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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです!
もしかしてあったかもしれない人生(side ハヅキ)
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目が覚めて、ちょっとぼーとしてから、
‥笑ってしまった。
なぁに? 最高の美女生活を送れって! おっかしい!
誰もあたしを最高の美女だなんて言わないよ?
仮にあたしが最高の美女なんだったら、両親がそういう風に育てない?
「お前は最高の美女だから、攫われたら困るから出掛けるなら護衛をつけろ」
とか言うんじゃない?
‥いや、護衛はついてたな。
そんなに出歩くタイプじゃなかったからそんな機会がなかっただけで、一度教会に行きたいって言った時には護衛を三人もつけられたな。あの時は子供からノーカン? そういえば‥あたしは割と小さなころからローブを被っていて、素顔(最高の美女?(笑))では一人で出歩いたことなかった。もし、ホントにあたしが(この世界では)最高の美女?(笑)って言うんなら‥
「何!? 教会でボランティア!? 護衛もつけず一人で出歩く!? 攫われでもしたらどうするんだ! そんなことやめなさい! 」
って色々なことを止められてただろ。
そんなことはうちは全然なかった。
他には‥
初等科の時「美人」って言われてた子は親からどんな待遇をされてたっけ‥
ええと‥
「貴女は可愛いの。将来きっといい所にお嫁に行けるわ! だから、そんな子と関わっちゃダメよ? 」
ってローブ着たあたしを睨みながら言い聞かせられてたな。(で、それを聞いたあたしの幼馴染たち(特にワトソン)がキレてあたしの父さんにちくって、父さんが笑顔で「娘さんは美人らしいから、きっと良縁に恵まれますよ♡私の知り合いじゃなくてもね」って言ったんだよ。で、父さんの知り合い(ここらの名だたる金持ち、良家)は、「あの人に睨まれたくない」ってその子の家と縁を切ったんだよ。ワトソンってさ、あたしたちが何か嫌なこと言われたら大概は自分で出て行って(その嫌なこと言った子に)喧嘩を吹っ掛けたりしたんだけど、なんかワトソン的に「これは許さん」みたいなラインがあるらしく、そこを超えたら父さんにチクってたんだよね。‥どんな基準だったんだろう ←※ ワトソンは子ども同士の喧嘩はチクらない。相手の親が出て来た時、特に、ワトソン的に「これは許さん。金の力を使って仕返しして欲しい」と思った時です)
他はどんな可愛がられ方してたっけ、そうそう
「この服も似合う~! 可愛い子って何着ても似合うから、買い物が楽しいわ~。貴女はいつもそのローブなのね? まあ、何着てても同じなら選ぶだけ時間が無駄よね? 」
ってローブ着たあたしをあざ笑いながら「可愛い我が子」を自慢してたっけ。(で、それを聞いたあたしの幼馴染たち(特にワトソン)がキレてあたしの父さんにちくって、父さんが笑顔で「娘さんは可愛いらしいからそれこそ、何着ても可愛いんじゃないですか? 」って言って‥そこらの「流行りの服屋」に手をまわしたんだったっけ‥「あの子に売るならウチを敵に回すと思え」的なことを言ったとか言わなかったとか‥言わないだろうと思うけど結果的にそうなったから「言ったんじゃない? 」っていう話になったんだよね(まあ、服屋的にそういう感じの圧を感じ取ったってのが正解だろう)で、その子はそれからや有名店や流行りの服屋、そういうことを良しとしない良識のある服屋から服を買えなくなった‥とか)
‥うちの父さん、ヤバない??
