悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

文字の大きさ
23 / 132
第一章 帰還と波乱

第二十三話 街へ行くために(ミーシャ視点)

しおりを挟む
 フィオナちゃんもラルフ君も認識を改めたところで、私達は解散する。立場のある人間ばかりが集まる中、ずっとここに居るなんてことはできないということだ。
 お姉様は、アルテナ家の方々に、また会いに行く旨を告げ、これから娘と未来の息子のために街に繰り出して人間界についての学習をするらしい。そして……その不幸な同行者に選ばれたのは、私とセイだった。


「すまない。私の力不足で……」

「アルトのせいじゃありませんよ。ただ、お姉様達についていけて、尚かつ人間界の常識を理解できてるのが、私とセイだけだったから、仕方ありません」

「僕も、さすがに細かいところは自信がないからね。ミーシャに付いてきてもらえるとありがたいよ」


 ちなみに、ルクレチアさんは審判の神として様々な人間の記憶を見てきたため、案外、知識だけは詳しかったりする。……もちろん、こちらも全く問題ないと判断するのは早計だと思うが、フィオナちゃん達よりはマシだ。


「よろしくね。ミーシャ、セイ」

「「よろしくお願いします!」」

「よろしく」

「私も、よろしくお願いしますね」


 お姉様とフィオナちゃん、ラルフ君、そして、イリアス様にルクレチアさんという面々を引き連れて、街の案内………………。


「……頑張ります」

「……僕達から離れないでね?」


 この面々を見て、不安になったのは私だけではないらしい。セイも少し不安そうな表情で注意を促して、投げ出すことなく受け入れることを決める。と、いうわけで、私達は、それぞれ街に行くのに適した服へと着替えて、もう一度集まった。






「では、今から街へと向かいます。注意点としては、勝手に私達から離れないこと。何か質問があっても、とりあえずは私達以外に聞こえないようにして話すこと。あとは、神力や魔力は極力使わないことと、人間につっかからないこと。これを守って、付いてきてください」

「「「はーい」」」

「はい」

「分かった」


 女性陣はノリノリでの返事、男性陣は端的な返事をして、街へ繰り出す準備を整えようとして……。


「……二人とも、武器を手に持つのも禁止だよ」


 なぜか、薙刀やら鞭やらを取り出すフィオナちゃんとラルフ君に気づいたセイの声で、私もそれを確認して、頬を引つらせる。ちなみに、一番大人しそうなラルフ君が、大量の刃をつけた鞭を取り出したのは少しばかり衝撃的だったりする。


「? あっ、そうですね! ここに私達を脅かす存在はいませんよねっ!」

「言われてみれば……。はい。分かりました」


 今まで、どういう生活をしていたのだろうかと思いながら、前途多難な未来に遠い目をしてしまうのは、見逃してほしい。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件

ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。 スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。 しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。 一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。 「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。 これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。

パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。 将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。 平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。 根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。 その突然の失踪に、大騒ぎ。

処理中です...