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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです!
聖女協会は「マスコット」を求め、治療師協会は「実力者」を求めている。
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聖女は、
才色兼備であれ。
品行方正であれ。
優しい声、清らかで‥優しく美しい笑顔。
‥取り敢えず表向きだけでも。
寧ろ、表向きにだけ気をつければそれで問題ない。
湖で優雅に泳ぐハクチョウの如く。水面下でもがく足は見せない。
笑顔で傷を癒し、病気の苦しみを取り去り、痛みを消す。
病で傷ついた心に寄り添い、傷の癒えた後まだ自由に動かせない患部のリハビリに寄り添う。
それが聖女。
一方
治療師は
実力が全て。
全ては患者の治療のために。
結果に向けて足掻く姿こそ見てもらえ。それが患者に安心感を与える。
努力、根性。そういう汗くさいものを前面に出せ!
涙を堪え、汗を流し、(魔力使い過ぎで)鼻血を出しながら治療すべし。
笑顔? そんなん浮かべてる暇があったら次の患者を見ろ!
アフターケア? そういう悠長なもんは聖女に任せとけ!
傷を治せ! 病気を治せ!
それが治療師。
仕事も違うし、患者を取り合うわけでもないのに、なぜか昔から聖女協会と治療師協会は仲が悪い。
聖女と治療師‥個人的な感情ではない。
協会の仲が悪いって話だ。
昔からそうだかったから、「そういうもん」だったし、伝統だからだろう。幹部の年より連中ってのは、「頭が固い」から仕方がない。
「ホントに聖女様っていいよね~♡。アイドルだよね♡。
軽い怪我しか治してくれないけど、痛くないし(※ 聖魔法の「癒しの風」は痛くない。逆に治療師の治療は普通に痛い。大怪我だったら「いっそ、殺してくれ」って程痛い。ニュアンスで言ったら聖魔法は羽でふわっと患部に触れる感じで、治療術は消毒液をドボドボかけて布でガシガシする感じ? )
優しいし~。
美しい。
まさに天使様って感じ‥」
ほーッと夢見る様な顔で言ったのは、別の班の若手治療師アインツ(初級)だ。
忙しかった午前中の治療も終わり、今は昼休みだ。といって、いっぺんに昼休憩を取れるわけではないので、先にハヅキ、アインツの若手組が休憩を取らせてもらっている。
折角の休憩時間だというのにハヅキにとっては、碌に話したこともないアインツとってことで少々居心地悪い時間を過ごしていた。
一方のアインツはそんなこと気にしてない様子で、今も「脈略もない話」を一方的にしていて、ハヅキは苦笑いで聞き役に徹していた。
治療師はそれぞれ得意不得意、出来る治療出来ない治療があるから、そういうのを考慮したチームで治療するのが一般的なんだ。だけど、今日はダンさんが家の用事で休みなので急遽応援に来てくれているのだ。
アインツもダンさん同様怪我の治療に強い治療師だ。
アインツは中途採用組が多いウチの教会には珍しい新規採用(※ 新卒を採用する感じ)だ。学業成績が特に優秀だったから採用された‥といいながら実は協会幹部の御子息を押し付けられた感じなんだ。
そして、実はハヅキと同期(歳も同じ)なんだけど、出身校が違うから面識はないうえに、8年の治療経験があるハヅキと違って学校で治療を学んだだけのホントの新人だ。
仕事は仕事。プライベートはプライベートってタイプのごく普通の若者。
夢は「偶々仕事で聖女様と協力する機会があって出会ったんです♡」ってご縁でお付き合い→ 後結婚すること、らしい。
因みに‥
「結婚する聖女様は、綺麗系より可愛い系がいいな~♡ 髪の毛はピンクブロンズとかで勿論サラサラよりフワフワ派! あと~頬っぺたがふわふわ~な感じの子♡ 見た目重視とかじゃないんだけど(※ この国は基本見た目重視だからこの発言は当てにならない)あんまり好みから離れた子だと毎日顔を合わせるのに‥キツイじゃない? 」
らしい。
その後もアインツは
