悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第一章 帰還と波乱

第二十八話 問題ごとの匂い(セイ視点)

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 エルドン侯爵家の養女にして、その当主であるハウエルへの求婚者であるリエナ・ル・エルドンは、僕達の読み通り、人攫いに遭っていた。


「むーっ! むむぅーっ」

「ちっ、大人しくしやがれっ」


 ナイフを突きつけられて、ビクッと肩を震わせる彼女は、すでに涙目だ。しかし……。


「悪いけど、こんな無法者を見過ごすわけにはいかないんだよね」


 そんな言葉で、悪党どもが反応するより先に、僕はナイフをへし折り、ご令嬢を救出する。


「え? は?」

「なっ、てめぇ! 何しやがった!!」


 やたらと人相の悪い男に凄まれるものの、僕も暇ではない。さっさと片付けてミーシャと合流しなければ、ミーシャが胃痛で倒れるかもしれないのだ。


「とりあえず、拘束して、騎士達に引き渡せば良いかな? この子も連れていけば、事情説明も省略できるし」


 何が起こったのか、未だに良く分かっていないご令嬢を放って、今後の方針を立てた僕は、その方針通りに、まずは電流の鎖を作って、見る限りは三人だけと思われるその男達を拘束する。


「「「アバババババババッ」」」

「気絶しちゃえば、引き渡しの時にゴネられることもないよね?」


 とりあえず、僕は急いでいるのだ。だから、彼らが痛い思いをしようが何だろうが、関係ない。むしろ、犯罪者なら、多少痛い目に遭わせてやった方が良いだろうというのが、僕のポリシーだ。


「す、すごい……」

「さて、それじゃあ、これから騎士団のところに送りますので、事情説明をよろしくお願いしますね」


 一応、相手は貴族の女の子、ということで丁寧に対応した僕は、彼女達をさっさと送ろうと思ったものの……。


「お待ちください! どうか、わたくしの師匠になっていただけませんか!?」

「はい?」

「では、師匠! よろしくお願いします!」

「いやっ、ちょっと待って!? 師匠って何!? 僕、了承してないんだけど!?」

「大丈夫ですっ! ちゃんと、録音の魔道具で記録はしてありますっ。言質は取りました!」

「ちっとも大丈夫じゃないよ!?」


 予想外のことに、丁寧な言葉を意識していたのがいけなかったのか、それとも、このご令嬢が狡猾だったのかは不明だが、どうやら、僕は面倒ごとに巻き込まれかけているらしい。


「僕は急ぐから、君に構ってる暇なんてないのっ」

「分かりました! では、わたくしもお供いたします!」

「いや、付いてこなくて良いからっ! というか、さっさと帰って!?」

「いいえ、わたくしは、貴方様を師匠にすると、今、決めたのです。さぁ、観念なさってくださいっ!!」


 逃げようと思えば、もちろん、逃げられる。しかし、それをして、また彼女が危険な目に遭ってしまえば、救った意味がなくなる。
 しばらく、問答を繰り返した結果、僕は、彼女の同行を認めさせられることになったのだった。
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