いや、今はそういう話(うちの父さんがヤバいって話)してんじゃなく‥可愛い子を持った親がどういう風に子供に接するかって話だ。
人を馬鹿にするのは問題外なんだけど、可愛い娘を持った親ってのは「嬉しくって」「誇らしくって」「自慢したくて」そういう態度を取りがちなのは、けっこう「あるある」だった。周りも「分かる~」「娘が可愛いと自慢しちゃうよね~」ってそのことを「当たり前のこと」って認識してた。
でも、ウチはそうでもなかった。
変に過保護じゃなかった。それどころか、自由にやらせてくれてた。
「可愛い子」が「性格ワルイ子」になる最大の原因「貴女は可愛くって、他の子とは違う」という「刷り込み」を行ってこられなかった。
両親や兄があたしに甘かったのは、別にあたしの顔の造作云々じゃなかった気がする。父さんはきっとあたしの顔がどうであれ自分の家族だからって理由で愛してた。父さんは‥家族だけじゃなく、自分に近しい人たちにも優しかった、ただ優しいんじゃなくて、筋が通ってた。
可愛いから、知り合いだから贔屓するとかじゃなかった。(でも、あたしたち兄妹に対しては盲目的に‥贔屓もあったかもしれんね)
ちょっとやりすぎなとこもあったけど、両親や兄はこの世界には珍しい「できた人たち」なんだと思う。その理由は神様だろう。神様がそういう人たちをあたしの両親、家族、幼馴染に用意してくれたってことだ。そして、それは「この世界の住人じゃない」ナガツキさんも同じで‥そのナガツキさんに育てられたオズワルドさんたちもそういう風に育った。
そんなオズワルドさんだから、年中ローブを被ってる怪しい女なあたしを選んでくれた(と、ハヅキは思い込んでいる。実際は、オズワルドはもともとハヅキの顔に一目惚れしている)
オズワルドさんはこの世界では珍しい「顔の造作関係なく、人を人柄で見る」できた人なんだ。
オズワルドさんに会えてラッキーだった。
普通、そんなラッキーなことない。世間はそう甘くない。
普通は‥今までみたいに‥「誰でもいい」って思ってるような人じゃなきゃあたしを選ばない。ローブを年中被った自分に自信のない女とか、どんなに仕事が出来ようと嫌でしょ?
普通だったら、結婚相手は「その世界の価値観」を持ってる人を探さないといけないんじゃない? そうしないと、転生を繰り返して‥練習したことにならないんじゃない?
あたしは「普通の魂」じゃないんだから。
「稼ぎもいいし、いっか」「別に顔が気になるのは若いうちだけ」「社交界にパートナーとして連れて行かなきゃならないなら妻の顔の造作も気になるかもしれんが、そうでもなかったら別に他人に紹介する必要もないし、どうでもいい」って「割り切って」「妥協して」って人だけが、あたしを選ぶ。それが普通。
あたしは「その世界の普通」に他の人たちの様に、傷ついて、でも「仕方がないか」って受け入れて、諦めるってことを覚えたりしながら‥なんとなく人生を終える。
今まで、でもそのことに疑問なんて感じたことなかった。
なのに‥
この人生は、それは‥イヤだ。
そんな扱いされるのが嫌っていうより‥オズワルドさん以外っていうのが嫌だ。
もう最後だからいいじゃない。許してよ。そもそもさ、同じ時代にそういう魂が生まれちゃったってのは「神様側のミス」なんだしさ。
そんな感じで(担当さんと話た後も)特に何も変わらず、何にも気にせず生きてたんだけど、担当さんがさ、再び夢(?)の中に出てきて
「ちょっとはちやほやされてみなって! 街にふらっと遊びに行くとかさ」
ってあんまり言うもんだから、おしゃれして(メイドさんが張り切ってしてくれた)街にふらっと遊びに出てみた。