「差別はいけないって分かってるけど‥獣人はさ、やっぱさ‥ね? 身体つきとかやっぱり違うわけじゃない。
筋肉質な子多いし。
身長とかも‥高い子多いじゃない? 悪いわけじゃないけど‥俺より大きい子って‥アレだ。見上げなきゃいけないの、不便じゃない? (可愛くないし‥はいわないけど。俺ってほら、常識人だから)
使用人雇うなら丈夫な子がいいけど、お嫁さんなら華奢な子がいいな~やっぱり。
僕はお嫁さんには癒しを求めたいわけ。
だから、断然お嫁さんにするなら、ちっちゃくて可愛い子がいい! 」
と自分の理想を語り続けた。
見た目重視じゃないとかよく言えたもんだって思う。
でも、思えば‥この世界は「そういうもん」だ。
みんな口では「差別はよくない」って言いながら、(勿論言いもしない人間も多いが、そういうのは人間としてどうだと思う。‥問題外だ)表面だけ取り繕って‥やんわりと「こういうの方が好き」って言う。
こういうのが嫌い
とは言わないだけで、普通に「こういうの」を差別している。
ハヅキは「ふうん」って言うだけだ。
イイとか悪いとか言うのも馬鹿馬鹿しいからね。
だから適当に
「なるほどねぇ」
って(聞いてたよアピールで)言ってみた。
それだけでアインツも満足だ。あとは機嫌よさげに休憩所にゴロンと横になった。ハヅキ(異性)がいるとか気にしない。そもそも、ハヅキは恋愛の対象外だから別にどう思われようと構わない。
ハヅキは時分の分だけお茶を汲みながら
そういえば‥
って考えた。
聖女様って‥そういえば見たことない。この教会にはいないし(なんせ給料が高いからこんな普通‥よりはちょっと貧乏寄り‥な教会には雇えない)高級な教会マリエールは、アンチ聖女派だった。
「ぬるい治癒で高額ぼったくるとか詐欺だ! うちはそんなぬるい治療しないぞ」
あの教会幹部はとにかく聖女に対して辛辣だった。多分‥自分たちより「楽して(マリエール教会幹部主張)」高額の治療費を請求する聖女を憎く思っていたのだろう。
高級なといっても、治療術には(勿論聖女の治癒魔法にも)法定価格があり、不当な請求は出来ない。だから、どこそこの教会の収入が高いというのは、即ち患者数が多いか寄付金が高いかって話なんだ。有名な教会だから治療費が高い‥とかいうわけではない。
例えばマリエールは患者に貴族が多いから、治療費の外に寄付金が多く支払われてた、ってことだな。
それが聖女なら、寄付の額が半端じゃない。それこそ、「それがメインだろ」って位多い。そういうところがマリエールが「聖女協会許せない! 」「ぼったくりだ! 」と思う点だった。
‥そうそう。あんまり日常茶飯事に聖女の悪口を幹部が言ってたから何とな~くあたしも聖女アンチ寄りになったんだよね。初等科の時にお世話になってた教会も‥そういえばアンチ聖女派だった。
そんな感じでつい、
「聖女様‥かあ」
って呟くと、耳ざとくアインツがその呟きを拾い、
「何? ハヅキ見たことないの? まあ‥平民は見る機会無いよねえ」(※ アインツはハヅキが貴族だってこと知らない。ってか、ハヅキがローブを被っている地点で「別に素性知りたいとか思わない」って思ってる。ハヅキは別に隠しているわけではないのだが‥)
って言ってきた。
そして、自分が聖女様と会った「素晴らしい」思い出を語り始めた。自分が貴族だって話も。
‥それこそ、どうでもいいや。
ハヅキは今度も適当に相槌を打つ。
そんなことをしているうちに休憩時間が終わった。
‥なんか、休憩した気しない‥損した気分。
こころの中でコッソリ苦笑いしてハヅキは自分の持ち場に帰って行った。
そんなこんなでその後の治療も問題なく終わり、終業時間。
帰る前の楽しみは何といっても、オズワルドさんへの挨拶だ!
今日も笑顔でオズワルドの部屋を覗きに行ったハヅキは、そこでオズワルドと話す‥治療師協会の幹部を見てしまった。
‥ヤバい。
慌てて逃げようとしたが、あっさり見つかった。
治療師幹部がニヤリと笑い
「ハヅキ、君の報告より随分彼元気そうじゃない」
と言った。
‥ヤバいヤバい‥ヤバいよ!!
