悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第一章 帰還と波乱

第二十二話 常識? 非常識?(ミーシャ視点)

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 ティアルーン国、謎の美少女によって消滅、なんて展開をどうにかこうにか回避した私達は、お姉様に現状を詳しく説明しておく。


「……それは、本物の天使?」

「いえ、違います。ただ、天使を名乗っているだけの人間です」


 一応、聞かれるであろうと思っていたそれに答えれば、お姉様は何やら考え込む。


「お母様、人間が天使を名乗ることって、普通にあることなのですか?」

「僕達の世界で、それは犯罪行為だったはずですけど、人間の世界では違うんですか?」


 そう尋ねるのは、お姉様に良く似たフィオナちゃんと、フィオナちゃんのボーイフレンドなラルフ君。そして、二人が言っていることは、実は、私も危惧していたことだった。


「犯罪行為であることに間違いはないよ。けど、人間達は、それが天使かどうかの区別なんてつけられない。天使そのものを知らないから、どうしてもそうなってしまうの」


 天使は、世界により、というか、天使が仕える神によって、本当に千差万別の姿をしている。ちなみに、私が以前、神であった頃に仕えてくれていた天使は、千偽隊せんぎたいと呼んでいた半透明な人形だ。体長は二十センチほどのその子達は、紛れもなく私の天使だった。
 ただ、高位の神、それも、人と直接関わることが多い神は、天使を人型にすることの方が多い。お姉様をこの世界に呼んだアリアナ様も、側にはムムという名の天使を置いている。だから、人間達は、天使は人と同じ姿をしていると思い込んでいるのだ。


「つまり、神である私達が正さなければならないということですねっ!」

「大変そうだけど、仕方ないのかな?」

「手出し禁止です」


 何やら、大変雲行きが怪しくなってきたため、私は、もう一度手出し無用だと告げる。
 天使を名乗る少女一人の犠牲で済めば良いが、この可愛い顔をした猛獣を放てば、何が起こるか分からない。


「えーっ、なぜですか? だって、人間には正せないのでしょう? それなら、私達が正さなければ、天使の品位が落ちちゃいますっ」

「捕まえて、魂を取り出してみせれば、一目瞭然なのに、なぜ、ダメなんですか?」

「そもそも、人間は魂を見ることはできませんからねっ!?」

「「えっ!?」」


 驚愕の表情を浮かべる二人に、私はお姉様とイリアス様……つまりは、二人の保護者へと目を向ける。


「ラルフはともかく、フィオナにはちゃんと教えたはずだよ。人間は、魂の存在を信じない者も居るって」

「えっ? それって、本当に見えないってことだったんですか!?」

「そうだ。それに、ユレイラは他にも色々と教えていたはずだぞ? ……フィーは聞き流していたのかもしれないが」

「……もしかして、お母様の人間界のお話って、全部、本当のこと、です? 食べなければ死んでしまうとか、腕がなくなっただけでも大事だとか……?」

「「もちろん」」


 そう、お姉様とイリアス様が答えれば、フィオナちゃんは頬を引つらせ、ラルフ君は信じられないといった表情で固まった。
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