ローブは無し。いつもの白衣とくたびれたズボンじゃなく、今日はワンピースなんかはいちゃてさ、歳の近いメイドさんと二人街ブラだ。メイドさんの名前はリリー。リリーが街中でも「お嬢様」って呼ぶもんだから「今日は、ハヅキって呼んで」って言って「ハヅキちゃん」「リリーちゃん」って呼び合うことにした。お嬢様って、ちょっとこそばがゆい。いつも教会では「おい! ハヅキ! 包帯の在庫切れてたぞ! 無くなりそうになったら買って来とけよ! 」とかそういう扱い受けてて、それに慣れちゃってるからさ~。
可愛いくって、お花の匂いのするお店とか、初めて。雑貨屋さんって言うらしい。宝石みたいな石やガラスがが付いた高くないアクセサリーやら、小さなオルゴール、匂い袋なんかを売ってる。ああ、お花の匂いはこの匂い袋か、って思ってたらハンドクリームやなんかもほのかにいい匂いがする。でも、効き目はどうなんだろ。保湿性は十分?成分は? そんなことを考えていたら「ハヅキちゃん顔が仕事の顔になってるよ」ってリリーに言われた。
「今日は年頃の女の子を研究する日ですからね。気を抜かないでください。ちょっとおばさん臭いとこあるからハヅキちゃんは」
って苦笑いの説教おまけつき。
「何か欲しいものあった? 」
って聞かれて慌てて店内を見回す。
小さな石のついた細いチェーンのネックレス。可愛い。ぼ~と見てたらお店のおねーさんが
「これをカップルでお揃いで持つのが流行っているんですよ。でも、この前親友同士で持と! って女の子たちが買っていかれましたよ♪
ああ‥お嬢さんは凄くお綺麗ですね。凄くモテそうだけど‥でも、一途なんじゃないですか? あたし、そういうの分かるんです」
って「身があるような無いような」フワフワした話をして来た。
つい、ふふって笑ってしまう。
「当たりでしょ? 恋人さん羨ましいな~。こんな可愛い彼女独り占め出来て」
って笑顔で話を続ける店員さん。
うん、ふわふわして可愛いけど、ちょっとしつこい。もういいかな。話は簡潔に必要なことだけ‥ってまた仕事の「報告モード」になってた。
笑顔キープ。
「これ‥買います。彼とお揃いで持とうかな」
話聞いてましたよアピールで何となく言っただけなんだけど、店員さんのテンションも、リリーのテンションも上がってるから‥まあ、いっかって思った。
ホントにいる物だけ。
欲しいから買うなんて買い物‥そういえば今までしたことなかった気がする。
無駄なものを買うお金がない時もあったけど、そうじゃないときも過去にはあった。でも「どうせ、こんなの似合わない」とか「服を買うなら「好きなもの」より「少しでも似合いそうなもの」」って買い方しかしてこなかった。
そういえば‥おしゃれにハマった時もあったけど、「この口紅の色かわい~! でも、あたしに似合わないからな~」「なら、それに似たお客様にもお似合いの色目のものありますよ」「え~? あ、でもこれも可愛い。試してみようかな~」って‥今のリリーみたいに店員さんと会話しながら買い物を楽しんだこととかなかった。
これが合う。で、この色、この服で間違いなし。
それで、間違いはないんだけど‥今思えば面白くなかったね。
「使うの楽しみ~」
先に会計を済ませてウキウキ顔のリリー。‥なんかフワフワして‥可愛いね。今度はオズワルドさんと来ようかな。いや、こういうお店は女の子同士で来るのに限るかな。
「何色の石にする? ハヅキちゃんの彼氏さんの目の色とかに合わせてもいいよね。で、彼氏さんがハヅキちゃんの目の色の石を持つの」
リリーがあたしの目の色の石を手にそういうと、店員さんも
「そういう方が多いですよ。あと、そういうの全然関係なしに単純に好きな色でもいいと思いますし」
好きな色‥そういえば知らないな~。
オズワルドさんの瞳の色! いいな! 持ちたい! 暗闇では赤く輝くアンバーの瞳。大好きなんだ。
そう思って探したけど、アンバーはなかった。で、赤い石。残念。でも、これを身につけたらいつもオズワルドさんを近くに感じられる感じ。
「使うの楽しみ‥」