才色兼備であれ。
品行方正であれ。
優しい声、清らかで‥優しく美しい笑顔。
‥取り敢えず表向きだけでも。
寧ろ、表向きにだけ気をつければそれで問題ない。
湖で優雅に泳ぐハクチョウの如く。水面下でもがく足は見せない。
笑顔で傷を癒し、病気の苦しみを取り去り、痛みを消す。
病で傷ついた心に寄り添い、傷の癒えた後まだ自由に動かせない患部のリハビリに寄り添う。
それが聖女。
一方
治療師は
実力が全て。
全ては患者の治療のために。
結果に向けて足掻く姿こそ見てもらえ。それが患者に安心感を与える。
努力、根性。そういう汗くさいものを前面に出せ!
涙を堪え、汗を流し、(魔力使い過ぎで)鼻血を出しながら治療すべし。
笑顔? そんなん浮かべてる暇があったら次の患者を見ろ!
アフターケア? そういう悠長なもんは聖女に任せとけ!
傷を治せ! 病気を治せ!
それが治療師。
仕事も違うし、患者を取り合うわけでもないのに、なぜか昔から聖女協会と治療師協会は仲が悪い。
聖女と治療師‥個人的な感情ではない。
協会の仲が悪いって話だ。
昔からそうだかったから、「そういうもん」だったし、伝統だからだろう。幹部の年より連中ってのは、「頭が固い」から仕方がない。
「ホントに聖女様っていいよね~♡。アイドルだよね♡。
軽い怪我しか治してくれないけど、痛くないし(※ 聖魔法の「癒しの風」は痛くない。逆に治療師の治療は普通に痛い。大怪我だったら「いっそ、殺してくれ」って程痛い。ニュアンスで言ったら聖魔法は羽でふわっと患部に触れる感じで、治療術は消毒液をドボドボかけて布でガシガシする感じ? )
優しいし~。
美しい。
まさに天使様って感じ‥」
ほーッと夢見る様な顔で言ったのは、別の班の若手治療師アインツ(初級)だ。
忙しかった午前中の治療も終わり、今は昼休みだ。といって、いっぺんに昼休憩を取れるわけではないので、先にハヅキ、アインツの若手組が休憩を取らせてもらっている。
折角の休憩時間だというのにハヅキにとっては、碌に話したこともないアインツとってことで少々居心地悪い時間を過ごしていた。
一方のアインツはそんなこと気にしてない様子で、今も「脈略もない話」を一方的にしていて、ハヅキは苦笑いで聞き役に徹していた。
治療師はそれぞれ得意不得意、出来る治療出来ない治療があるから、そういうのを考慮したチームで治療するのが一般的なんだ。だけど、今日はダンさんが家の用事で休みなので急遽応援に来てくれているのだ。
アインツもダンさん同様怪我の治療に強い治療師だ。
アインツは中途採用組が多いウチの教会には珍しい新規採用(※ 新卒を採用する感じ)だ。学業成績が特に優秀だったから採用された‥といいながら実は協会幹部の御子息を押し付けられた感じなんだ。
そして、実はハヅキと同期(歳も同じ)なんだけど、出身校が違うから面識はないうえに、8年の治療経験があるハヅキと違って学校で治療を学んだだけのホントの新人だ。
仕事は仕事。プライベートはプライベートってタイプのごく普通の若者。
夢は「偶々仕事で聖女様と協力する機会があって出会ったんです♡」ってご縁でお付き合い→ 後結婚すること、らしい。
因みに‥
「結婚する聖女様は、綺麗系より可愛い系がいいな~♡ 髪の毛はピンクブロンズとかで勿論サラサラよりフワフワ派! あと~頬っぺたがふわふわ~な感じの子♡ 見た目重視とかじゃないんだけど(※ この国は基本見た目重視だからこの発言は当てにならない)あんまり好みから離れた子だと毎日顔を合わせるのに‥キツイじゃない? 」
らしい。
その後もアインツは
「差別はいけないって分かってるけど‥獣人はさ、やっぱさ‥ね? 身体つきとかやっぱり違うわけじゃない。
筋肉質な子多いし。
身長とかも‥高い子多いじゃない? 悪いわけじゃないけど‥俺より大きい子って‥アレだ。見上げなきゃいけないの、不便じゃない? (可愛くないし‥はいわないけど。俺ってほら、常識人だから)
