とかね)とか位は覚えてる。
でも‥この転生の元になった「試運転」って彼が言ってる「0回目」のことは‥ホント覚えてないんだよね‥。
といっても、同じ人間のことだから‥そう「想像つかない」ってことはないと思うんだけど‥でも‥そうなんだよね‥?
ホント覚えてない。
あたしはそんなことをあれこれ考え込んでいたんだけど、代行者はそんなことお構いなしで、
「まあ、今のままじゃダメだってことは分かって欲しい。
アンタ、周りの人間にもっと関心もちいや。
今までのアンタ‥なんか自分の人生やのに他人事みたやった。
誰かを特別やって思たり‥誰かの特別になりたいって思いいや。
人間ってのは多かれ少なかれそういう感情を持ってる。
俺が今回アンタに出す課題はこれや。
アンタ‥
今回は恋してみろよ」
真剣な顔で、
何とも無茶振りをした。
ん~んん??
恋って‥しようと思って出来るもんなんか?
黙ってるあたしに代行者は尚も
「自分のこと好きになり。
まずはそこからや。
自分と向き合って、自分をまるのまま認めてやれ」
畳みかけるように命令してきた。
あたしは‥つまり、貴方には‥「自分と向き合わずに、他人事のように人生を過ごして来た」ように見えてたってわけですか‥。まあ‥そうかも。そうかもしれないよね。
だって、この顔だもん。そんなこと‥恋とか‥「自分とは無関係な世界」だ。はじめっから負ける試合(告白)とか、したくない。馬鹿にされたり‥気を遣わせたり‥わざわざ苦行に自分から挑んでいくなんて‥嫌だ。
‥なんでこの人はそんなことあたしにいうんだ‥。
あたしは何も言えない。
そんなあたしを代行者は、真っすぐ見つめて
「世の中、アンタがおもうような人ばっかりじゃない。
人を信じてやれ。
良いじゃねえか振られても。それで総てが終わるわけじゃない。「コイツとは合わんかったんやな」で終わりや。
幸いアンタはあと5回人生がある。
やり直しはきく。
まずは、今回は無理してでも、恋愛をしろ。失敗してもいい。失敗して‥泣けばきっと学びがある」
って言った。
代行者はホントは「アンタの価値観で人を決めつけるな」「上辺(顔)じゃなく、ハート(性格)を見ろ」って言いたかったけど、それは「自分で気付かせないとダメ」だから言えないのだ‥。
もどかしくて仕方がないが、もう時間だ。
今度は、もう少し頻繁に会いに来ようと思う‥。(と、代行者は誓った。誓ったが‥実現できるかは別の話‥)
怖がらずに‥
自分本位じゃない恋愛をする‥
逃げずに‥自分に向き合う。
無理してでも‥恋愛する。
そんなことを思っている内に‥瞼が閉じて眠ってしまった。夢の中で眠るってのも変な話だけどね‥
あたしはそのまま、眠った。
今度は夢を見ることはなかった。
朝、
(本当に)5回目の転生が始まった。
今度は、恋をしなければいけない。
何とも‥面倒だし‥避けて通りたい課題を出されてしまった‥。
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