思わず、さっきのリリーと同じ言葉を口に(ホントに自然に)出していたあたしだった。
その後は「お母様とのお出かけの時に着るワンピース(と、デート用)」をリリーに選んでもらった。
どの店の店員さんも街行く人も信じられない位フレンドリーで優しくって‥フワフワして‥楽しい時間だった。誰もあたしを「嫌な目」や「変な目」で見る人はいなかった。
馬車で帰りながらリリーが
「楽しかったですか? お嬢様。
お嬢様はご立派な方ですが‥時々はこうして肩の力を抜いて息抜きしてください。そして、こうして‥普通の女の子みたいな時間も過ごしてくださいね。
折角そんなにお綺麗なのに勿体ないですよ」
って苦笑いして言った。
「少しは、あたしたちも頼ってくださいね」
とも。
息抜き‥
人を頼る‥。
いや、別に私は自分を律して「立派な生活」を心掛けているわけではなくって根っからの仕事人間なだけなんだけど‥
まあ‥でもね。そういう‥「面白みのない人間」に見えてたのかも。それで、周りに威圧感‥じゃないけど「なんか堅苦しいな」みたいな感情を抱かせてたかも。
片意地張って、無理してるみたいに見えたのかも。
それは、別に問題じゃないけど、「それでいい」わけでも‥ないかも。
リリーと一日一緒にいて楽しかった。色々見て回ったけど、振り回された感はゼロだった。そういうのって、改めて考えたら凄い。
いつか、あたしも一緒に居てリラックスできるような雰囲気をもつ大人の女になれたらいいなあ。
なろうと思ってなるわけではなく、きっと、普通のお嬢さんとして過ごしてたら‥
こういう生活もあったのかもしれない。
友だちとお茶して、買い物して、結婚して‥
誰にも忌諱の目で見られることもなく、それどころか、好意的な目で見られる‥穏やかな「お嬢様ライフ」。今世は、この顔と身分(特に顔)でそれが十分可能だったらしい。
なのにあたしは、
勝手に「自分一人でも生きていけるように」って誰も頼らず、誰も信じず‥がむしゃらに走り続けて来た。
実はね、全然後悔はしてない。でも‥周りの人はどう思ってただろうかって‥今初めて思ったんだ。
‥笑ってしまった。
なぁに? 最高の美女生活を送れって! おっかしい!
誰もあたしを最高の美女だなんて言わないよ?
仮にあたしが最高の美女なんだったら、両親がそういう風に育てない?
「お前は最高の美女だから、攫われたら困るから出掛けるなら護衛をつけろ」
とか言うんじゃない?
‥いや、護衛はついてたな。
そんなに出歩くタイプじゃなかったからそんな機会がなかっただけで、一度教会に行きたいって言った時には護衛を三人もつけられたな。あの時は子供からノーカン? そういえば‥あたしは割と小さなころからローブを被っていて、素顔(最高の美女?(笑))では一人で出歩いたことなかった。もし、ホントにあたしが(この世界では)最高の美女?(笑)って言うんなら‥
「何!? 教会でボランティア!? 護衛もつけず一人で出歩く!? 攫われでもしたらどうするんだ! そんなことやめなさい! 」
って色々なことを止められてただろ。
そんなことはうちは全然なかった。
他には‥
初等科の時「美人」って言われてた子は親からどんな待遇をされてたっけ‥
ええと‥
「貴女は可愛いの。将来きっといい所にお嫁に行けるわ! だから、そんな子と関わっちゃダメよ? 」
ってローブ着たあたしを睨みながら言い聞かせられてたな。(で、それを聞いたあたしの幼馴染たち(特にワトソン)がキレてあたしの父さんにちくって、父さんが笑顔で「娘さんは美人らしいから、きっと良縁に恵まれますよ♡私の知り合いじゃなくてもね」って言ったんだよ。で、父さんの知り合い(ここらの名だたる金持ち、良家)は、「あの人に睨まれたくない」ってその子の家と縁を切ったんだよ。ワトソンってさ、あたしたちが何か嫌なこと言われたら大概は自分で出て行って(その嫌なこと言った子に)喧嘩を吹っ掛けたりしたんだけど、なんかワトソン的に「これは許さん」みたいなラインがあるらしく、そこを超えたら父さんにチクってたんだよね。‥どんな基準だったんだろう ←※ ワトソンは子ども同士の喧嘩はチクらない。相手の親が出て来た時、特に、ワトソン的に「これは許さん。金の力を使って仕返しして欲しい」と思った時です)
