今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

人間は完璧じゃない。

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「醜いもの同士、仲良くしましょ☆」
 初めてできた、幼馴染以外の同級生はそう明るい声で言った。


 慰め合い。傷の舐め合い。
 「そういった「確認行動」をとらないことが信頼の証しだ」って口に出しながら、人はこころの中でいつも確認してるんだ。
 貴女もそうよね? 
 だから‥あたしのこと裏切ったりしないよね? 出来ないよね? 
 そういうのは、時折行動に、言葉や表情に、出る。
 顔を隠してて表情は分からなくても、その分「言葉の温度」でわかる。

 一度目は、ほんの少しの違和感だった。
 なんとなく不機嫌? って感じだけ。
「故郷の友だち? そう‥
 友だちがいたんだね。あたし以外にも」
 リタはちょっと不機嫌そうな声で言って、あたしの
「一緒に昼ごはん食べる? 」
 に短く
「いいわ。邪魔したくないし」
 って言った。
 ちょっと気にはなったけど、急に予定を変えられないからあたしは皆の元に向かっていつも通りお昼ご飯を食べた。そして、昼休みが終わってあたしが教室に帰ってくるとリタが
「その‥友だちって人たちって、同じ年なの? 」
 って後ろを向いたまま聞いて来た。
 なんかちょっと「嫌な気持ち」になったけど、
「年上。同級生に友だちはいないんだ」
 って荷物を鞄から出しながら言うと、
「! そうなの! 」
 って、明るい声でリタが言った。
 ばって顔を上げて。
 リタは続けて、
「じゃあ、昼休み以外は二人で一緒に居たらいいわね! ハヅキにもつきあいってもんがあるだろうし、昼休みはそっちにいくしかないだろうから」
 って言った。
 楽しそうな声で。
 その声がおもいの外大きかったので、同じクラスの同級生の男の子たちが
「ローブ同士がなんか喋ってるぞ、耳障りだな」 
 ってイジワルな顔でこそっと言った。
 あたしたちに直接話し掛けてはこない。あたしたちと会話をするのは嫌だから。だけど、明らかに聞こえる声で言う。蔑みの対象としてあたしたちに嫌味を言いたいから。
 こんな奴らはどこでもいる。つまらない、しょうもない奴らだ。
 この世界はどうやら「そういうことを言うのはモラルに反してる」とか「行儀のいいことではない」って考えが浸透してるっぽいけど、子供にそれ(モラルやコモンセンス)を求めるのは無駄って話だ。
 子供ってのは、やがて「痛い目に遭って」結果的に「そういうもんだ」って知る‥その移行段階なんだ。よく親の教育が‥なんて言うけど、親はそれこそ日常的に「色んなこと」を教える。(だから)子供にしてみたら「あれやこれや言われたことの一つ」であって特段大事なことって考えない。
 そして、痛い目に遭う。
 痛い目って?
 例えば醜い子を苛めてるのを先生やら、好きな子に見られて怒られたり軽蔑の目を向けられたりする。とか、普通に‥「いじめをしてるのを確認した」って現行犯で教師に捕まって‥退学(前段階として停学があるけど、先生の気分次第で即退学になったりすることも多い)処分をくらう。
 その程度のこと。
 だけど、子供ってそれだけで十分「痛い目に遭った‥」って思う。(少なくともこの世界の子供たちは思う)
 子供の段階で痛い目に遭わなきゃ、そのまま大人になって、更に悪いことに権力や金なんか持ってたら‥
 ‥悪い大人になってしまうってわけだ。 
 大人になってからの「痛い目」はえぐいぞ? 普通に(貴族だったら)「爵位剥奪」だとか、罰金だとか、追放‥とかいうペナルティーを食らう。皇族にそれをやったら「不敬罪! 」で一発アウトだ。
 でも‥そんなペナルティーが無くても‥常識的に人を見掛けで判断するとか、まともな人間ならしないだろうにねえ‥って思ったり。少なくとも、あたしはしないぞ? 
 ‥国民性の違いなのかねぇ‥。(※ この世界の仕様です)