使用人雇うなら丈夫な子がいいけど、お嫁さんなら華奢な子がいいな~やっぱり。
僕はお嫁さんには癒しを求めたいわけ。
だから、断然お嫁さんにするなら、ちっちゃくて可愛い子がいい! 」
と自分の理想を語り続けた。
見た目重視じゃないとかよく言えたもんだって思う。
でも、思えば‥この世界は「そういうもん」だ。
みんな口では「差別はよくない」って言いながら、(勿論言いもしない人間も多いが、そういうのは人間としてどうだと思う。‥問題外だ)表面だけ取り繕って‥やんわりと「こういうの方が好き」って言う。
こういうのが嫌い
とは言わないだけで、普通に「こういうの」を差別している。
ハヅキは「ふうん」って言うだけだ。
イイとか悪いとか言うのも馬鹿馬鹿しいからね。
だから適当に
「なるほどねぇ」
って(聞いてたよアピールで)言ってみた。
それだけでアインツも満足だ。あとは機嫌よさげに休憩所にゴロンと横になった。ハヅキ(異性)がいるとか気にしない。そもそも、ハヅキは恋愛の対象外だから別にどう思われようと構わない。
ハヅキは時分の分だけお茶を汲みながら
そういえば‥
って考えた。
聖女様って‥そういえば見たことない。この教会にはいないし(なんせ給料が高いからこんな普通‥よりはちょっと貧乏寄り‥な教会には雇えない)高級な教会マリエールは、アンチ聖女派だった。
「ぬるい治癒で高額ぼったくるとか詐欺だ! うちはそんなぬるい治療しないぞ」
あの教会幹部はとにかく聖女に対して辛辣だった。多分‥自分たちより「楽して(マリエール教会幹部主張)」高額の治療費を請求する聖女を憎く思っていたのだろう。
高級なといっても、治療術には(勿論聖女の治癒魔法にも)法定価格があり、不当な請求は出来ない。だから、どこそこの教会の収入が高いというのは、即ち患者数が多いか寄付金が高いかって話なんだ。有名な教会だから治療費が高い‥とかいうわけではない。
例えばマリエールは患者に貴族が多いから、治療費の外に寄付金が多く支払われてた、ってことだな。
それが聖女なら、寄付の額が半端じゃない。それこそ、「それがメインだろ」って位多い。そういうところがマリエールが「聖女協会許せない! 」「ぼったくりだ! 」と思う点だった。
‥そうそう。あんまり日常茶飯事に聖女の悪口を幹部が言ってたから何とな~くあたしも聖女アンチ寄りになったんだよね。初等科の時にお世話になってた教会も‥そういえばアンチ聖女派だった。
そんな感じでつい、
「聖女様‥かあ」
って呟くと、耳ざとくアインツがその呟きを拾い、
「何? ハヅキ見たことないの? まあ‥平民は見る機会無いよねえ」(※ アインツはハヅキが貴族だってこと知らない。ってか、ハヅキがローブを被っている地点で「別に素性知りたいとか思わない」って思ってる。ハヅキは別に隠しているわけではないのだが‥)
って言ってきた。
そして、自分が聖女様と会った「素晴らしい」思い出を語り始めた。自分が貴族だって話も。
‥それこそ、どうでもいいや。
ハヅキは今度も適当に相槌を打つ。
そんなことをしているうちに休憩時間が終わった。
‥なんか、休憩した気しない‥損した気分。
こころの中でコッソリ苦笑いしてハヅキは自分の持ち場に帰って行った。
そんなこんなでその後の治療も問題なく終わり、終業時間。
帰る前の楽しみは何といっても、オズワルドさんへの挨拶だ!
今日も笑顔でオズワルドの部屋を覗きに行ったハヅキは、そこでオズワルドと話す‥治療師協会の幹部を見てしまった。
‥ヤバい。
慌てて逃げようとしたが、あっさり見つかった。
治療師幹部がニヤリと笑い
「ハヅキ、君の報告より随分彼元気そうじゃない」
と言った。
‥ヤバいヤバい‥ヤバいよ!!
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