他はどんな可愛がられ方してたっけ、そうそう
「この服も似合う~! 可愛い子って何着ても似合うから、買い物が楽しいわ~。貴女はいつもそのローブなのね? まあ、何着てても同じなら選ぶだけ時間が無駄よね? 」
ってローブ着たあたしをあざ笑いながら「可愛い我が子」を自慢してたっけ。(で、それを聞いたあたしの幼馴染たち(特にワトソン)がキレてあたしの父さんにちくって、父さんが笑顔で「娘さんは可愛いらしいからそれこそ、何着ても可愛いんじゃないですか? 」って言って‥そこらの「流行りの服屋」に手をまわしたんだったっけ‥「あの子に売るならウチを敵に回すと思え」的なことを言ったとか言わなかったとか‥言わないだろうと思うけど結果的にそうなったから「言ったんじゃない? 」っていう話になったんだよね(まあ、服屋的にそういう感じの圧を感じ取ったってのが正解だろう)で、その子はそれからや有名店や流行りの服屋、そういうことを良しとしない良識のある服屋から服を買えなくなった‥とか)
‥うちの父さん、ヤバない??
いや、今はそういう話(うちの父さんがヤバいって話)してんじゃなく‥可愛い子を持った親がどういう風に子供に接するかって話だ。
人を馬鹿にするのは問題外なんだけど、可愛い娘を持った親ってのは「嬉しくって」「誇らしくって」「自慢したくて」そういう態度を取りがちなのは、けっこう「あるある」だった。周りも「分かる~」「娘が可愛いと自慢しちゃうよね~」ってそのことを「当たり前のこと」って認識してた。
でも、ウチはそうでもなかった。
変に過保護じゃなかった。それどころか、自由にやらせてくれてた。
「可愛い子」が「性格ワルイ子」になる最大の原因「貴女は可愛くって、他の子とは違う」という「刷り込み」を行ってこられなかった。
両親や兄があたしに甘かったのは、別にあたしの顔の造作云々じゃなかった気がする。父さんはきっとあたしの顔がどうであれ自分の家族だからって理由で愛してた。父さんは‥家族だけじゃなく、自分に近しい人たちにも優しかった、ただ優しいんじゃなくて、筋が通ってた。
可愛いから、知り合いだから贔屓するとかじゃなかった。(でも、あたしたち兄妹に対しては盲目的に‥贔屓もあったかもしれんね)
ちょっとやりすぎなとこもあったけど、両親や兄はこの世界には珍しい「できた人たち」なんだと思う。その理由は神様だろう。神様がそういう人たちをあたしの両親、家族、幼馴染に用意してくれたってことだ。そして、それは「この世界の住人じゃない」ナガツキさんも同じで‥そのナガツキさんに育てられたオズワルドさんたちもそういう風に育った。
そんなオズワルドさんだから、年中ローブを被ってる怪しい女なあたしを選んでくれた(と、ハヅキは思い込んでいる。実際は、オズワルドはもともとハヅキの顔に一目惚れしている)
オズワルドさんはこの世界では珍しい「顔の造作関係なく、人を人柄で見る」できた人なんだ。
オズワルドさんに会えてラッキーだった。
普通、そんなラッキーなことない。世間はそう甘くない。
普通は‥今までみたいに‥「誰でもいい」って思ってるような人じゃなきゃあたしを選ばない。ローブを年中被った自分に自信のない女とか、どんなに仕事が出来ようと嫌でしょ?
普通だったら、結婚相手は「その世界の価値観」を持ってる人を探さないといけないんじゃない? そうしないと、転生を繰り返して‥練習したことにならないんじゃない?