 (国民性のことは今はちょっと脇に置いておいて)その時からリタのことはなんとな~く「面倒くさい子なのかな? 」とは思ってたけど、あたしは「転生10回目の大人」だし、それこそ「同級生の付き合いも大事だな」「大人なあたしが我慢してやろう」って程度に思ってたんだ。
 だけど、リタは思った以上にあたし(リタ的にはあたし自身というより「同じローブ同士の同類」)に執着してたみたいだった。
 あの後、結局あたしたちの昼食会に参加して、いつもの如くワトソンが
「またなんか言われたのか? ホント、このガッコカスだな」
 って言ったのを聞いて
「それだけですか? ワトソン先輩。先輩だし、それこそ友だちなら「誰に言われたんだ! 」「そいつに文句言いに行ってやろう」位言ってあげて欲しいです。ハヅキちゃんが可哀そう‥」
 ってリタが言ったのには‥なんか驚いた。驚いたっていうか‥「カチン」と来た。
 なんであたしが言ってないことを、あたかもあたしの意見みたいに言って、あたしの友だちであるワトソンを非難してるんだ? 
 って思ったんだ。
 それに‥
 あたしはあたしのこと、可哀そうだなんて思ってないぞ? 
 なんか、もう「無理」って思った。
 でも、「なんか君とは友だちやってらんない。無理」っていうわけにもいかない。(何故って大人だから‥)ぐっと我慢して、俯いて‥怒りが収まるのを待った。
 付き合いが長い地元組三人には「あたしが怒りを我慢してる」ってのは分かっただろう。だけど、リタは
「ほら、ハヅキちゃん泣きそうになってる」
 って言った。
 はぁ!? 
 ワトソンは「へ? 」って顔で首を傾げてるし、トーマスとエイミーは‥あからさまに嫌そうな顔。
 ワトソンは「ハヅキがそんなことで泣くわけないじゃん? 」って思ってるっぽいし、トーマスとエイミーは、(それ以前のリタの発言)「ハヅキちゃん可哀そう」って言葉に怒ったみたいだ。
 だけど、皆リタが下級生だし、ろくに知らない人だから、それ以上何も言うこともなく、その日は無言で食事を終えた。
 あたしはそれからリタを三人との昼食に連れて行くことはなかった。 
 そのことについて(まさか、あんたが三人に嫌われてるから、って言うわけにはいかないから)
「エイミーが人見知りして‥なんか気の毒だったから」
 って、エイミーを理由に使わせてもらった。
 リタは「そ? 」って別に気にしてない様だった。
 でも、その後からだった。トーマスから「この頃リタって子によく遭う」って聞かされたのは。
 苦情って程ではない。
 別に話し掛けられたりするわけでもないらしい。
 ただ
「あたしもあなたの気持ちはわかる」
 って‥そう呟いてるのを聞いた‥らしい。
 なんだと!? アンタにトーマスのどんな気持ちが分かるってんだ!?
 あたしがムカッとしていると、トーマスは苦笑いして、
「イケメンのワトソンといつも一緒に居るから「引き立て役」みたいな扱いされてるって思われたのかも。結構これよく言われるんだ」
 って続けた。 
 それから、ほんの小声で
 僕も「可哀そう」って思われたのかも。
 って言った。
 エイミーが、眉をきゅっと寄せて不機嫌な表情になって、
「‥なんて言われるの? 」
 って聞いた。
 声が‥
 すっごく怒ってる。温度にして20℃くらいは下がってそうな声。
 トーマスが一瞬ビクッとなって、次の瞬間また苦笑いして、
「「よくワトソン君と一緒に居れるわよね。貴方と一緒に居たらワトソン君まで変な目で見られるって思わないの? ワトソン君可哀そう」はよく言われるね。後は‥「貴方ワトソン君と一緒に居て、恥ずかしくならない? 皆から比べられてるなって‥自覚ないの? 」って嫌味言われたり「ワトソン君はカッコイイから皆お近づきになりたいのに、ずっと貴方が傍にいたらワトソン君と一緒に居たい人たちが傍にいけないじゃない? 」って言われたりする」
 って言った。
 トーマスの言葉はワトソンにとって「寝耳に水」だったらしく、「誰だ!? 誰に言われた!? 」って火のように怒りだした。 
 それはあたしも同じだ。
 なんだと!?
 この学校ホンマ、カスばっかりやんけ!! 
 心底そう思った。 
 だけど、直接嫌味言わなくてもリタだって「言わんとしてること」は同じだ。 
 リタには「悪気」はないけど、悪気がないからいいってわけではない。「私のことも言ってる、貴方のことだけ言ってるわけじゃない」って言うかもしれないけど‥そもそも、自分の考えを人に押し付けるのはよくない。
 リタをそのままにしておくことは出来ないって思った。
「リタは‥ 
 リタは自覚はないし、悪気もないんだろうけど‥ワトソンに勝手な思い込みで暴言吐いて、あたしやトーマスに対しては勝手に気持ちを強要してきた。
 勝手な気持ちの押し付けは‥迷惑以外なにものでもない。
 あたしは‥リタの言動が許せないって思ってる」
 そう言ったあたしを皆は同調はしなかったが、止めることもなかった。

 リタにあたしの気持ちを精一杯丁寧に分かりやすく‥きつい口調にならないように言うと、リタは
「貴女は‥違うって思ってた。あたしと同じだって思ってた」
 って言った。
 俯いたリタの足元に涙の雫がいくつも落ちた。
 この間あたしたちを揶揄った男の子たちが
「お~い。ローブ同士が仲間割れか? 」
 って揶揄って、リタを突き飛ばした。
 リタのローブがパサリと落ちる。
 その顔は、

 あたしが憧れるクールビューティーな人形顔だった。
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