あたしは「普通の魂」じゃないんだから。
「稼ぎもいいし、いっか」「別に顔が気になるのは若いうちだけ」「社交界にパートナーとして連れて行かなきゃならないなら妻の顔の造作も気になるかもしれんが、そうでもなかったら別に他人に紹介する必要もないし、どうでもいい」って「割り切って」「妥協して」って人だけが、あたしを選ぶ。それが普通。
あたしは「その世界の普通」に他の人たちの様に、傷ついて、でも「仕方がないか」って受け入れて、諦めるってことを覚えたりしながら‥なんとなく人生を終える。
今まで、でもそのことに疑問なんて感じたことなかった。
なのに‥
この人生は、それは‥イヤだ。
そんな扱いされるのが嫌っていうより‥オズワルドさん以外っていうのが嫌だ。
もう最後だからいいじゃない。許してよ。そもそもさ、同じ時代にそういう魂が生まれちゃったってのは「神様側のミス」なんだしさ。
そんな感じで(担当さんと話た後も)特に何も変わらず、何にも気にせず生きてたんだけど、担当さんがさ、再び夢(?)の中に出てきて
「ちょっとはちやほやされてみなって! 街にふらっと遊びに行くとかさ」
ってあんまり言うもんだから、おしゃれして(メイドさんが張り切ってしてくれた)街にふらっと遊びに出てみた。
ローブは無し。いつもの白衣とくたびれたズボンじゃなく、今日はワンピースなんかはいちゃてさ、歳の近いメイドさんと二人街ブラだ。メイドさんの名前はリリー。リリーが街中でも「お嬢様」って呼ぶもんだから「今日は、ハヅキって呼んで」って言って「ハヅキちゃん」「リリーちゃん」って呼び合うことにした。お嬢様って、ちょっとこそばがゆい。いつも教会では「おい! ハヅキ! 包帯の在庫切れてたぞ! 無くなりそうになったら買って来とけよ! 」とかそういう扱い受けてて、それに慣れちゃってるからさ~。
可愛いくって、お花の匂いのするお店とか、初めて。雑貨屋さんって言うらしい。宝石みたいな石やガラスがが付いた高くないアクセサリーやら、小さなオルゴール、匂い袋なんかを売ってる。ああ、お花の匂いはこの匂い袋か、って思ってたらハンドクリームやなんかもほのかにいい匂いがする。でも、効き目はどうなんだろ。保湿性は十分?成分は? そんなことを考えていたら「ハヅキちゃん顔が仕事の顔になってるよ」ってリリーに言われた。
「今日は年頃の女の子を研究する日ですからね。気を抜かないでください。ちょっとおばさん臭いとこあるからハヅキちゃんは」
って苦笑いの説教おまけつき。
「何か欲しいものあった? 」
って聞かれて慌てて店内を見回す。
小さな石のついた細いチェーンのネックレス。可愛い。ぼ~と見てたらお店のおねーさんが
「これをカップルでお揃いで持つのが流行っているんですよ。でも、この前親友同士で持と! って女の子たちが買っていかれましたよ♪
ああ‥お嬢さんは凄くお綺麗ですね。凄くモテそうだけど‥でも、一途なんじゃないですか? あたし、そういうの分かるんです」
って「身があるような無いような」フワフワした話をして来た。
つい、ふふって笑ってしまう。
「当たりでしょ? 恋人さん羨ましいな~。こんな可愛い彼女独り占め出来て」
って笑顔で話を続ける店員さん。
うん、ふわふわして可愛いけど、ちょっとしつこい。もういいかな。話は簡潔に必要なことだけ‥ってまた仕事の「報告モード」になってた。
笑顔キープ。
「これ‥買います。彼とお揃いで持とうかな」
話聞いてましたよアピールで何となく言っただけなんだけど、店員さんのテンションも、リリーのテンションも上がってるから‥まあ、いっかって思った。
ホントにいる物だけ。
欲しいから買うなんて買い物‥そういえば今までしたことなかった気がする。
無駄なものを買うお金がない時もあったけど、そうじゃないときも過去にはあった。でも「どうせ、こんなの似合わない」とか「服を買うなら「好きなもの」より「少しでも似合いそうなもの」」って買い方しかしてこなかった。
そういえば‥おしゃれにハマった時もあったけど、「この口紅の色かわい~! でも、あたしに似合わないからな~」「なら、それに似たお客様にもお似合いの色目のものありますよ」「え~? あ、でもこれも可愛い。試してみようかな~」って‥今のリリーみたいに店員さんと会話しながら買い物を楽しんだこととかなかった。
これが合う。で、この色、この服で間違いなし。
それで、間違いはないんだけど‥今思えば面白くなかったね。
「使うの楽しみ~」
先に会計を済ませてウキウキ顔のリリー。‥なんかフワフワして‥可愛いね。今度はオズワルドさんと来ようかな。いや、こういうお店は女の子同士で来るのに限るかな。
「何色の石にする? ハヅキちゃんの彼氏さんの目の色とかに合わせてもいいよね。で、彼氏さんがハヅキちゃんの目の色の石を持つの」
リリーがあたしの目の色の石を手にそういうと、店員さんも
「そういう方が多いですよ。あと、そういうの全然関係なしに単純に好きな色でもいいと思いますし」
好きな色‥そういえば知らないな~。
オズワルドさんの瞳の色! いいな! 持ちたい! 暗闇では赤く輝くアンバーの瞳。大好きなんだ。
そう思って探したけど、アンバーはなかった。で、赤い石。残念。でも、これを身につけたらいつもオズワルドさんを近くに感じられる感じ。
「使うの楽しみ‥」
思わず、さっきのリリーと同じ言葉を口に(ホントに自然に)出していたあたしだった。
その後は「お母様とのお出かけの時に着るワンピース(と、デート用)」をリリーに選んでもらった。
どの店の店員さんも街行く人も信じられない位フレンドリーで優しくって‥フワフワして‥楽しい時間だった。誰もあたしを「嫌な目」や「変な目」で見る人はいなかった。
馬車で帰りながらリリーが
「楽しかったですか? お嬢様。
お嬢様はご立派な方ですが‥時々はこうして肩の力を抜いて息抜きしてください。そして、こうして‥普通の女の子みたいな時間も過ごしてくださいね。
折角そんなにお綺麗なのに勿体ないですよ」
って苦笑いして言った。
「少しは、あたしたちも頼ってくださいね」
とも。
息抜き‥
人を頼る‥。
いや、別に私は自分を律して「立派な生活」を心掛けているわけではなくって根っからの仕事人間なだけなんだけど‥
まあ‥でもね。そういう‥「面白みのない人間」に見えてたのかも。それで、周りに威圧感‥じゃないけど「なんか堅苦しいな」みたいな感情を抱かせてたかも。
片意地張って、無理してるみたいに見えたのかも。
それは、別に問題じゃないけど、「それでいい」わけでも‥ないかも。
リリーと一日一緒にいて楽しかった。色々見て回ったけど、振り回された感はゼロだった。そういうのって、改めて考えたら凄い。
いつか、あたしも一緒に居てリラックスできるような雰囲気をもつ大人の女になれたらいいなあ。
なろうと思ってなるわけではなく、きっと、普通のお嬢さんとして過ごしてたら‥
こういう生活もあったのかもしれない。
友だちとお茶して、買い物して、結婚して‥
誰にも忌諱の目で見られることもなく、それどころか、好意的な目で見られる‥穏やかな「お嬢様ライフ」。今世は、この顔と身分(特に顔)でそれが十分可能だったらしい。
なのにあたしは、
勝手に「自分一人でも生きていけるように」って誰も頼らず、誰も信じず‥がむしゃらに走り続けて来た。
実はね、全然後悔はしてない。でも‥周りの人はどう思ってただろうかって‥今初めて思ったんだ。
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※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
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